cakes読者のみなさま、こんにちは。
清少納言曰く「秋は夕暮れ」。私なら「秋は焦げ目」。こんがり香ばしく焼き上がった表面は、いと香しい。秋はつくづく焦げ目が勝負と感じるのです。肌寒さが食欲をより一層掻き立てるこの時期、私が仕事をしている料理の雑誌業界では、料理人も編集者もカメラマンも、みな無意識にこんがり色よい焦げ目を求め出す気がします。
今回は、そんな焦げ目礼賛の簡単な料理を、旬の食材を使ってご紹介。主役は秋の味覚、里芋です。里芋って、煮っころがしやごま和えなど和のイメージが強いし、あのほっこりねっとりした食感が好きか嫌いかは、はっきりと分かれるところ。でも、中ほっこりねっとり、外かりかりのギャップありなら、里芋に興味がない人も結構いけるんじゃないかな。
つまみでもおかずでも、里芋だけだとちょっと物足りないので、ベーコンと合わせます。もっとボリュームが欲しい方は豚肩ロース肉や鶏モモと一緒に焼いてもいいですね。どっちもカリカリに香ばしく焼いて、食べるときにたっぷりすだちを絞ります。あつあつこんがりに、ワインは少し冷たい白を合わせるイメージ。では、パパッと作っていきましょう。
Menu do dia 本日のメニュー
材料(2人前)
里芋 5~6個
ベーコン 好きなだけ
にんにく 1片
オリーブオイル 小さじ1
すだち 1個
塩、黒こしょう 各適宜
つくり方
里芋は、鍋で茹でるか、ラップで包みレンジで加熱する(600Wで3~4分が目安)。中まで柔らかくなったら皮をむき、縦半分に切る。ちなみに、里芋の皮むきって生だとホント面倒ですが、熱してからなら意外にするする剥けます。里芋が熱くて持ちにくいというときは、布巾やペーパーなどで包みながらだとラクです。
にんにくは皮ごと潰し、ベーコンは大き目に切る。
フライパンにオリーブオイルとにんにく、ベーコンを入れ、弱火でじっくりと両面焼く。ベーコンからたくさん脂が出てくるので、オイルは少なめでも大丈夫。
ベーコンが焼けたらいったん取り出す。にんにくはそのまま。残ったベーコンの脂もそのまま。
里芋は、焼く直前に適当に片栗粉をまぶす。これで焦げ目がつきやすくなる。
フライパンに断面を下にして並べ、中火でそのまま触らずに気長に焼く。とにかく触らないことが大事。
このぐらいこんがりが目安。ひっくり返して反対側も焼く。
しっかり焼けたら先ほどのベーコンをフライパンに戻し、全体を軽く混ぜながら焼き、塩と黒こしょうで味を調える。
完成したら皿に盛り、すだちを添えて食べる直前にたっぷり絞る。里芋とベーコンは、せーので一緒に食べると、味のボリューム感が増します。
さて、今回この料理に合わせたワインはこちら。ベーコンとさといもの香ばしさや、地味だけど滋味あふれる秋の味に、ふっくらと豊かな果実味が寄り添うナチュラルな白ワイン。
「オーリョ・ノ・ペ モスカテル・ガレゴ ブランコ2015」3132円(税込)
このワインが生まれるドウロ地方は、はるか昔からラガール(石桶)に収穫したぶどうを入れ、足で踏んでプレスするという製法が続いています。大変な労力ですが、機械でするよりもずっとやさしく自然な力で、余計に絞らずに味わいを引き出せると言われています。ワインの名前にもなっているオーリョ・ノ・ペとは、直訳すれば足の目という意味。ぶどうを足で踏むときに、足に目が付いているかのように注意深く踏むという、いかにもポルトガルらしい表現です。この白はポルトガル土着品種のモスカテル・ガレゴ100%。柑橘の上品な香り、芯の通った酸、このぶどうならではのジューシーな旨みもあり、とても口当たりがよいチャーミングな白です。
それでは、里芋とベーコンのかりかりの香ばしさにすだちの酸が遊ぶひと皿と、ポルトガルの果実味たっぷり、酸もしっかりのナチュラルでジューシーな白で、よい週末を!