涼しさ感じる、まるごとトマトの冷製スープ

酷暑が続きますが、本日ご紹介するのはそんな日にうれしい『まるごとトマトの冷たいスープ』。トマトまるごと一つをコンソメに漬けて冷やしたスープは、トマトのおいしさを最大限に味わえるスープです。この連載を元にした書籍『スープ・レッスン』も好評発売中です。

加熱は5分、冷蔵庫でうまみを抽出。

暑い暑い日の夕暮れ、目にも舌にもひんやり涼しい、冷やしトマトのスープはいかがですか?
真っ赤なトマトにナイフを入れて、スープと一緒に口に入れると、サラダとはまったく違った味わい。冷たくておいしくて、猛暑に疲れた体が生き返るようです。

まるごとのトマトを淡いコンソメに漬けて、冷蔵庫で冷やしながらじわじわ味をしみこませます。とても簡単で、冷やす時間こそかかりますが、加熱時間はそれほどではありません。包丁もトマトのヘタをとるときに使うだけ。前の晩に仕込んで朝食べたり、朝作って夜食べるとちょうどよいと思います。

ごちそう風に見えて満足感も高く、夏の新定番になりそうなスープです。甘い夏のトマトでさっそく作ってみてください。


まるごとトマトの冷たいスープ

材料(2人分) 所要時間10分 ※冷やす時間は除く

トマト 2個
ブイヨンキューブ 1/4個(1.5g~2gど)
塩 小さじ2/3(4g)
水 約600mL

作り方

1 だしをつくる
鍋に水600mLと塩、ブイヨンキューブを入れて煮立てる。★1

2 トマトを煮る
トマトのヘタをとり、ヘタ側を下にして、だしにそっと沈める。煮立てないようにして中弱火で煮る。5~6分たったら、火を止めてそのまま冷ます。★2

3 皮をむき、冷やす
あら熱が取れたらおたまなどでトマトを持ち上げて皮をむき、だしと一緒によく冷やす。盛り付けて、塩(分量外)を軽くふる。★3


レシピのポイント解説

・ブイヨンキューブの使い方
・トマトの大きさと、煮方
・冷やすときのコツ

★1 ブイヨンキューブの使い方

このスープでは、ブイヨンキューブ(コンソメキューブ)を使います。キューブと書いているのは使っている方が多いからで、もちろん顆粒でも結構です。

ブイヨンキューブを使うときに気を付けたいのは、量を使いすぎないこと。1個の1/4量ぐらい入れると、かなりうまみがしっかり感じられます。そして、この程度の使い方なら、トマトの風味を邪魔しません。おいしいと思うぐらい入れてしまうと、トマトの味よりブイヨンキューブの味の方が前に出てしまいます。

少なめに使うのが、おいしく、また素材の味を立てるためのポイントです。


いつもブイヨンキューブを無意識に入れている人は、意識して量を減らして


★2トマトの大きさと煮方

今回は中ぐらいの大きさのトマトを2個使います。16センチの鍋に入れたとき、ちょうど2個か3個入るぐらいのトマトが、まるごと食べるには良いと思います。というのは、あまり大きな鍋にトマトが少しでは、だしが無駄に必要になってしまうからです。もっと大きな鍋しかない場合は、トマトの数またはだしを増やして対応します。


径16センチの鍋だと中ぐらいのトマトが2つか3つ入る

材料が少ないだけに、トマトの味が決め手となります。


包丁の切っ先で、ヘタをくるりととりのぞく

トマトのヘタをとっているあいだに、煮立てた水600mLに塩小さじ2/3とコンソメ1/4個を入れ、そこへトマトをそっと入れてふたをし、5~6分煮ます。中弱火で、煮立てないように。トマトが顔を出しているようなら、ふたをするか、途中で一度ひっくりかえしましょう。


沸騰させるとトマトが煮崩れ、スープが濁る

皮に亀裂が入ると思いますが、むいてしまうので大丈夫。5~6分煮たら、火を止めましょう。そのままあら熱をとります。


★3 冷やすときのコツ

このスープは、煮込むというよりは、冷蔵庫で冷やしている間にじわじわとトマトに味を含ませ、同時にスープにトマトの味が出てくるようにしています。だから、急いで氷で冷やすというのはあまり向きません。

さわって熱くない程度になったら、トマトの皮をむきます。スープで煮ているのでつるんとむけます。いわゆる「湯むき」ですね。


こんな風におたまや豆腐すくいなどで持ち上げると下までむきやすい

あとは、汁ごと容器に入れて冷やしましょう。スープが若干濁るのが気にならなければ、むいた皮も入れておきましょう。6時間以上、しっかり冷やします。


トマトの皮からもトマトの味がスープに出てくる

最後にほんの少量の粗塩をトッピングしましょう。そのことで味が締まり、スープやトマトにランダムに混ざることで変化がついて食べ飽きません。


ひんやりトマトで夏養生

トマトは本当にいろいろな食べ方ができる野菜です。このスープ・レッスンでも何度となくトマトのスープを作っていますが、どれひとつ同じものはありません。その中でもフレッシュなトマトをストレートに味わうこのスープは、トマトのおいしさを120%味わえるスープだと思います。トマトを崩しながらスープに混ぜ込んでいくと、どんどんスープもトマトも変化していって面白いですよ。

トマトは皆さんご存じβカロテンやリコピンなど、栄養もたっぷり含まれた野菜です。でも何よりこの真っ赤な色から元気がもらえると思いませんか? まるごとトマトがあるだけで、きっと食卓も華やぐはずです!


【アレンジ】トッピングでがらりと雰囲気が変わる

このスープは極めてシンプルで、トマトのフレッシュさも残しています。サラダ感覚でいろいろ合わせてみるとよいと思います。ここではきゅうりと生ハムをご紹介しましたが、鰹節をかけたり、薄切りのたまねぎをのせたり、自由自在。また、コンソメの味が主張しすぎていないので、はちみつなどをトッピングするのも案外合います。

トマトとおろしきゅうりのスープ

きゅうりのすりおろしをちょっと絞ってトッピング。きゅうりにはほんのり酢をかけてもいいかもしれません。彩も鮮やかで、きゅうりとトマトというありふれた食材だけで、全く違う印象になりますよね。コンソメを昆布だしにかえてもおいしい。

トマトと生ハムのスープ

トマトは味がしっかりしていますので、生ハムのように味の濃いものをのせても引き立て合います。作り置きができ、仕上げに生ハムを乗せるだけなので、来客時にも便利な料理です。いろどりに細ねぎをあしらっています。ワインでどうぞ。

スープ・レッスン

有賀 薫
プレジデント社
2018-09-27

この連載について

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スープ・レッスン

有賀薫

野菜、お好きですか? おいしい旬の野菜を手に入れたら、ぜひシンプルなスープで味わってみてください。旬の野菜をたっぷり食べる、究極のベーシック・スープをスープ作家の有賀薫さんが教えててくれます。

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    mougyu_dasen @OOGUCCHAN ちょっと早めに帰ってゆっくり晩酌しました~。作り方はとても簡単で、夫からまた作ってとリクエストされました~。こちらのレシピで作りました~😊 https://t.co/gqvDziQAi3 7ヶ月前 replyretweetfavorite

    caramelholic トマトの冷製 7ヶ月前 replyretweetfavorite

    awai_tsg 有賀薫さん @kaorun6のまるごとトマトの冷製スープ。 ちょうどいい大きさのお鍋がなく、半量ずつ仕込みました。 もう既においしくて、夜食べるのがとっても楽しみです😋 https://t.co/vZqOjEDilt https://t.co/pLEI1eDgNc 7ヶ月前 replyretweetfavorite

    yuri_m1029 参考にさせて頂いたレシピ https://t.co/KozdEydKX1 https://t.co/iAbx0nHBC9 7ヶ月前 replyretweetfavorite