今日はバナナのベーコン巻きを作りながら、ワインと料理の相性について考えます。バナナのベーコン巻きは昭和天皇の好物としても知られる古い料理。ベーコンの塩気とバナナの甘い香りが、軽めの赤ワインや白ワインとマッチします。ちょうど11月第3木曜日に解禁されるボジョレーヌーボーと一緒に食べると楽しめるはず。
バナナのベーコン巻き
バナナ…1本
ベーコン…2枚
オリーブオイル…小さじ1
1.バナナは皮を剥き、適当な長さに切る。ベーコンを巻きつけて、楊枝で止める。
2.オリーブオイル小さじ1を敷いたフライパンに1を並べ、中火でじっくりと焦げ目がつくまで両面を焼く。ベーコンはすでに火が通っているお肉なので全面を焼く必要はないが、バナナがしっかりと熱くなるまで焼くのが目安。
ワインと料理の相性とは
ボジョレーヌーボーはボジョレー地方の新酒で、毎年11月の第3木曜日に解禁され、世界中で飲まれるイベントで有名です。9月頃に収穫したブドウを大急ぎでワインにするために、ブドウ自身からでてくる炭酸ガスの圧力で成分を抽出する特殊な製法が用いられます。この製法のワインはタンニン(収斂味の構成成分)が少ない割に色が濃く、フレッシュな味わいに仕上がり、バナナのような独特の香りになります。
ボジョレーヌーボーは解禁日に間に合わせるために航空便で運ぶので、やや割高のワインです。しかし、前述したとおり普通のワインとは違うものなので、その年の新酒を味わうイベントとして楽しむのがいいでしょう。
この料理はボジョレーヌーボーと一緒に食べることを想定していますが、もちろん他の軽めの赤ワイン、あるいは白ワインともあいます。
ワインと料理をあわせる場合には様々な考えがあり、答えは一つではありません。例えば一つは同じ香り成分を持つものは相性がいい、という考え方です。ここではシンプルにバナナとボジョレーヌーボーという同じ香りを持つ素材同士を組み合わせました。同じ香りをあわせることで、相乗効果を出すのです。一方で牛肉とキノコのように真逆の香りを合わせることで、コントラストをはっきりさせ、個性を引き出すという方法もあります。
次に考えるべきは口のなかのタンパク質をワインのタンニンや酸で洗い流すという性質。この料理ではベーコンの脂っぽさを赤ワインの酸味とタンニンで洗い流し、さっぱりとさせています。
料理に欠けている要素をワインで補うこともできます。例えば普通のベーコン焼きであればレモンを添えることが多いですが、この場合はワインに酸味があるのでその必要はありません。ハーブやスパイスの代わりにワインを使うのもいいアイディア。
ワインと料理を上手に組み合わせるとあたらしい風味が生まれることもあります。それは感動的な体験です。例えばブルーチーズとソーテルヌのような甘口のワインを味わうと、相性がいいとはどんなことかすぐにわかるか、と思います。
ブルーチーズとボジョレーヌーボーのような軽めの赤ワインを一緒に飲んでもあまり感心しないかもしれません。ワインと料理の強さも重要なのです。飲み物が強かったり、あるいは料理が強すぎたりするとどちらかを味わう時間が長すぎ、全体の印象が悪くなってしまいます。一般に軽めのワインには軽めの料理を、重い料理には重めのワインをあわせるのはそのためです。