パリパリ焼き餃子とふんわり手作りシュウマイ

47回目のテーマは、「餃子」と「シュウマイ」。もちもちの皮をつくるポイントは水でなく熱湯を加えて蒸すことです。シュウマイは酵素の力でやわらかくふんわり仕上げる方法をご紹介します。この連載をベースにした『新しい料理の教科書』も好評発売中です。

ある日、餃子専門店で売られている生餃子や冷凍餃子に添付されている作り方がメーカーによって異なることに気が付きました。餃子はどのように焼けばいいのでしょうか? 餃子のおいしさは底面の香ばしさ皮のもっちりとした食感です。それを引き出すためにはどうすればいいか、を考えると、調理法はおのずと導き出せます。

今回は一般的な餃子(例えば手作り餃子)を上手に焼く手順を解説していきます。もちろん、大手メーカーが販売している冷凍餃子のなかには『水や油も不要』という商品もあるので、その場合は裏面の指示に従ってください。


焼き餃子

材料(2人前)
市販の生餃子(冷凍餃子)…12個(生餃子のつくり方を知りたい方はこちら
サラダ油…大さじ1
熱湯…100cc

作り方

1.フライパンに油大さじ1を敷き、中火にかける。そこに餃子を並べていく。(皮がくっつくので少し離して並べると安全)


2.熱湯100ccを加えて、蓋をする。(Tips1 加えるのは必ず熱湯)


3.そのまま4〜5分間加熱する。


4.蓋をとって、今度は水分を飛ばしていく。(ここで好みで油を大さじ2ほど足し、揚げ焼きするようにするとカリカリ感が増す)


5.水分がなくなってきたら焦げやすいので、火を弱火に落とす。じっくりと加熱し、鍋底が色づいてきたら、焼き上がりの目安。香ばしい焼き色がついたものから、お皿に盛り付ける。


★レシピの解説

【Tips1】加えるのは必ず熱湯

餃子を焼くときは、蓋をして蒸し焼きにするのが普通です。餃子は蒸してから焼くことでパリッとした底と、もちもちとした上部の皮という食感が実現できます。この際、水を加えるレシピと、お湯を加えるレシピがありますが、どちらが正しいのでしょうか?

餃子の皮は小麦粉=デンプンでできています。水から加熱するとデンプンが溶け出して、歯ごたえのない仕上がりになってしまいます。逆にお湯で茹でればデンプンの流出を抑えることができ、もちもちの食感になるのです。うどんを水から茹でる人があまりいないように、ここで加える水分は熱湯が基本です。



手作り肉シュウマイ

焼き餃子は中国ではなく、日本で独自に発展した料理。その普及には餡を皮に包む餃子製造機の存在があります。この登場によって大量生産が可能になり、おいしい餃子を安く提供することができるようになりました。手でちまちまと包む時間には別の価値がありますが、餃子は買ってきた方が合理的です。

一方、手作りするなら『シュウマイ』がオススメです。餃子を包むのは大変ですが、シュウマイなら簡単にできますし、作り方もシンプル。なによりできたてのシュウマイはふっくらとして、驚くほどおいしいんですよ。

材料(4人前)
豚ひき肉…250g
醤油…大さじ1
砂糖…大さじ1
ショウガのすりおろし…10g
胡椒…少々
玉ねぎ…140g〜150g(1/2個) みじん切りにしておく
片栗粉…大さじ2
シュウマイの皮…30枚

作り方

1.肉ダネを作る。豚ひき肉、醤油大さじ1、砂糖大さじ1、ショウガのすりおろし10g、胡椒少々をボウルに入れ、手で混ぜる。全体に均一に混ざればよい。


2.玉ねぎのみじん切りを片栗粉大さじ2で和え、1の肉だねに加える。混ざったら室温で15分置くか、冷蔵庫で1時間寝かす。(Tips1 酵素の力でふんわりさせる)


3.テーブルナイフなどを使ってシュウマイの皮で肉ダネを包む。左手の親指と人差し指でOのサインをつくり、そこに肉ダネを押し込むようにするとよい。


4.フライパンに7mm厚に切った玉ねぎのスライスや茹でたレタスやキャベツなどを敷き、シュウマイを並べる。この時、蒸気が通るようにシュウマイ同士を離して配置する。


5.お湯100ccを加え、蓋をして強火にかける(水の分量を出していますが、玉ねぎの高さを超えないように調整してください。水の量が多いとシュウマイが溶けてしまいます)。30秒ほど待ち、蒸気が充満したら火加減をごく弱火に落として10分間蒸す。


6.出来上がり。


★レシピの解説

【Tips1】酵素の力でふんわりさせる

おいしいシュウマイをつくるために使うのは生の玉ねぎ。生の玉ねぎを加えて、しばらく時間を置くことで、玉ねぎに含まれるタンパク質分解酵素の働きによって肉の結着力がなくなります。こうすることで他に余計な具材を混ぜなくてもふんわりとしたシュウマイになります。酵素を上手に使って肉をやわらかく仕上げる技法は前回の生姜焼きと同じです。


蒸し器を使ってもいいのですが、今回はフライパンで蒸しています。工程でも書きましたが水の量だけ注意してください。上げ底に使った玉ねぎもおいしく食べることができるので忘れずに。

お皿に並べて霧吹きで水を吹きかけてからラップをふんわりとかぶせ、600wの電子レンジで2分間加熱しても同様に調理できますが、蒸し器やフライパンの弱火で蒸し上げたほうが、ふっくらとジューシーになります。

この連載では基本的に二人前の分量のレシピを紹介していますが、市販のシュウマイの皮はたいてい30枚入りなので、いつもよりも多めの分量になっています。残ったシュウマイは冷凍するなどして保存してください。

<次回は4月26日(土)に更新予定です>

この連載やnoteの記事をベースに、書き下ろしレシピも加えた『新しい料理の教科書』が好評発売中です。ハンバーグ、チャーハンなどの定番メニューを家庭でいちばんおいしく作る方法をご紹介しています。

この連載について

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おいしい」をつくる料理の新常識

樋口直哉

食の博識、樋口直哉さん(Travelingfoodlab.)が、味噌汁、ハンバーグ、チャーハンなどの定番メニューを、家庭でいちばんおいしく作る方法を紹介します。どういう理由でおいしくなるのか、なぜこの工程が必要なのかを徹底的に紹介し、...もっと読む

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    コメント

    ymkkym どちらもお湯なのですね。試してみねば。 11ヶ月前 replyretweetfavorite

    marosayo |「おいしい」をつくる料理の新常識|樋口直哉|cakes(ケイクス) 油あんまりつかわないから 胃にもやさしそう https://t.co/TybtDJ5vN7 11ヶ月前 replyretweetfavorite

    mori_kananan |樋口直哉 @naoya_foodlab |「おいしい」をつくる料理の新常識 こんなの見たら作らずには…!!! https://t.co/Wp1dGYSASW 11ヶ月前 replyretweetfavorite