初夏にぴったり!海の旨味がつまった「あさりのカタプラーナ」

GWも終わり、夏の気配を感じる今日この頃。冷たいビールやワインがますます美味しく感じられます。今回ご紹介するのは、今が旬のあさりを使った蒸し煮料理。プリプリとしたあさりから出るリッチな旨みと隠し味である腸詰の旨みが合わさったスープは、お互いの旨味をひきだし、より味わい深い一品になっています。ぜひ冷たい白ワインと一緒にお試しください!

cakes読者のみなさま、こんにちは。

風薫る5月、緑萌える5月。頬をなでる風が心地よいこの時期は、上着もいらない日があったりして、心もぐっと軽くなります。気温が上がれば、冷たいビールやワインがますます美味しく感じられて、俄然食欲もわいてくる。お腹が空いたなあ。さて、なに作ろう。

店先に並ぶあさりは、ますます身がふっくらして今が旬の真っ盛り。個人的にあさり好きなので、ついつい手を伸ばしてしまします。これまでも「豚とあさりのアレンテージョ風」「あさりと豚バラごはん」「あさりのブリャオン・パト風」「あさりのブリャオン・パトごはん」などいくつかご紹介していますが、今回はポルトガル南部の簡単な蒸し料理を。

このあさり蒸し、現地ではカタプラーナと呼ばれる銅鍋を使って作ります。コロンとしたボールのような形をした鍋で、ヘルメットのようなお椀型のボディに具材を入れたら、ほぼ同じ形のお椀型のふたを二枚貝のように上下ぴちっと合わせて火にかけ、中の具材を蒸すのです。

カタプラーナの具はとても自由で、豚や牛や鶏などの肉やじゃがいもなどの野菜、あるいはエビやカニ、白身魚などの魚介、米となんでもあり。変わったものでは、豚肉とパイナップルなど、フルーツを加えたものも食べたことがあります。でも、私が好きなのはシンプルな具材のカタプラーナ。中でもあさりやハマグリなどの貝類は、貝から出るリッチなスープが付いてくるからついつい選んでしまいます。基本材料は貝、玉ねぎ、にんにく、トマト、イタリアンパセリやコリアンダーなどのハーブ。これだけでも十分に美味しそうですが、面白いのが隠し味。ポルトガル自慢の、ジューシーな腸詰を刻んだり薄切りにして加え、貝の旨味に肉の旨味を重ねるのです。このソースの味の良さと言ったら、それはもう!

日本で作る場合も、腸詰はできるだけ肉の旨味を感じるスパイシーなものを選びたい。味がぐっと深まります。でも、そういう腸詰がなくてもご安心を。冷蔵庫の奥の方にある生ハムの残りや、あるいはベーコンなどでも大丈夫。要は、凝縮した肉の旨味を刻んで加えればいいんです。この間の家飲み会で誰かが持ってきてくれた生ハムとかソーセージとか、ちょっと干からびて残ってたりしませんか? そんなときは間違いなく、この料理を作るいいタイミングです。さ、ワイン片手にどうぞ。

Menu do dia 本日のメニュー

材料(2人分)


あさり 400g
ミニトマト 250g(または中トマト2個)
腸詰(またはベーコン、生ハム) 大さじ1
玉ねぎ 1/2個
にんにく 1片
オリーブオイル 大さじ2
白ワイン 50cc
赤唐辛子 1本
パプリカパウダー 小さじ1
ローリエ 1枚
コリアンダー(またはイタリアンパセリ)、塩、黒こしょう 各適宜

つくり方

腸詰やベーコンは粗みじん切り、玉ねぎは繊維を断つように薄切り、にんにくはみじん切りする。フライパンにオリーブオイルと玉ねぎを入れ、中弱火にかけてしんなり透き通るまで炒める。さらににんにくを加えて炒める。

にんにくの香りが立ったらミニトマト、腸詰やベーコン、パプリカパウダー、ちぎったローリエ、種を取った唐辛子黒こしょうを加える。

全体を中火で軽く炒め合わせたら白ワインを加え、

ふたをして3~5分ほど強火にかける。トマトの固さで時間は加減する。

トマトの皮が弾けてきたらふたを取り、塩を加えてさらに煮詰める。

汁気がほとんどなくなるまで煮詰めたら、

あさりコリアンダーを加え、ふたをしてあさりが開くまで中火で蒸す。

貝が開いたらふたを開け、全体を軽く混ぜてあさりにソースを絡めて完成。

そのままワインのつまみとして食べてもいいのですが、この料理は何と言っても旨味の詰まったスープが主役。私はご飯にスープごとわさっとかけていただくことを強く勧めます。これ一皿で、食事とおつまみが両立!

今回この料理に合わせたワインはこちら。ポルトガル最高峰のセーラ・デ・エストレーラの麓にある、比較的涼しい畑から生まれるオーガニックの素直な白。

「キンタ・ダス・マイアス ブランコ 」1620円(税込み)。

ポルトガル固有のぶどう品種、香り華やかなマルヴァジア・フィナを中心に、フローラルでミネラルを感じさせる固有品種エンクルザードなどを合わせ、柑橘の香りが心地よく広がります。味わいは、樽熟など余計な化粧をしない作り方で素直かつエレガント。緑の森を吹き抜ける風のような清々しさも感じます。しっかり締った酸とほどよいミネラル感、かすかに感じる青苦い後味が、海の旨味やトマトの旨味たっぷりのあさり料理といいコンビネーション。

そして、ラベルもとても可愛い! マイアという花がモチーフで、このワインが生まれる畑の周囲に、5月になると咲き乱れるという黄色い小さな花だそうです。お気づきかもしれませんが、ワイン名にも由来しています。まさに今、このワインを生み出すぶどう畑周辺は、鮮やかな黄色で美しく彩られているのでしょう。行ってみたいなあ。

それでは、旬のあさり蒸しと、
黄色い花に囲まれた畑のオーガニックな白で、よい週末を!

ケイクス

この連載について

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ポルトガル食堂

馬田草織

ポルトガルや南蛮絡みのエピソードが大好きな編集者・ライターの馬田草織さんが、仕事現場や旅先、日常で気になった食のサムシングと、それにちなむおつまみ&ぴったりなお酒を月替わりでご紹介していく、家飲みも外飲みも楽しむ人へ捧げる至福のほろ酔...もっと読む

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    コメント

    suerene1 あさりがないからな・・。→  https://t.co/HRBnVuElbI 3年弱前 replyretweetfavorite

    chiruko_t ホールトマトあるし休みに作ろうかな。  3年弱前 replyretweetfavorite

    saoribada ポルトガルの冷えた白ワインや、ビールも合うよ。 3年弱前 replyretweetfavorite