ビールと共に頬張る幸福!豚薄切り肉の東京ビファーナ 

新刊の執筆作業が一段落した馬田草織さんの、久しぶりの連載復帰です! 尻上がりに暖かくなり、休日にはどこかへ出かけたくなるような今の季節。ピクニックなどのちょっとした遠出先で、ぜひ冷えたビールと一緒に味わってみたいポルトガル流のお手軽B級グルメをご紹介します。

cakes読者のみなさま、こんにちは。

お久しぶりです。ようやく連載に戻ってこれました! クマのように、カエルのように冬眠していたわけではありません。新刊の旅エッセイの原稿をちくちくと書いておりました。


『ムイトボン!ポルトガルを食べる旅』(産業編集センター)

今回は写真の点数が結構ありまして、最後の方はキャプションの千本ノック状態でした。今週からお届けしている特別公開も、ぜひご一読ください。

さて、無事本が出ましたのでレシピ連載も再開します。このところ春の陽気が心地いいし、野外でビールが気分でしょうか。実はこの春から日本でも、ポルトガルの代表的ビール「スーペルボック」(日本での販売名はスーパーボック)の輸入が始まりました。並んでいるのは特製グラス。

これ、軽くて泡立ちも良く、ぐいぐいいける飲みやすさ。そうだ、ビールに合う料理にしよう。今回は、新刊の冒頭でもご紹介しているビファーナを作ろうと思います。

ビファーナはポルトガルのB級グルメで、日本でいう牛丼やラーメンみたいに身近な存在。専門店も多く、昼はカウンターでさっと立ち食いする人も多いファストフード。お供はビールだったり、ワインだったり。店ごとに肉の厚みやソース、パンに違いがありますが、今回新刊でもご紹介しているのが、ポルトの「コンガ」という専門店で食べたビファーナ。

柔らかい豚薄切り肉にピリ辛のソースをたっぷり絡め、汁だくでパンに挟みます。今回は、これを日本で手に入れやすい材料で考えてみました。

馬田的TOKYOビファーナ。本場のものと比べると見た目は随分おとなしいですが、味はスパイシーでくせになる。自画自賛だとあれなんで、試しにポルトガルの旅に同行してコンガファンになった10歳娘に食べさせたら「いい、近い!」と合格点をもらいました。98点だそうです。

なぜ2点足りないかというと、山盛りのフライドポテトがついてないからと。いや、それってビファーナと関係ないし! ポテトは別注文だし! ちなみに彼女がコンガで食べたステーキ定食のポテトはこんな感じの漫画盛り。

振り返ってみると7年ほど前に、この連載内で一度ビファーナのレシピを紹介しています。だがしかし、それはコンガのビファーナに出会う前のビフォー「コンガ」のもの。アフター「コンガ」の今回の方が圧倒的におすすめ(万が一、前のビファーナレシピを好きでいてくださっている方がいたらごめんなさい。今日からこっちを作ってください!)。

一度にたくさん作れば、豚肉のうま味がソースにたっぷり溶け込んで味わいが深まります。たくさん仕込んで、キャンプや人が集まる場で披露するのもいいかも。残ったら、肉をソースごと小分けして冷凍すれば、帰宅して何にもないときに、チンしてパンに挟んで食べると結構幸せです。あるいは、肉をソースごとご飯にかける「ビファーナライス」もいい。今回は思い付きでそちらも作ってみました。

では、豚こま切れ肉でパパッと作っていきましょう。

Menu do dia 本日のメニュー

「ポルト『コンガ』風ピリ辛ビファーナ」

材料 5個分

豚こま切れ肉 250g
プチパン(手でつかみやすいもの。バゲットなら10㎝幅、横に切れ目を入れる) 5個
玉ねぎ 1/2個
にんにく 2~3片
白ワインヴィネガー 大さじ2
白ワイン 1カップ
ローリエ 1枚
唐辛子 1本
パプリカパウダー 大さじ1
オリーブオイル 大さじ2
塩、こしょう 各適量

つくり方

豚肉は軽く塩、こしょうをまぶしてざっとほぐしておく。玉ねぎとにんにくは粗みじん切りし、オリーブオイルをひいた鍋に入れ、種を取ってちぎった唐辛子を加え、ふたをして弱火で蒸し炒めする。玉ねぎの水分で玉ねぎを蒸すイメージ。玉ねぎが透きとおったらみじん切りしたにんにくを加え、全体を混ぜたら再び香りが立つまでふたをして詫びで蒸し炒める。香りが立ったら肉とパン以外の材料をすべて入れ、ふたをして弱火に10分ほどかけ、ソースを作る(もしもクミンパウダーがあったら、小さじ1/3加えましょう。香りが膨らみます)。

ソースの鍋の火を止め、肉をほぐしながらソースに加えていく(余熱で火をゆっくり入れると肉が縮まず硬くなりにくい)。

肉とソースをよく混ぜ、肉にソースが絡んだら再びふたをして弱火で2~3分肉に火をとおす。

火を止めて完成。すぐに食べないときは、肉汁に浸したまま容器に移して冷蔵庫や冷凍庫へ。食べるときは、パンに肉をソースごと汁だくで挟んで、ビールと一緒に楽しむのが正統派。

さてここからは、肉汁ごとご飯にかけるビファーナライス。これ、食べてみたら無限にご飯が進んで危険でした。

それでは、泡もうんまいすっきりビールと、豚肉たっぷりのピリ辛バーガーで、良い週末を!


「ポルトガル食堂」のお知らせ
実際にポルトガル料理とワインやビールなどが楽しめる食事会を、都内で毎月開催中です。
申し込み・お問い合わせ pufu@lilac.plala.or.jp
イベント詳細  http://badasaori.blogspot.jp/ 

5月11日(土)13:10〜16:00★8種のワインを楽しめるタスキーニャ
春にぴったりの泡ものからヴィーニョヴェルデと軽やかなものを中心に8種類のワインをご用意するタスキーニャ(居酒屋)スタイル。おつまみは旬の素材を使って数種類ご用意します。締めのポルトガルご飯もお楽しみに。
>残席僅かです。

5月25日(土)13:10〜16:00★ポルトガル産ビール「スーぺルボック」と干しダラコロッケ祭り+特製グラスプレゼント
軽やかで飲み口すっきり、泡も豊かなポルトガルビール「スーペルボック」で乾杯する特別企画。参加者全員に特製グラスをプレゼントいたします。ビールのあとはワインも多数ご用意。料理はポルトガル産干しダラとじゃがいものコロッケやピリ辛ビファーナなどを予定しております。
>募集中です。

ケイクス

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ポルトガル食堂

馬田草織

ポルトガルや南蛮絡みのエピソードが大好きな編集者・ライターの馬田草織さんが、仕事現場や旅先、日常で気になった食のサムシングと、それにちなむおつまみ&ぴったりなお酒を月替わりでご紹介していく、家飲みも外飲みも楽しむ人へ捧げる至福のほろ酔...もっと読む

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    コメント

    gohstofcain さっそくやってみた。パンじゃなくてご飯で🍚 11ヶ月前 replyretweetfavorite

    saoribada お久しぶりです🍺 |馬田草織 @saoribada |ポルトガル食堂 https://t.co/tdyG46ZaIf 11ヶ月前 replyretweetfavorite

    saoribada こちらからも! https://t.co/tdyG46ZaIf 11ヶ月前 replyretweetfavorite

    saoribada 久しぶりのcakes 連載「ポルトガル食堂」、今週はポルトで唸った豚肉サンドのビファーナを、ポルトガルの人気ビール🍺スーペルボックとともにご紹介しています。 https://t.co/tdyG46HzQH 場所: Tokyo, J… https://t.co/XzGK3c5w1C 11ヶ月前 replyretweetfavorite