cakes読者のみなさま、こんにちは。
今年の東京の夏、なんだかヘンですよね。7月がいきなり暑くて、8月は雨ばっかりで、ようやく雨が終わったと思ったら、今度は蒸し暑い残暑続き。もう体がついていかない! みんな、いつもよりぐったりしている気がします。
東京が雨続きの間、私は夏休みを取り、すっかり涼しくなっていた北海道を旅してきました。ニセコで自然派ワインのイベントに遭遇し、北海道のナチュラルワインをあれこれ飲んだり、たらこで有名な虎杖浜へ買い出しに出かけたり、もちろん体も動かしていましたよ。森のそばの湖をカヌーで探検したり、ターザンのように森の中をジップラインで渡ったり、小雨振る中、パークゴルフ三昧だったりと、なかなかに健康的でした。
北海道ですから美味しいものもいろいろ食べましたが、やっぱり炭火で焼いた海の幸が最高でした。新鮮な丸ごとのいかは、わた(北海道ではゴロといいます)が得も言われぬ極上のソースになってくれるし、北寄貝やほたてのバター醤油焼は、ただただ悶絶! 貝ってどうしてあんなに旨味が濃いんだろう。本当に不思議な生き物です。その後、白老のあたりで回転寿司屋に入り、生の北寄貝を食べたのですが、これがまた衝撃の価格といい味で、まだ東京に帰りたくない!と思ってしまいました。海沿いの街で朝からいか刺を食べて育った道産子の親戚たちも、思わずうなるほどの味でした。その店の名はクリッパー。函館びいきの私は、回転寿司屋と言えば函太郎しか知りません。おおよそ寿司を連想させないカタカナ名であまり期待していなかったのですが、クリッパーさんごめんなさい、私が間違っていました。北海道に行ったら、また行きます!
というわけで、私は東京に帰ってからも海産物、とくに貝にはまっております。東京の魚屋で今よく見かけるのはほたての貝柱。生でも美味しいけど、私は火を通して旨味をぎゅっと締める感じが好み。今回は、柚子胡椒や大葉と合わせてさわやかなアヒージョ仕立てにします。
小腹じゃなくて、すきっ腹を満たしたい方向けに、パスタアレンジもご紹介。パスタは3分で茹で上がるカッペリーニを使います。この季節に残りがちな、素麺で作ってもいけます。青唐辛子をプラスするなど、アレンジはお好みでどうぞ。
では、パパッと作っていきましょう
Menu do dia 本日のメニュー
材料(1人前)
ほたて貝柱 2~3個
にんにく 大1片
大葉 4枚
柚子胡椒 小さじ1
オリーブオイル 大さじ2
すだち 1個
塩 適宜
カッペリーニ 80g
つくり方
ほたて貝柱は、包丁を軽く入れて小分けに割く。こうすると、ぶつ切りにするより味の馴染みが良い。割いたらごく軽く塩をふる。大葉は洗ったら水気を拭いて手のひらにのせ、両手でパンとたたいて繊維を軽く潰し、香りを立たせてから千切りにする。
ほたて貝柱に柚子胡椒をラフに塗る。
にんにくは皮付きのまま、包丁の背や、ワインボトルの底などでしっかりつぶす。
フライパンにオリーブオイルと潰したにんにくを入れ、ごく弱火でじっくり温める。
ほんのり香りがしてきたらほたて貝柱を加え、ごく弱火のまま加熱する。オリーブオイルのお風呂でほたてを温めるようなイメージで、目安は3分ぐらい。
上下など返しつつ、ほたての表面にまんべんなく火がとおったら、すだちをふる。
器に盛り、大葉を盛って完成。白ワインはもちろん、ビールや冷酒、泡系のワインもばっちり。
さらに、今回はこれじゃ終わらない、いや終われません。だってほら、フライパンには旨味たっぷりのオイルが残っているのです、なんてこった! むしろこっちが主役かもしれません。
パンに付けて食べてもいいけれど、ここは麺に残さず絡めちゃうのが正解。今回は、3分で茹で上がる細いパスタ・カッペリーニを使います。パスタは塩を加えた湯で表示通りに茹で、ざっと湯を切り、オイルの入ったフライパンに加えます。このとき、フライパンは火を落として、余熱で仕上げます。パスタはやけどするほどのあつあつよりも、少し温度が落ち着いた方が旨味を強く感じます。
きざんだ大葉、さらに、あれば今が旬の青唐辛子を薄い小口切りにして混ぜると、つまみパスタとしての完成度も上がります。仕上げに柑橘をたっぷりしぼっても。
ささっと軽く和えてうま味オイルをしっかりまとわせ、完成! さらに……
先ほどのほたて貝柱を合わせれば、ごちそう爽やかパスタの出来上がり。これ、最近の私のヘビーローテションメニュー。ときどき焼き海苔をちぎって入れたりしています。あるいは気分で、そうめんで作ることも。贅沢チャンプルーですね。
さて、今回この料理に合わせたワインはこちら。
花のように華やかな香りとキレの良い辛口な味わいが夏向きな白ワイン。
「カーザ・デ・パッソス フェルナン・ピーレス 2015 」972円(税込み)
ポルトガルの土着品種であるフェルナン・ピーレスを100%使ったこのワインは、花のようにふんわりと華やかな香りとしっかりしたボディ、そして切れの良い辛口の味わいが非常にバランス良く、しかも飲み疲れしないやさしい仕上がり。北部のミーニョ地方で造られていますが、ヴィーニョヴェルデではなく、普通の白ワインです。とくに魚介系との相性がいいと感じます。
こんな質の良いワインが1000円を切るなんて、これはまさにポルトガルのワインのポテンシャルの高さそのもの。この生産者は、ほかにも質の高い地ブドウで美味しいワインを造っています。他のバリエーションも早く輸入されないかなあ、今から待ち遠しい!
それでは、爽やかピリ辛でうま味たっぷりのほたて貝柱&パスタと、
ポルトガルの花のようにふんわり華やかで辛口の白とで、よい週末を!