果物のかき氷といった雰囲気のグラニータはイタリア、シチリア島の名物。シャーベットに似てますが、それよりもさっぱりとしたデザートです。果物のシロップやコーヒーなど様々なフレーバーがあり、家庭の冷凍庫でも簡単につくることができます。
製氷機の氷は硬くて食べるのに苦労しますが、砂糖を加えたグラニータはサクサクと噛めるのはなぜでしょうか? ポイントは砂糖の量です。液体に砂糖などを加えると水分子同士が結びつきにくくなる=凍りにくくなります。この現象を『凝固点降下』と言い、グラニータはこの性質を利用したものです。
今回、ご紹介するのは「オレンジと生姜のグラニータ」です。オレンジの爽やかな香りの後に、生姜のピリッとした辛さが残る、夏にぴったりの味。大人向きに生姜を利かせ、甘さもかなり抑えているので、お子さんがいる家庭などは生姜を抜くなど、好みで調整してください。肉料理の前の口直しとしてもぴったりです。冷凍庫で4時間ほどで凍らせる必要がありますが、準備するための実働時間は5分なので、気楽に挑戦してみましょう。
オレンジと生姜のグラニータ
オレンジジュース…100cc
ジャスミンティー…100cc(市販品で充分ですが、自分で濃い目に入れたものを使うとよりおいしくできます)
グラニュー糖… 15g
生姜 … 8〜10g程度
1.オレンジジュース100cc、ジャスミンティー100ccにグラニュー糖15gを入れ、泡立て器でよく混ぜて溶かす。そこに生姜(よく洗えば皮は剥かなくてよい)のすりおろし8g程度を加える。(Tips1 砂糖の量は22%以下が目安)
2.容器(プラスチック製または金属製)に1のシロップを移し、ラップか蓋をして冷凍庫で凍らせる。
3.凍ったらとりだし、フォークでひっかくようにして細かくする。(完全に凍る前に途中で一度、かき混ぜておいたほうが作業が楽です)きめが均一になるように氷を砕き、つぶし、ふんわりとさせる。盛り付けるか、また、冷凍庫に入れて保存する。保存してまた硬くなったらもう一度、フォークで砕いてふわりとさせればよい。(Tips 2 秘密兵器はスケッパー)
★レシピの解説
【Tips1】砂糖の量は22%以下が目安
このグラニータはオレンジジュースをジャスミンティーで割り、かすかな香りをつけるとともにさっぱりとした味を出しています。濃厚な味が好みであればオレンジジュースだけでつくってももちろんいいでしょう。しかし、水分を加えることで一歩下がって絵画を鑑賞するように、オレンジの味の輪郭がよりわかるように思います。
グラニータらしい食感の秘密は砂糖の量。グラニータの砂糖の量は液体の重量に対して22%以下が目安と憶えましょう。この数字さえ頭に入れておけば、コーヒーや紅茶など様々なグラニータをつくることができます。
砂糖と水で薄いシロップをつくり、そこにレモン果汁を加えて、同じように凍らせれば、レモンのグラニータができますし、熱々のブリオッシュとホイップクリームを添えたコーヒーのグラニータは絶品のデザートです。
ちなみに砂糖の量を増やすとシャーベットに、乳製品や卵を加え、固形分の割合を増やせばアイスクリームに変化していきます。グラニータはすべてのアイスクリームの原型と呼べる存在なのです。
【Tips 2】秘密兵器はスケッパー
今回は氷を砕くのにフォークを使っていますが、お店ではスケッパーという道具を使うこともあります。
もともとは粉にバターを切り混ぜるときに使う道具で、100円ショップなどでも購入できます。
スケッパーを使って、ざくざくと切るように砕けば効率的です。
次に紹介するのはスイカのグラニータ。スイカを食べているような感覚が魅力です。スイカをジュースにするので、貰い物のスイカが余ったときなどにつくるといいでしょう。
スイカのグラニータ
小玉スイカ…半分くらい(200cc〜300ccのジュースがとれます)
1.すいかは適当な大きさに切り、おろし金でおろし、ザルで種を取り除く。
2.できたジュースを容器に入れて、冷凍庫で冷やし固める。
3.凍ったらフォークでひっかくようにして細かくする。きめが均一になるように氷を砕き、つぶし、ふんわりとさせる。盛り付けるか、また冷凍庫に入れて保存する。
このレシピは砂糖を加えていないので、味見をすると生の状態で食べたときよりも甘味が少なく感じることに気がつくか、と思います。甘味は冷たいと感じににくくなるのです。缶コーヒーに驚くほどの砂糖が入っているのはこのため。逆にいうとグラニータにすれば甘味の強いスイカがさっぱりと食べられるということです。もちろん、好みで砂糖を加えて甘味を調整してもかまいませんし、スイカのジュースにコアントローなどのリキュールで香りをつけるのもおすすめです。