名前はコワモテでも誰でも作れる絶品料理「イカの悪魔風マデイラスタイル」

新刊が絶好調の馬田草織さんの連載、今回もポルトガルを訪れた際に出会った料理のレシピをご紹介します。紆余曲折あり丸一日かけてマデイラ島にたどり着いた馬田さんを待ち受けていた一皿。一体どんな味がするのでしょうか? 特別連載中の『ムイト・ボン!ポルトガルを食べる旅』とあわせてお楽しみください。

cakes読者のみなさま、こんにちは。

今回も新刊にちなみ、ポルトガルの旅先で出会った料理を紹介します。

食べる旅をしているはずなのに、朝から晩までほとんどまともに食事できない、という日がありました。ポルトガルの首都リスボンから1000キロ離れた大西洋に浮かぶマデイラ島への移動日です。1000キロ離れている、と言ったって大航海時代じゃあるまいし、通常ならリスボンから飛行機で1時間半ちょっと。のはずなのに、その日に限っては朝10時発の飛行機に乗り、島に着いたのが夜の9時。ほぼ12時間かかりました。遠い!

山がちの海沿い滑走路ゆえに天候がくるくる変わり、着陸難易度が世界トップ3に入ると噂のマデイラ空港、その日はスポット的に視界不良だったため、私の乗った飛行機は隣のポルト・サント島に緊急着陸。着いたら無風の快晴で、タラップを降りる乗客はなんとも腑に落ちない表情。そこからは、実にゆっくりした手続きを踏んで港までバスで移動し、さらにゆっくりした手続きを経て夕方6時発の船に乗り、夜9時にマデイラ島に着いたというわけです。珍しい経験ができるという意味ではかなりもってるけど、でも普通に考えるとただただ運が悪い。

そんなわけで真っ暗闇の夜の大西洋を3時間船で旅したわけですが、夜の海はそれはそれは怖い。ここで落ちても誰も気が付いてくれないとか考えると、そら恐ろしい。マデイラ島の港が近づき、瞬く灯りに人の気配を感じただけで、冒険した船員、無事帰還しましたの気分でした。もちろん、ただの観光客ですが。

その日、朝はホテルでパンとコーヒー、機内食は頼りないハムサンド、その後移動が続き、船で夜7時にようやく生ビールを1杯。だからマデイラ島の港に着いた9時頃には、胃の位置が自覚できるぐらいぺっこぺこ。タクシーに乗ると、ぐーぐーと盛大に鳴るおなかの音が車内に響いて、運転手さんに笑いながら心配される始末。もうほんとうにいい大人なのに。ホテルに荷物を置いたらすぐに、受付の男性が勧めてくれた地元のレストランへ小走りに向かいました。

海鮮がウリのそのレストランで頼んだのは、温かいシーフードのスープと、イカの悪魔風という料理。唐辛子たっぷりということで、辛いものが無性に食べたかった、そしてイカが大好きな私にはぴったり。シンプルなピリ辛のトマトソースが絡んだイカは柔らかく、パンにのせて一気に平らげました。

この料理が強烈に印象に残ったのは、まずはお腹が空いていたからでしょう。でも、シンプルで飽きのこない、食事にもなるし酒の肴にもぴったりなこの料理は、軽く火を入れた柔らかいイカっていいな、帰ったら早速作ろうと思ったマデイラ島で最初の一皿になりました。レストランのシェフ曰く、トマトとにんにくと玉ねぎと唐辛子、新鮮なイカさえあれば誰でも作れる楽勝料理だよ、唯一のコツは、イカに火を通し過ぎないことだね、と教えてくれました。唐辛子はびしっときかせた方が、味が締ります。

では、新鮮なイカを使って、パパッと作っていきましょう。

Menu do dia 本日のメニュー

「イカの悪魔風マデイラスタイル」

材料 2人分
イカ 2杯
完熟トマト 大1個(トマト缶なら1/2缶)
玉ネギ 1/4個
ニンニク 1片
オリーブオイル 大さじ2
唐辛子 1~2本
塩 適量

つくり方
玉ネギとニンニクはみじん切り、トマトは小さめに乱切りする。イカは中のワタなどを掃除し(買った店でやってもらうとラク、面倒な人は刺身用を使っても)、食べやすく切る。鍋にオリーブオイル、玉ネギを入れてふたをし、弱火で蒸し炒める。透きとおったらニンニクとトマト、種を取ってちぎった唐辛子を加えて炒め合わせ、トマトがしっかり崩れるまでふたをして蒸し煮する。トマトは缶詰でもいいが、生トマトのほうが旨味が出るのでおすすめ。

こんな感じにトマトが煮崩れてソース状になったら、味をみて塩で調え、食べやすく切ったイカを加えてさっと和えて軽く火を通す。1~2分で十分。煮すぎるとイカが硬くなって台無しなので注意。火を止めて完成。

ソースをパンにのせて、あるいはパンをソースに浸して食べてもいいし、

白いご飯の上にばざっとかけてもいい。

あるいは、パスタを絡めてもいいですね。イカの柔らかさとトマトソースの辛さが肝です。 ビールはポルトガルのビールでも、日本のビールでも、お好きなものを。

それでは、泡もうんまいすっきりビールと、柔らかいピリ辛イカで、良い週末を!


お知らせ

『ムイト・ボン!ポルトガルを食べる旅』発売記念トークイベント
6/15(土)18:00~ 湘南 蔦屋書店
特典 おすすめのワインとプチおつまみの試食
申込方法 電話/0466-31-1510(湘南蔦屋書店代表・イベントの日時とタイトルをお伝えください) 店頭/1号館1階BOOKカウンター オンライン受付/湘南 蔦屋書店オンラインショップ
イベントの詳細と予約は以下のページから
https://store.tsite.jp/shonan/event/travel/6670-1...

6/21(金)19:30~ 西荻窪 旅の本屋のまど
特典 おすすめのワインとプチおつまみの試食
申込方法 電話/03-5310-2627 メール/info@nomad-books.co.jp(お名前、ご連絡先電話番号、参加人数を明記してください)
イベントの詳細は以下のページから
http://www.nomad-books.co.jp/

「ポルトガル食堂」
実際にポルトガル料理とワインやビールなどが楽しめる食事会を、都内で毎月開催中です。
申し込み・お問い合わせ pufu@lilac.plala.or.jp
詳細 http://badasaori.blogspot.jp/  
次回は6月29日(土)12:10~15:00 都内にて
初夏を感じるポルトガル料理、デザート、ワインなどを着席スタイルで楽しんでいただきます。

ケイクス

この連載について

初回を読む
ポルトガル食堂

馬田草織

ポルトガルや南蛮絡みのエピソードが大好きな編集者・ライターの馬田草織さんが、仕事現場や旅先、日常で気になった食のサムシングと、それにちなむおつまみ&ぴったりなお酒を月替わりでご紹介していく、家飲みも外飲みも楽しむ人へ捧げる至福のほろ酔...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

    コメント

    gohstofcain このレシピをだいたい参考にタコを食べたんだけど、とても美味しかった。 約2ヶ月前 replyretweetfavorite

    yoshinon これは、ワインに合いそうな。 10ヶ月前 replyretweetfavorite

    saoribada そういえば!イカ🦑好きにおすすめの料理、ご紹介しました。暑い日にぴったり。 10ヶ月前 replyretweetfavorite

    saoribada そういえば! イカ好き🦑におすすめなマデイラ島で出会った料理を、連載でご紹介しています。暑い日にぴったりです。 https://t.co/zb8RovnlWC 10ヶ月前 replyretweetfavorite