忙しい人にこそ、「放置料理」はすばらしい!
どうかこれを皆さんにお伝えしたくて『放っておくだけで、泣くほどおいしい料理ができる』という本ができました。
最近、SNSやテレビでは「時短料理」が流行っています。 仕事に、家事に、育児に、遊びにだって、みんなそれぞれ忙しい。手軽にパパッとおいしいものが食べられたら、それはたしかにすてきです。
でも……。せわしない日々のなかで、料理まで急いで作るのって、正直ちょっとつかれませんか?
一方、この本でご紹介する「放置料理」とは「時短」とは真逆の「時間がかかる料理」です。これを聞いて「めんどくさい」「難しそう」「そんな暇ない」と感じた人も多いはず。
大丈夫です! そういうイメージを覆す「放っておけばできる」「テクニックいらずでかんたん」なレシピしかご紹介しません。
じつは、「時間」は料理をおいしくする最強の調味料なんです。
『放っておくだけで、泣くほどおいしい料理ができる』のレシピでは、自分で行うのは「お湯に入れる」「タレに漬ける」といった、シンプルな調理工程ばかり。あとは時間がたつのを「待つ」うちに、食材が勝手に変化して、どんどんおいしくなっていくのです!
かんたんだから、忙しくてふだん料理できない人でも失敗しません。 しかも、時間がたつほどおいしくなるよう設計されたレシピなので、保存がきいて作りおきにもばっちり。
そして何より、時間をかけただけあって、とんでもなく…… 「泣けるー!」なんて大げさに言いたくなっちゃうくらいおいしいのです!
最小の手間で、必ず幸せになれる
おいしい料理は裏切らない
ご挨拶が遅れましたが、漫画家の谷口菜津子と申します。
この仕事をしていると、不安でたまらなくなるときがあります。毎日毎日イラストや漫画を描いても、結果が出るのは早くてひと月後。数ヶ月後や半年後のこともあれば、すべての努力が無駄になることだってあります。
「ちゃんと面白いものが描けてるだろうか……。」
「クライアントや読者の方に満足してもらえるだろうか?」
「……ああ早く結果をくれ! 安心させてくれー!」
これはわたしの心の叫びだけれど、こんなふうに追いつめられたりネガティブになったりすることは、きっと誰にだってあるはず。そんなとき、わたしはあえて放置料理を仕込むのです。
たとえば、ハム。サッと下ごしらえして、冷蔵庫に入れたら、放っておけばいい。 仕事で何かをやり遂げられなくても、取引先に理不尽なことで怒られなくても、はたまた恋人にフラれても、数日後には驚くほどやわらかいハムができあがっています。
「たかがハム」とあなどるなかれ。
食べた瞬間、口いっぱいにいい香りがひろがり、(ほったらかしてただけだけど)こんなおいしいもの作れる自分を「天才か!」と褒め称え、自分が好きになり、自分を嫁に迎えたくなり、「今日も頑張ったな」と幸せな気持ちで1日を終えることができるのです。
この確実な幸せを、達成感を、満足を、ぜひあなたにも味わってほしいのです! 仕事や恋人は裏切ることもあるけれど、ハムは決して裏切らない。必ず結果を出してくれます。
だから、どうにか 「めんどくさい」を乗り越えて!
……と、ここまでいかに『放っておくだけで、泣くほどおいしい料理ができる』のレシピがいいものか熱弁してきましたが、いざキッチンに立つのには、ちょっとした「めんどくさい」を乗り越える「えいっ」という決心が必要。
その「えいっ」の後押しがしたくて、漫画を描きました。 次回から、本の中身を特別にちょっとずつ公開していくので、どうぞ読んでみてください。
みなさんが「これ、やってみたいかも!」と思えるレシピと出会えますように。