煮込み料理と炊き込みご飯が同時に楽しめる!「コジード・ア・ポルトゲーザ」

今回の「ポルトガル食堂」はボリュームたっぷりの煮込み料理と、そのスープを使った炊き込みご飯を紹介します! ヨーロッパの国の中では日本と同じように米食が盛んなポルトガル。とはいえ材料が違うポルトガル料理に、馬田草織さんも日本で再現するのは難しいと思ったこの料理。独自の工夫を加えることで、このレシピを作り上げました。おかわりもお酒も止まらなくなる「コジード・ア・ポルトゲーザ」、ぜひお試しください!

cakes読者のみなさま、こんにちは。

毎日寒いですねー。週末も、寒すぎると外に出るのが億劫になりがち。天気予報でうっかり最低気温など聞いてしまった日にはすっかり寒さに臆病になって、今日は外に出るかどうしようかと迷っているうちに昼が過ぎ、いつの間にか夕方に、なんてこともよくあります。

真冬の週末は、いっそ1歩も外に出ずに、好きな映画やドラマを見たり、本を読みながら家でぬくぬく過ごすのもありですよね。そんな時、土曜日にたっぷり仕込んだ温かい煮込み料理を、連日ゆっくり食べたりするのもいいものです。冷えた旨味の濃いワインと合わせたりして。家の中がおいしい香りで満たされますよ。

今回はそんな週末におすすめの、たっぷり作ってゆっくり食べるポルトガルの肉と野菜の煮込み料理「コジード・ア・ポルトゲーザ」をご紹介します。

ポルトガルでは煮込み料理をコジードといいます。これ、フランスのポトフと何が違うのか。最大の違い、いえ、最大の特長は、肉と野菜を煮込んだ旨味たっぷりのスープで炊くご飯が必ず付く、ということ。ほら、こんな感じです!

肉と野菜の煮込みと同時に、そのスープで炊き込みご飯も作り、具と一緒に食べるのがコジード・ア・ポルトゲーザの正しいスタイルなのです。ご飯と具は別々に味わっても、ご飯の上から汁かけにしても、食べ方は自由。お米大好きなポルトガルならではの組み合わせです。日本人にもびしびしと響く、コジード&ご飯のナイスコンビネーション。やっぱりポルトガル料理って日本人にフィットするなあ。と思わずにいられません。

先日も、月に1度開催している教室でこの料理をお出ししたのですが、肉や野菜以上にこのスープで炊いたご飯に人気が集中しました。おかずがなくてもご飯だけで食べられちゃう、と黙々とおかわりされていた男性もいらしたり。お米が美味しいと、それだけで幸せになれますよね。

前回同様、ごはんは米だけでなく押し麦を使って、パラリとした食感に仕上げています。その方が時間が経ってもべたつきません。

ところでポルトガルのコジードは、レストランでも家庭でも、牛、豚、鶏以外にも豚の足や耳、ハムや腸詰類も3~4種類入れて具沢山、いや、肉がてんこ盛り状態で作ります。かつてポルトガルにも住んでいたことのある作家の壇一雄は、このコジードを「肉おでん」と形容したほど。数種類入れる肉と、何よりポルトガルのむっちり太い腸詰やハムからなんとも言えないいいだしが出るのです。

私も本場で食べるたびに、これを日本で再現するのは難しいかなあと思っていたのですが、肉は複数種(豚と鶏、牛と豚など)使い、スモークソーセージ(これが肝心、できるだけ美味しいものを探してください)を加えてだしを取るという2点を守れば、近い味になります。特に骨付きの肉を入れるといいスープが取れます。また、豆が好きな人はひよこ豆や白いんげん豆を加えても。いろんな素材の旨味を重ね合わせて煮ること、アクをしっかり取ることが、この料理のポイントです。

Menu do dia 本日のメニュー

「コジード・ア・ポルトゲーザ~ポルトガル式肉と野菜の煮込み+スープを使った炊き込みご飯」

材料(4人分)

豚バラ肉ブロック 250g
骨付き鶏もも肉ぶつ切り 300g
ソーセージ(できるだけ美味しいもの) 4本
じゃがいも(煮崩れにくいメークインがおすすめ) 小4個
にんじん 1本
かぶ 大1個
キャベツの葉 3~4枚
ローリエ 2枚
塩、黒こしょう、オリーブオイル 各適宜

[炊き込みご飯]
ご飯 1カップ
押し麦 1カップ
玉ねぎ 1/2個
オリーブオイル 大さじ1
塩、黒こしょう 各適宜

つくり方

豚バラ肉小さじ2の塩をまんべんなくすり込み、ラップでぴっちり包む。

最低1時間、できればひと晩冷蔵庫に置いて塩豚にする(3日ぐらい寝かせて大丈夫なので、時間があるときについでに仕込んでおくと楽です)。

じゃがいもは皮を向く。にんじんかぶキャベツの葉は食べやすく切る。

大きな鍋に4等分した塩豚鶏肉ローリエ黒つぶこしょう数粒塩小さじ2を入れ、水1リットル(分量外)を加え、ふたをせずに強火にかける。

沸騰したらアクを取り、ふたをして火を弱め20分ほど煮る。

ここでアクをきちんと取ると雑味のないスープになり、あとでスープを使って炊くご飯も美味しく仕上がります。

残り5分でソーセージを加えます。

煮あがったら一度肉類を取り出し、残ったスープの中にじゃがいもにんじんを入れてふたをし、10分ほど中火で煮る。

さらにかぶキャベツの葉を加え、じゃがいもやにんじんにしっかり火が通るまで煮る。

スープが減ったらその分水を足して、野菜が風邪をひかないようにします。

今回は、最近見かけるようになったプチヴェールという野菜も加えてみました。

芽キャベツとケールを掛け合わせた手のひらサイズの野菜で、加熱するとブロッコリーのような菜花系の旨味が感じられます。見た目も可愛らしいし火の通りも早いので、煮込みにおすすめです。

別の鍋でご飯を作ります。オリーブオイルを熱し、みじん切りにした玉ねぎを透き通るまで炒め、

洗って水を切った押し麦を加え、よく混ぜながら炒めて米に油をしっかりまとわせ、

コジードのスープを2カップ半取って加え、味をみてで調え、ふたをして強火で沸くまで1~2分、沸いたら弱火で8~10分ほど煮る。

炊けたら火を止めて、布をかませて10分ほど蒸らす。

その間に大皿にスープで温め直した野菜と肉類を盛り付け、仕上げに新鮮で香りのよいオリーブオイルをひとまわしすればコジードが完成。

別の器に蒸らしたご飯を盛りつけ、好みで黒こしょうをひき、

具もご飯も好きなだけ皿に取って一緒に食べましょう!

今回この料理に合わせたのはこちら。

ポルトガルの緑のワイン「ヴィーニョヴェルデ」からの1本ですが、いつもの軽さや爽やかさが特徴の微発泡のものとは違う、風格のある1本です。様々な旨味のある料理には、このぐらい味わい深いワインでじっくりと食事を楽しむのが、冬には似合う気がします。


「ソアリェイロ プリメイラス・ヴィーニャス2012」3780円(税込み)。

ポルトガル北部ミーニョ地方のぶどうの中でも、最もポテンシャルの高いと言われている高貴品種アルヴァリーニョを100%使った、自然派ヴィーニョヴェルデ。味わいがとてもしっかりしていて、ワインだけでも十分に楽しめます。

旨味たっぷりの自然派ヴィーニョヴェルデと、肉や野菜の味わいが幅広いコジード、そして素材のやさしいスープがしみ込んだ炊き込みご飯で、ぬくぬくの週末を!

いつもの食材があっという間に異国の味に。がっつり食べてお腹も満足、なぜだかお酒が止まらない!

ケイクス

この連載について

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ポルトガル食堂

馬田草織

ポルトガルや南蛮絡みのエピソードが大好きな編集者・ライターの馬田草織さんが、仕事現場や旅先、日常で気になった食のサムシングと、それにちなむおつまみ&ぴったりなお酒を月替わりでご紹介していく、家飲みも外飲みも楽しむ人へ捧げる至福のほろ酔...もっと読む

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    コメント

    gohstofcain 馬田さんのレシピ、いつもお世話になってます。 約2年前 replyretweetfavorite

    gohstofcain 馬田早織さんの 約3年前 replyretweetfavorite

    trainer_sapporo 時間が出来たら作ってみようっと! 名前に「ポルトゲーザ」が入っているのがたまらない!! 約3年前 replyretweetfavorite

    y_kie この前ポルトガル料理店ランチで、豚と鶏の両方 約3年前 replyretweetfavorite