夏は水分補給の意味でも野菜をたっぷりと食べたい季節。今日は夏野菜の焼きびたしを作ります。ナス、パプリカ、ズッキーニの三種類を使いましたが、カボチャやピーマンなどの他の野菜を使ってもいいですし、一種類でもかまいません。おおらかな料理です。
焼きびたしの浸し地は水8:醤油1:みりん1に鰹節を加えて煮立てるのが基本。最近の野菜は甘味が強いので、そこに少量の酢を加えるのがコツです。家庭では薄めためんつゆを使う場合も多いと思いますが、その場合でも酸味を加えるとすっきりとした仕上がりになります。
パプリカやカボチャなどの夏野菜の魅力は色。この色はカロチノイドに由来します。カロチノイドは加熱をしても色褪せないので、揚げびたしや焼きびたしにはぴったり。また、ナスの色はアントシアニンに由来します。アントシアニンは酸性で発色する性質があるので、最後に酢を加えることで色よく仕上がります。
夏野菜の焼きびたし
浸し地
水…400cc
醤油…50cc
みりん…50cc
鰹節…8〜10g
米酢…大さじ1
ナス…2本
ズッキーニ…1本
パプリカ(赤、黄)…各1個
サラダ油…大さじ3
仕上げにのせる鰹節
1.浸し地をつくる。小鍋に水、醤油、みりん、鰹節を入れて中火にかける。沸騰したら弱火におとして30秒煮て、火を止める。味見をしてみりんのアルコール分が飛んだことを確認してから、ザルなどで漉す。(Tips 1 さまざまな用途に使える八方だし)最後に米酢を大さじ1加える。
2.ナスはヘタを切り、縦半分に切ってから、斜めに適当な大きさになるよう切る。ズッキーニは1.2cmの厚さの輪切りに、パプリカは1cm幅に切る。(Tips2 パプリカの効率的な切り方)
3.フライパンにサラダ油大さじ3を入れ、ズッキーニ、ナスを並べて、中火にかける。油の泡立ち音がしてきたら、弱火におとす。両面に焦げ目がつくまでじっくりと焼いたらキッチンペーパーの上に取りだす。(Tips3 じっくりと焼くことでさっぱりとした仕上がりに)
4.同じフライパンで火加減も弱火のままパプリカを焼く。3〜4分間焼いて、焦げ目がつきしんなりしてきたら、キッチンペーパーにとりだす。3の野菜と一緒に浸し地につける。1時間ほど置けば食べられるが、冷蔵庫で冷やしてもおいしい。盛り付けてから鰹節やショウガの千切り(水にさらす)を天盛り(上にのせること)にする。
★レシピの解説
【Tips1】 さまざまな用途に使える八方だし
今回の浸し地は出汁8に対して醤油とみりんを1の割合で混ぜたもの。煮物や天だし、鍋物などあらゆる用途に使えるので八方だしとも言います。。濃口醤油を使いましたが、うすくち(淡口)醤油を使えばきれいな色でややキリッとした味になりますし、酒を多めに入れると酒八方という貝類などにあう出汁になります。以前、紹介したそばだし(5:1:1)と同様に憶えておくと便利な割合です。めんつゆ=そばだしを水で薄めたものでも代用できます。
【Tips2】パプリカの効率的な切り方
パプリカは中心に種がありますが、ピーマンと違って硬くて食べられません。半分に切ってから取り除くのが一般的ですが、四面を切り落とすようにすると連続して作業ができるので効率的です。
まずはパプリカを倒して置き、一面をカット。
次に切った面を下にして、もう一面をカット。
こんなふうに転がしながら切っていきます。
最後にお尻の部分を切り落とします。種やワタはヘタについているので効率的です。
ロスがやや大きいので勿体ないと思うかもしれませんが、時間もまた有限。忙しい現代にあった調理法を考えていく必要があるか、と思います。
【Tips3】 じっくりと焼くことでさっぱりとした仕上がりに
ナスは多めの油で焼くとおいしい野菜です。ナスの果肉はスポンジ状(多孔質)で、加熱をすると油をよく吸い込みます。ここで両面に焦げ目がつくほど、じっくりと加熱を続けると余分な油が今度は外に出てきます。短時間で済ませようとすると油っぽい仕上がりになってしまうので、そこまで加熱するのがナスを調理するコツです。じっくりと加熱することでさっぱりとした仕上がりになるのです。
レシピではナスとズッキーニを一緒に焼いていますが、フライパンが小さい場合はまずナスを焼き、その後に残った油でズッキーニを焼くといいでしょう。ズッキーニはナスとは構造が異なり、そこまで油を吸いません。こちらもじっくりと水分を飛ばすようにして加熱すると味が凝縮しておいしくなります。