食欲全開!秋の旨味がたっぷり「きのことパンのミーガシュ」

夏の日差しも和らぎ、食欲の秋がやってきました。美味しいものがありすぎて、何を食べようか迷いっちゃいますよね。そんな時は、秋が旬のきのこなんていかがですか? 今回ご紹介するのは、そんな旬のきのこを使った秋の風味たっぷりの「きのことパンのミーガシュ」。オススメの白ワインとともに、ぜひお試しください。

cakes読者のみなさま、こんにちは。

秋が来た、と思ったらぶり返したかのような残暑続き、そして雨。でも、野菜の売り場を見てみると、確実に秋の味覚が並び始めています。

この時期の楽しみのひとつが、きのこ類。最近は年中見るけれど、天然物はやっぱり秋が本番です。しいたけ、しめじ、まいたけ、まつたけ、エリンギ、なめこ、ひらたけ、まだまだあるある。こうして思いつくままに書きながら思い出してみると、きのこ類って色や形などの見た目はもちろん、旨味と食感がどれも個性的で面白い。たとえばまいたけなんて、絵になる姿だと思います。以前サンフランシスコのファーマーズマーケットを取材したとき、アメリカの農家の方が作るMAITAKE Mushroomsがたくさん並んでいて、しかも人気だと聞いて誇らしく思ったことがありました。日本のスーパーでパック詰めされているまいたけとはまた違って、植木鉢みたいなボックスにたっぷり育った株ごとこんもりと並んでいて、その様子が力強くて綺麗だったんです。

ところで、きのこはどれも、食べる前に半干しすると旨味がぎゅっと締っておすすめです。適当に好きなものを買ったら、小房にほぐしてざるに並べ、半日から1日、軽く干します。これだけ。それを豚バラなど、ちょっと脂のある肉などと炒めて汁にすると、ザ・秋なスープになります。簡単できのこだしたっぷりの味は、うどんなんかを入れてもいい。食べるときに天かすをたっぷりふって、山椒をパラリとやるのがおすすめです。

と、ここまできのこ汁の話をしておきながら、今日ご紹介するのはきのこと余ったパンで作る炒め物、ミーガシュ。ポルトガルの気楽なお惣菜です。だってほら、ワインと合わせるから、それっぽい方がいいかなと思って。でも待てよ、きのこ汁でもワイン飲んでるぞ、私。

国民の多くがカトリック信者というポルトガルや、あるいはスペイン、イタリアなどでも、パンを使った料理がたくさんあります。イタリアなら、たとえばトスカーナのリボリートというパン粥や、スペインにはミガスというパンと具の炒め料理があります。いずれもパンくずや、硬くなったパンを料理に使うという、日常の生活から生まれた知恵レシピです。

ポルトガルのミーガシュは、パンをたっぷりの豚の脂、つまりラードで煮てからオムレツのように成型するものや、煮た野菜、豆などと一緒にオリーブオイルとにんにくとで和えるものなど様々ですが、今回はきのこの食感が生きるように、炒め合わせるレシピにしました。

では、パパッと作っていきましょう。

Menu do dia 本日のメニュー

「きのことパンのミーガシュ」

材料(1~2人前)
きのこ(しいたけ、まいたけなど好みで)200g
バゲットやカンパーニュなど 60~80g  
にんにく 大1片
玉ねぎ 1/4個
オリーブオイル 大さじ2
ワインビネガー 大さじ1
乾燥オレガノ 小さじ1 
塩、黒こしょう 各適宜

つくり方

きのこはすべて小分けに割く。パンはひと口より小さめにちぎる。にんにくは皮付きのまま、包丁の背や、ワインボトルの底などでしっかりつぶす。玉ねぎはみじん切りする。

フライパンにオリーブオイルと潰したにんにくを入れ、ごく弱火でじっくり温める。香りが立ったら玉ねぎを加え、弱火でしっとりするまで炒める。

玉ねぎがしっとりしたら、きのことパンを加え、弱火のまま加熱する。

きのこがしんなりしてきたら、ワインビネガーこしょうオレガノをふってさらに炒める。ただし、きのこが崩れすぎると食感がなくなるので、あまりいじらない。オリーブオイルにきのこの旨味と水分が出てくるので、それをパンに吸わせ、焼き付けるようなイメージ。途中上下など返しつつ、パンがオイルを吸ってカリッとするまで炒める。辛みが欲しい人は、一味唐辛子を少し加えても。

つい欲張ってパンをたくさん入れてしまうと、オイルが足りなくなってしまいます。パンの質にもよりますが、レシピ通り60~80gが丁度いいです。

完成。きのこの食感とうまみに、きのこだしを含むオイルを吸ってカリッと焼けたパン。オレガノの青いハーブ香がアクセントです。

さて、今回この料理に合わせたワインはこちら。秋の味覚に合わせ、ちょっとリッチな白ワインです。

ポルトガルの南、アレンテージョ地方を代表するワインメーカーのひとつ、エスポランが造る特別な白。オレンジのようなかすかに甘いニュアンスやフレッシュな柑橘の香りと、口の中に広がるジューシーな果実味、さらにふくよかな味わいが、このワインだけでも十分に楽しい時間をもたらしてくれます。フレンチ、アメリカン、それぞれの樽で6か月ほど寝かせ、ほどよい樽のニュアンスがあるので、きのこの旨味やパンの香ばしさにも寄り添うボリュームもあり。また2012年より、エスポランの畑はほぼすべてオーガニックになったそう。

「エスポラン リゼルバ 2015 」3240円(税込)

それでは、旨味たっぷりでクリスピーなきのことパン炒めと、ポルトガルの果実味たっぷり、ほどよいボリュームのジューシーな辛口白とで、よい週末を!


「あなたと旅するポルトガル ワイン&フード#06」
六本木ミッドタウンIDÉE CAFEにて、2017年5月~10月の毎月1回、ポルトガルワインとおつまみを楽しむイベントを開催します。
第6回日時:10月6日(金)18:30~20:30
テーマ:「秋を感じる、うまみ味たっぷりのポルトガルワイン」
緑のワインや自然派、ポートやマデイラなどが6~8種が集合します。
場所:IDEÉ CAFE PARC(東京ミッドタウン3FのIDEE店舗隣)
内容:ポルトガルの食文化・ワインに関するショートセミナーを開催。その後テーマに沿ったワインの試飲とポルトガルを感じる軽いおつまみを提供します。
会費:5000円
お申し込みは03-5413-3454(IDÉE ショップ)

ケイクス

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ポルトガル食堂

馬田草織

ポルトガルや南蛮絡みのエピソードが大好きな編集者・ライターの馬田草織さんが、仕事現場や旅先、日常で気になった食のサムシングと、それにちなむおつまみ&ぴったりなお酒を月替わりでご紹介していく、家飲みも外飲みも楽しむ人へ捧げる至福のほろ酔...もっと読む

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    コメント

    chiruko_t 材料が全部あるのでやろう。  2年以上前 replyretweetfavorite

    marekingu #スマートニュース 2年以上前 replyretweetfavorite

    saoribada cakes(ケイクス)連載、更新しました。 きのこ🍄と余ったパン🥖を炒める、 2年以上前 replyretweetfavorite

    lulumocco |馬田草織 @saoribada |ポルトガル食堂 今夜はこれでワインといこうかな? https://t.co/CdaEqsr3tK 2年以上前 replyretweetfavorite