レモンとコリアンダーが香る「あさりのブリャオン・パトご飯」

今回の「ポルトガル食堂」は、あさりのうまみに、レモンとコリアンダーの香りが食欲を誘う「あさりのブリャオン・パトご飯」。以前紹介した「あさりのブリャオン・パト風」のあさりのスープで、ご飯を炊き込みます。うまみあふれるこの逸品、ぜひお試しください!

cakes読者のみなさま、こんにちは。

2月も終わり、やっと3月! まだ寒いし春本番ではないけれど、東京にもほんの少しずつ、春がやってきていることを感じる瞬間が増えています。たとえば仕事に向かう朝。自転車をこぎ出して、うっかり手袋をつけ忘れたことに気が付いても、「しまった!」と後悔するほどではなかったり。丸裸だった木の枝の先の方に新しい葉が芽吹きの準備をして、小さくふくらみ始めているのを見つけたり。そんなふうに、地味に嬉しいのが3月の春の兆しです。

そんな春待ちのいまどき、さあ、何を食べよう。まだ寒さも残るこの時期は、旬の素材を使った、でもやっぱりあったかいものが食べたいかな。これから5月まで旬が続く、あさりを使ったごはんものはどうでしょう(ちなみに、以前あさりについてはこちらで旬のことなどご紹介しております)。

あさりはポルトガルでもよく使う素材です。これまでも「豚とあさりのアレンテージョ風」「あさりと豚バラごはん」などをご紹介してきましたが、今回は、以前ご紹介した「あさりのブリャオン・パト風」をごはんものにアレンジします。このあさり料理の味の相棒は、ポルトガルで出番の多いコリアンダー(パクチー、香菜とも呼ぶ)とレモン。コリアンダーのくせのある青さとあさりの旨味、たっぷりのレモンの酸味が合わさって、それはいいソースになるんです。

でも、残念ながらコリアンダーが苦手という方もいますよね(あるいは近所の店にには置いてないとか)。そんな方はいっそ、コリアンダー抜きでシンプルに、あさりとレモンだけでも十分においしい。なぜならこの料理の核になる味はあさりだけでなく、玉ねぎとにんにくのみじん切りをオリーブオイルでしんなりと炒めた香味野菜も旨味になるから。このベースは、イタリアではソフリット、フランスではミルポアなどと呼ばれる、香味野菜をいためて作る野菜ソースのようなもの。ポルトガルでは玉ねぎとにんにく、ときにトマトも入ります。このベースがもうほとんどといっていいぐらい、ポルトガルの様々な料理に使われます。

そういえば以前、ポルトガルの友人に家庭料理のこんな小話を聞きました。

子ども「ねえママ、今日の夕飯なに?」
ママ「(鍋で玉ねぎとにんにくのみじん切りを炒めながら)まだ決めてないわよー」

何を作るか決めてないけど、とりあえず玉ねぎとにんにくを炒めるお母さん。ポルトガルのキッチンあるあるです。そんなわけで今回は、玉ねぎとにんにくのベースに、野菜とあさりの旨味がたっぷりのごはんの紹介です。

Menu do dia 本日のメニュー

「あさりのブリャオン・パトご飯」

材料(2人分)

あさり(砂抜き済み) 300g
ご飯 1/2カップ+押し麦 1/2カップ
玉ねぎ 1/2個
にんにく 1片
オリーブオイル 大さじ1
レモン 1/2個
水 250~300cc(仕上がりの好みで加減)
塩、コリアンダー 各適宜

つくり方

あさりは砂抜きし(砂抜きの詳細はこちら)、貝をこすり合わせて汚れを取る。玉ねぎにんにくコリアンダーは粗みじん切りする。フライパンにオリーブオイルと玉ねぎを入れ、弱火にかけてふたをし、しんなり透き通るまで蒸し焼きにする。にんにくは途中で加える(玉ねぎの水分で焦げにくい)。

そこにあさりを加えてふたをし、中弱火で蒸す。貝の半分ぐらいが開いたら(2~3分ほど)火を止め、ふたをしたまま余熱で1分ほど蒸して貝が全部開くのを待つ(余熱の方が身がふっくら仕上がる)。

開いたら蒸し汁を残してあさりを取り出し、味をみてでやや強めに味を調え、

残ったスープに米と押し麦を加えて

全体を弱火で軽く炒め合わせ、

を加えてふたをし、沸くまで2~3分強火にかける。沸いたらごく弱火に落として10~12分炊く。

火を止める目安はこんな感じ。食べてみて芯がなければOK。

火を止めて一度全体を軽く混ぜ、

あさりを戻しいれ、蒸気が米に落ちないように布をかませ、ふたをして5分蒸らす。

蒸らしたらレモンを絞り入れ、

コリアンダーを加え、軽く混ぜて完成。

器に盛って、さあどうぞ! コリアンダー好きな方は、さらに食べる直前に新鮮な香りをプラスしても。

さて、今回この料理に合わせたワイン。いつもはヴィーニョヴェルデびいきの私ですが、今日はポルトガルの自然派の白です。

「カプーシャ ブランコ 」1944円(税込)。

穏やかな柑橘の香りや青リンゴの爽やかさ、さらには野菜の持つ青いニュアンスも感じる、奥行きや余韻が面白い自然派ワイン。ほど良いボディで、酸もしっかり感じます。大西洋からわずか8キロと潮風を受けて育ったぶどうから作られているので、とくに魚介の持つミネラリーで潮っぽい旨味と相性良し。ラベルに描かれたアンモナイトは、このワインが化石の混じる石灰岩土壌で育ったぶどうで作られているという、テロワールの象徴だそう。ポルトガルにも、質も価格も優秀な自然派ワインはまだまだたくさんあるんだなあと、嬉しくなった1本です。

では、ポルトガル式あさりごはんと自然派の伸びやかな白で、よい週末を!

いつもの食材があっという間に異国の味に。がっつり食べてお腹も満足、なぜだかお酒が止まらない!

ケイクス

この連載について

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ポルトガル食堂

馬田草織

ポルトガルや南蛮絡みのエピソードが大好きな編集者・ライターの馬田草織さんが、仕事現場や旅先、日常で気になった食のサムシングと、それにちなむおつまみ&ぴったりなお酒を月替わりでご紹介していく、家飲みも外飲みも楽しむ人へ捧げる至福のほろ酔...もっと読む

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    コメント

    gohstofcain https://t.co/PcbgXqN2tY 今日はこれを作ったんだけど、コリアンダー苦手なのでミョウガを刻んで入れてみたらポルトガルからは遠ざかったが味は美味しかった。 3年弱前 replyretweetfavorite

    rennstars 「ねえママ、今日の夕飯なに?」「(鍋で玉ねぎとにんにくのみじん切りを炒めながら)まだ決めてないわよー」……ウチでもかなりあるあるだw 玉葱はやらんがニンニク刻んでる段階では何作るか決まってない|・∀・| 3年弱前 replyretweetfavorite

    awajiya [ “子ども「ねえママ、今日の夕飯なに?」 ママ「(鍋で玉ねぎとにんにくのみじん切りを炒めながら)まだ決めてないわよー」” ] 3年弱前 replyretweetfavorite

    Sas26833963 #スマートニュース 3年弱前 replyretweetfavorite