cakes読者のみなさま、こんにちは。
夏、まだですかね。あっつい夏が待ち遠しいなあ。生ぬるい真夏の夜に、のどを潤す冷たい生ビールが恋しい!
ポルトガル料理をつくっていると、ときどき思わぬ仕事が舞い込みます。以前、イワシ缶、つまりオイルサーディンを使った料理レシピの依頼がありました。オイルサーディンを使って、つまみから麺類、ご飯ものまで、思いつくものを考えてくださいというもの。雑誌掲載後の反響が良かったようで、最近『さば缶&イワシ缶5分でうまい!やみつきレシピ』(日経BP)という書籍にもなりました。今回は、そのレシピの中から、とくに気に入っている夏に食べたいものをいくつかご紹介します。
それにしても、なぜ私にイワシだったのか。担当編集者さんに聞くと、ポルトガル人はイワシが大好きだし(彼らのソウルフードは塩を振ったイワシの炭火焼)、ポルトガルは魚の缶詰が豊富だからです、とのお答え。確かにそう。それにしてもあなた、ポルトガルの食文化にやけに詳しい。詳しすぎる。不思議に思って聞いてみたら、なんと編集者さん、ポルトガル語学科の出身でした。
そういえばと思い、ふと家にあるポルトガルの缶詰を集めてみたのですが、結構ありました。もしかして私、缶詰マニアなのかな……。
ちなみにこの写真の中に1つだけお菓子が混じってます、分かるかなー(正解は最後に)。
ところで、食品としてのオイルサーディンは何がウリなのか。ぱっと思いつくのは、買ったらその辺にほったらかしておいても大丈夫なぐらい保存が簡単とか、賞味期限が長いとか。普段は気にも留めないんだけど、忙しいとか天気が悪いとかで買い物に行けない日々が続いたとき、棚の奥でじっとしていた缶詰めに助けられたりしたことも、私は結構ある。ほかにも、旬の脂の乗った状態の魚を缶に封じ込めるから、実は生魚より栄養が豊富だったりする。EPAやDHA、たんぱく質、さらには骨も丸ごと入るのでカルシウムも豊富。ざっと調べてみても、イワシ缶、地味に実力がある食材です。
じゃあ実際にどんな風に食べたいかというと、私の場合、お酒がすすむつまみか、あるいは食事としてボリュームのあるもの。お酒を呼ぶ味ならなお良し。あれこれ料理を作ってみて分かったのですが、オイルサーディンは、魚のわりに実はそれほどクセのない素材。だから、酸味や辛味などパンチのある味を加えると、酒も食もすすむ一品になります。
たとえば、梅干しと薬味をたっぷり加えただし茶漬け風とか、
みそとしょうがを加えた冷や汁とか、
ニラたっぷりのピリ辛麺とか。
こんな感じで、結構楽しめるのです。
というわけでこれから夏の間は、食欲が出るオイルサーディンメニューをご紹介していきます。まずは梅干しと薬味を加えただけのだし茶漬けから。そもそもお茶漬けなのでポイントも何もないのですが、しいて言えば薬味の準備ぐらい。今回は、薬味を数種類刻んで混ぜておく薬味ミックスを、少し詳しく解説します。この薬味ミックス、夏場に最高に活躍してくれます。
では、オイルサーディンを使ってパパッと作っていきましょう。
Menu do dia 本日のメニュー
材料 2人分
ごはん 2杯分
オイルサーディン(水煮缶でも) 1缶
梅 2粒
刻みしょうが 1片分
ちぎり焼き海苔 1帖
だし 2カップ
薬味ミックス(作りやすい量・冷蔵庫で1週間保存可能)
大葉 10枚
みょうが 3個
かいわれ大根 1/2パック
つくり方
まず薬味ミックスを作る。大葉は千切り、みょうがは薄い小口切り、かいわれ大根はざく切りする。
これらを氷水に5分間さらす。嫌なえぐみやあくが抜け、薬味もしゃきっとして長持ちする。
ミックスをざるに上げ、しっかり水切りしたら完成。保存容器にキッチンペーパーをしき、詰める。しっかり水切りしていれば、1週間保存可能。
この薬味ミックスはなんにでも使えます。みそ汁、澄まし汁、納豆、冷奴、冷やしトマト、素麺など、とくに夏は大活躍。週末の時間があるときや、そうめん茹でるついでなどに作るといいかも。好みでねぎや生姜を刻んで加えると、香りや辛味、心地よい苦みがさらに増します。
お茶漬けを作る。茶碗にご飯を盛り、ちぎり焼き海苔、油を切ったオイルサーディン、薬味ミックス、刻みしょうが、梅干しをのせ、熱い出汁をかけて完成。
このイワシ茶漬けは、梅干しと薬味あってこそ。特に梅干しはイワシと相性抜群です。だし汁の代わりにお湯と醤油少々でもいいし、冷たい麦茶も合います。時間がない昼ごはんどき、私はときどきキッチンで立ちながらこれをかきこんだりしています。お腹が空いているときはイワシ3尾分ぐらいささっと食べられちゃいますが、そんな時、良質のDHAがたくさんとれて脳が若返った気がしてなりません。
というわけで、缶詰クイズの答えです。写真の中にあるイワシのチョコレート缶詰は、上の左端です。わかりましたか?
それでは、オイルサーディンと薬味ミックスで良い週末を!
「ポルトガル食堂」
実際にポルトガル料理とワインやビールなどが楽しめる食事会を、都内で毎月開催中です。
申し込み・お問い合わせ pufu@lilac.plala.or.jp
詳細 http://badasaori.blogspot.jp/
8月24日(土)13:10?15:30 タスキーニャスタイル
ヴィーニョヴェルデなど爽やかなものからマデイラやポート、モスカテルなど、8種類のポルトガルワインを飲み比べられるタスキーニャ(居酒屋)スタイル。ポルトガルの旬なおつまみ4種に締めのごはんものまで、立食で気軽に楽しんでいただきます。