ゴロンと具として食べるおいしさ
8月かと思うような暑い日もあり、さっぱり、あっさりしたものが食べたくなる今日この頃です。さわやかな野菜といえば、みょうがをおいて他にはありません。ふだんはそうめんや汁の薬味などで食べる方が多いかと思いますが、このみょうがを味わいきる夏らしいスープを作りましょう。
鶏のむね肉で、くどすぎないだしをとります。パサパサになりがちな鶏むね肉、今日は具としてもおいしく食べられる煮方をお伝えします。やわらかい鶏肉とシャキっとした歯触りのみょうがが、とても相性のよい組み合わせです。
酢を隠し味に使うのも大きなポイント。使うタイミングを考えれば酸っぱさは落ち着き、それでいて夏らしい爽快感を感じさせる一皿になります。
みょうがと鶏むね肉のさっぱりスープ
材料(2人分) 所要時間15分
みょうが 3~4個
鶏むね肉 180g(1/2枚)
塩 小さじ2/3
酢 小さじ2
醤油 小さじ1
水 500mL
作り方
1 みょうがと鶏を切る
みょうがは縦半分に切る。鶏肉は、皮をとって薄めのそぎ切りにする。皮も刻む。★1
2 調味料を煮立て、肉を煮る
鍋を中火にかけ、酢小さじ2と塩小さじ2/3、水500mLを加えて沸かす。★2
沸騰したら弱火に落とし、鶏むね肉を一枚ずつそっと入れていく。鶏皮も最後に加える。かき混ぜないように1分半から2分煮たら、鶏皮を残してむね肉を皿に取り出す。★3
3 みょうがを煮て鶏を戻す
みょうがを鍋に加えて2分ほど煮たら、鶏を戻し、醤油小さじ1で味をととのえる。
レシピのポイント解説
・みょうがと鶏肉の切り方
・酢について
・具材の煮方
★1 みょうがと鶏肉の切り方
鶏肉のさっぱりとしただしで、みょうがを食べさせる、このスープ。鶏肉よりみょうがを主役にしたいので、大きさを考えて切っていきましょう。
まず、みょうがは、洗って半割にします。つやつやでぷっくりしたものが、おいしいみょうがです。
何も考えずにザクッと半分に!
鶏むね肉は、最初の大きさによりますが、一枚の2/3~1/2ぐらいでしょうか。皮をはずして肉と皮は別々に切るとラクです。
肉は「そぎ切り」です。厚みのある鶏肉を食べやすいように薄く切る方法で、包丁を寝かせて削ぐようにします。
この角度で包丁を入れる
切るときは、左手を肉に添えて、包丁の刃の手元側を肉に当て、手前に引くように切ります。
左手で抑えて、手前にすーっと引くように切る。8mmぐらいの厚みが理想
肉が大きすぎて切りにくいと感じるときは、まずヨコ半分にしてからやると、肉の一片は少し小さくなりますが、やりやすくなります。
身が全部切れたら、皮も切ります。
皮は普通に小さめのぶつ切りでOK
★2 酢について
このレシピで鍋に最初に入れるのは、酢と塩です。煮立てると酢の酸味がやわらいで、酢のうまみとほんのりした酸味が残ります。
酢と塩、水を合わせて煮立てる
酢にはさまざまな種類があり、もっとも迷うのは「穀物酢」と「米酢」でしょうか。
穀物酢と米酢、どこがちがうの?
穀物酢は、米、とうもろこし、小麦などの穀物をミックスして作られています。ツンとした酸味が特長です。
米酢は文字通り米のみで作られた酢です(米も穀物なので広義的には穀物酢です)。穀物酢より酸がまろやかでうまみがあります。
どちらも酢のもの、炒めもの、ドレッシング、スープなど、何でも使えます。米酢には独特の匂いがあり、和食の酢のものやすし酢には相性がとても良いのですが、洋風の料理などの場合、この風味が邪魔をすることがあります。
私が使ってみた中でどれか一本と言われたら、比較的くせが少ない村山造酢の米酢「千鳥酢」をお勧めします。酸味はしっかりでさっぱり味のニュートラルな酢だと思います。
販売時は紙に包まれている
★3具材の煮方
調味料に水を加えて煮立てたところに、切った鶏肉を入れます。「慎重に煮る」ことが大事です。
火を弱め、一枚ずつ静かに、鶏むね肉を湯に入れていきます。ボコボコ煮立てるとアクがたくさん出て濁ってしまいます。
一枚ずつそっと。どさっとまとめて入れない
一枚ずつ入れることで鶏の表面をさっと固め、さらに弱火でゆっくり煮ることで、なるべくきれいなスープをとりたいのです。
鶏肉があばれないよう、じわじわ煮る
火を通しすぎると鶏むね肉はあっという間にパサついてしまいます。厚さにもよるので厳密に時間はいえませんが、1分半から2分。気になるなら試しに一枚、切ってみましょう。
鶏が煮えたら、鶏皮を残して一度皿に取り出してしまいます。鶏皮はそのまま入れておいて大丈夫です。少し面倒に感じるかもしれませんが、鶏肉でだしをとり、そのだしでみょうがを煮る感覚です。
肉を入れたままにしておくと、みょうがが煮える間に固くなってしまう
鶏を皿に移したあとの鍋でみょうがを煮てから肉を戻し、醤油を少々加えて味を調節します。醤油は香りが飛んでしまうので、最後に入れます。
みょうがは2~3分煮ればOK、シャキシャキ感も残す
和のアロマ、みょうがを楽しむ
みょうがはそれ自体が大きな栄養価のあるものではありませんが、独特の香りを持つ、夏の清涼剤。食欲も進み、夏の体力作りに役立ちます。
そうめんの薬味などに使うことが多いため、夏野菜という印象がありますが、6~10月頃まで、「夏みょうが」「秋みょうが」と収穫時期をずらして、比較的長い期間旬があります。季節が深まるにつれ、味わいも増していきます。
スープならとっても簡単にみょうがの魅力を味わえます。これからの季節、たっぷりとお召し上がりください!
【アレンジ】夏の食事に繰り返し作りたい、バリエーションの多さ
香りは独特で個性があるみょうがは、意外にどんな素材とも仲良くなれます。鶏肉を豚の薄切りに変えてもおいしいですし、麺を入れてボリュームアップさせれば、食べごたえと満足感が嬉しい一皿になります。
みょうがとなす、鶏のスープ
具になすを加えて、にぎやかに。冷たく冷やすと暑い時期に嬉しい一皿になります。なすは、水にさっとつけたあとでレンジ加熱してから、みょうがと一緒に加えます。
みょうがそうめん
基本のスープに、めんつゆ大さじ1を加え、ゆでたそうめんを入れます。味付けが繊細なので、細いそうめんが合うと思います。そうめんを入れると水っぽくなるので、めんつゆで一味濃くしておきましょう。
<次回は6月17日(月)に更新予定です>