cakes読者のみなさま、こんにちは。
寒さが増すほどに、わが家で出番が増えるハーブがローズマリー。肉とも魚とも相性がいいし、何より、加熱するとたちまち広がるあの青い香りが、食欲をそそるんですよね。香りの魔法で、食材たちが一気に飲めるおかずに変身、ワインも進みます。
ローズマリーを使った料理のなかでも、もう何度作ったかわからないほど毎年繰り返しているのが、この蒸し煮料理。豚肉とじゃがいも、にんにく、ローズマリー、あとはキャベツやブロッコリーなどのアブラナ科野菜を少々。欠かせないのがにんにく。だって肉を食べるときに、ほっくり蒸されてペースト状になったにんにくを塗りながらいただくのが、この料理の正しい食べ方だから。にんにくは皮付きのまま、最低4粒は入れて欲しい。もちろん、好きな人は好きなだけ。私は塊ごと入れたりもします。そして、これ以上具を増やさないのもコツです。冷蔵庫に残っているからとにんじんや玉ねぎなど次々と入れると、味が混ざってしまいます。肉! じゃがいも!とそれぞれの素材が寄りかからずにしっかり独立していることが大事。
繰り返し作っているのは、好きな味というのもあるけれど、シンプルで簡単というのも大きな理由。すべて鍋に入れて火にかけたら、一度もいじらないで煮るだけで完成です。家族受けがいいので普段の食卓でも作りますが、ボリュームがあるし、出来上がりのふたを開ける際のインパクトも楽しいので、急に誰か来るから、なんか作らなきゃというようなときにも登場します。
年末年始に向けて、これから増える家での食事会や飲み会でも、鍋任せ料理って重宝。だって、材料を鍋に仕込んだらキッチンから離れて、出来上がるまでみんなと席でしゃべっていられるから。いい香りがしてきたら、それが出来上がりだよっていう合図です。唯一の注意点は、喋りに夢中で煮込みすぎて、なべ底を焦げ付かせないこと。とくに来客中、乾杯して飲み始めたら、タイマーをかけておくことを熱烈おすすめします(私も何度かやらかしました)。
では、パパッと作っていきましょう。
Menu do dia 本日のメニュー
緑系野菜は、ケールやキャベツの外葉、スティックセニョールなどが煮込みにおすすめ。
材料(2~3人前)
豚肩ロースかたまり肉 300g
じゃがいも 3個
にんにく 4片以上
ケールやキャベツなどの葉、あるいはスティックセニョールなどのブロッコリー系 適宜
オリーブオイル 大さじ1
ローズマリー 3~5枝
コンソメ 市販の顆粒一袋
コンソメを溶くお湯 1カップ
塩 適宜
黒胡椒 適宜
つくり方
豚肉は1㎝幅、じゃがいもは皮をむいて豚肉より厚めに輪切りする。にんにくは皮付きのまま軽く潰す。肉の表面には塩とこしょうをふっておく。ケールなどの葉は大き目にちぎる。スティックセニョールは茎ごと食べるので適当に切り分けて。葉もおいしいから捨てないように。
厚手の鍋にオリーブオイルを敷き、肉とじゃがいもを交互に重ねながら並べる。にんにくは皮付きのまま入れる。
上にローズマリーを散らし、コンソメを加える。私はたいてい、市販の小分けになった無添加コンソメをお湯1カップで溶かして使います。
その上から、葉物類をかぶせ入れる。
ふたをして、弱めの中火で30分煮る。火が強すぎると水分が早く蒸発してしまって焦げやすいので、弱火に近い中火で。ほったらかしが心配な方は、20分過ぎたら一度水分量を確認し、焦げる前に火を止める。
30分ほどで完成。肉はしっとり柔らかく、男爵系のじゃがいもなら、崩れるぐらいほくほくに仕上がります。
鍋ごとどんとテーブルに出してもいし、皿に盛り直しても。くたくたになったケールやキャベツの外葉って、旨味がありつつかすかな苦みがアクセントになるので、あればぜひ加えて欲しいです。アブラナ科の緑の濃い野菜は、ほんと煮込むといい仕事します。
今回この料理に合わせたワインはこちら。 ポルトガル固有の土着品種エンクルザード100%の、柔らかな酸とフレッシュなぶどうの果実味が上品にまとまった、ポルトガルのふくよか辛口白ワイン。
「キンタ・ドス・ロケス エンクルザード」2700円(税込)
ハーブ香をまとった旨味の濃い豚肩ロースに、果実味たっぷり、酸も柔らかいエンクルザードは、口の中で味と香りのバランスの綱引きが面白い。ときどき食べるケールなどの葉の濃い緑の味も、ふくよかなワインが楽しくなる要素です。
このワインは、伝統をバックに革新的な進歩を続ける、ポルトガルの先頭を走る造り手ロケスファミリーによるもの。そして、このワインの誕生には、情熱のストーリーも秘められています。
かつて数十年前、単一品種のブドウによるワイン造りが認められていなかったこの地方で、当主のロケスさんは、この土地固有のエンクルザードというぶどう品種の価値を見出し、エンクルザードだけで白を造り、その仕上がりは各地で評判となりました。その結果、エンクルザード100%でワインを造る生産者が続々と増え、ついには地域のワインの法律を変えさせたのです。しかもつい先月には、世界的に有名なイギリス人のワイン評論家ジャンシス・ロビンソンが、このキンタ・ドス・ロケスのエンクルザードを、ポルトガルの過去10年間で最も素晴らしい10本のうちの1本に選んだそう。白ワイン好きは、ぜひ試して欲しい1本です。きっと、どの国のぶどうとも違う個性を感じると思います。
そして以前にも書いたのですが、このワインが作られるダンという地方は、今年10月にポルトガルで発生した山火事で、たくさんのワイナリーが畑を焼かれるなどの災害に合いました。この秋に東京でお会いした、現当主のロケス夫妻も、手塩にかけた畑が焼けてしまうという被害に合われました。今はただ、ダン地方を応援したい気持ちでいっぱいです。ロケス夫妻、頑張って!
私もダンの素晴らしいワインを今まで以上に楽しみつつ、たくさんの方にご紹介したいと思います。
それでは、ローズマリー香る豚肉とじゃがいもの蒸し煮と、 柔らかい酸で果実味たっぷり、個性あふれる白で、よい週末を!
お知らせ
「ポルトガル食堂」出張ワインバー @鳥越 T
2017.12.23 (土) 14:00-18:00 @鳥越 T
「ポルトガル食堂」が一日だけのワインバーをオープンします。
鳥越 T で開催中のCASTELLA NOTEの展示を見ながら、ポルトガルのワインをお楽しみいただけます。ポルトガルの食とワインにまつわるショートセミナーも同時開催。
・ポルトガルワイン講座
15時と16時の2回に分けて、ポルトガルの食とワインにまつわるショートセミナーを開催します。
3種のポルトガルワインとおつまみ付き。ポルトガルならではの微発砲ワイン「白のヴィーニョヴェルデ」と大航海時代の美味しい産物「マデイラワイン」に加え、参加者限定でポルトガルでも珍しい「赤のヴィーニョヴェルデ」をご用意します。
ポルトガルワインが好きな方も、馴染みのない方も、馬田さんの奥深くも楽しいお話とともに、美味しいポルトガルワインに出会えるこの機会をお見逃しなく。
・講座詳細
時間:12.23(土) 15:00 と 16:00 の2回開催
定員:各回 着席12名(予約制・先着順)
参加費:2,000円(3種のワインとおつまみ付き)
場所:鳥越 T / 東京都台東区鳥越2-5-1 恵比須ビル1F
・お申し込み方法
以下の内容を記載の上、info@castella-note.com 宛にご連絡ください。
– お名前
– メールアドレス
– 電話番号
– 希望の時間
– 参加人数
* 鳥越 T の店頭でもお申し込み可能です。