切り方を変えた、セロリのダブル使いがポイント
春が旬のセロリの葉や茎をたっぷりと刻み込んだ、肉だんごを作りましょう。捨ててしまいがちなセロリの葉を、香味野菜がわりにします。ひき肉の臭みもなくなり、無駄なくセロリを味わえます。使う食材はセロリとひき肉だけなのに、物足りなさを感じさせない、これ一皿でメインになるような堂々たる一皿です。
セロリは生だとそれほど大量には食べられませんが、歯ごたえが残るようにさっと加熱すると、しんなりしながら香りはそのままで、たっぷり食べることができます。炒め物、あえもの、もちろんスープにも重宝する野菜です。セロリ嫌いなお子さんでも、これならおいしく食べられます。
セロリがやわらかく、みずみずしい今のうちに、ぜひどうぞ!
セロリだんごのスープ
材料(2人分) 所要時間約20分
セロリ1本 (150g前後)
鶏むねひき肉 200g
塩 小さじ1
サラダオイル 大さじ1
作り方
1.セロリを切る
セロリは上部の細い茎と葉はみじん切り、太い茎の部分は斜め薄切りにする。★1
2.肉だんごを作る
鶏ひき肉に塩小さじ1/3を加え、ねばりが出るまで練る。
そこへ、みじん切りにしたセロリの葉と茎、サラダオイルを加え、よく混ぜる。
鍋に湯を600mLわかし、8等分にした肉を手で丸めて入れ、弱火で5~6分煮る。★2
3.セロリを煮る
薄切りのセロリと塩小さじ2/3を加え、2分煮て火を止める。
レシピのポイント解説
・セロリについて
・肉だんごの作り方
★1 セロリについて
セロリは、下半分は太い茎の部分、上半分は細い茎と葉に大きく分けられます。ふだんは茎しか食べないという方も多いかもしれませんが、今日は葉も少し使います。
まずは、セロリを上下半分に切ります。
上部の細い茎と葉、下部の太い茎に分ける
それから、細い茎と葉を細かく刻みます。葉が多いセロリの場合は全部使わず、減らしましょう。細い茎と合わせて、50~70gほどです。
細い茎は、まず縦に包丁を入れてから、刻んでいくと簡単にみじん切りに。
葉は、肉だんごのたねに混ぜやすいよう、端から刻んだあとタテヨコに包丁を入れ、みじん切りにしておきましょう。
続いて、下半分の茎を斜め薄切りにします。セロリには筋がついていますが、これは茎を斜めに切ることで断ち切りますので、取る必要はありません。
上半分が肉だんご用。下半分がスープ用
★2 肉だんごの作り方
肉だんごの手順は、
① 肉と塩を練る
② セロリと油を加える
③ 丸めて、ゆでる
この3段階です。難しいことは全くありません。
まずは、鶏ひき肉と、塩を練ります。鶏ひき肉は、今回、さっぱりしたむね肉を使いましょう。肉はよく冷やしておきます。
へらを使えば手を汚さず済みますが、手が早いです。若干汚れても、道具を洗うより手を洗う方が簡単。
指でぐるぐる混ぜると、30秒から1分で肉が粘ってくる
肉がしっかり粘ったら、そこに、先ほど刻んだセロリの上半分の葉と茎、そしてサラダオイルを入れます。サラダオイルを加えることで、むね肉独特のぱさつきを抑え、肉だねを扱いやすくします。
ここでは斜め切りのセロリはまだ入れない
よく混ざったら、8等分にし、ここで一度手を洗いましょう。
最初に等分にしておくことで、あとの作業がスムーズになる
鍋に600mLの湯をわかします。
鍋は、あまり径の大きなものだと、水位が低くなり、肉だんごが顔を出してしまうため加熱ムラが出ます。
今回は、径16㎝の片手鍋を使い、肉団子がちゃんと水に浮いて動けるようにしました。径20cmぐらいまでの鍋なら水の量を100mLほど増やして作っても大丈夫です(あまり水を加えすぎるとだしが薄まってしまいます)。
ぬれた手で肉だねを転がすようにしてまるめ、そっと湯の中に入れます。火は弱火です。あまり強いと表面が割れてしまいます。
手を水でぬらしてまるめるのが、べたつかず、表面をなめらかに作るポイント
弱火のままゆっくり煮る
5~6分煮ると、肉だんごが気持ち水面に浮かび上がってきたようになります。ここまでくると、肉だんごは完成です。あとは、斜め薄切りにしたセロリの茎と、残りの塩を足して2分ほどあたためれば、できあがりです。
最後のセロリはそれほど煮込まず、シャキシャキ感を残す
穏やかなセロリの香りの、ごちそう肉だんご
肉だんごを作るときは、しょうがやねぎなど、ひき肉の匂いを消す効果のある香味野菜を入れることが多いのですが、このレシピでは刻み込んで入れたセロリの葉が、その代わりをしてくれます。そのままでは苦みがあって食べにくいセロリの葉を有効活用できます。
セロリの香りには、鎮静効果があるそうですよ。イライラする人、不安になりがちな人は積極的にとるといいかもしれませんね。おいしいスープで、心穏やかに過ごしましょう。
【アレンジ】春雨を入れてエスニック風に
個性的な肉だんごのスープですが、あっさりとした塩味のスープなので、案外アレンジもききやすいのです。ここでは、春雨を加えたり、香味野菜をもっと加えて大人の味にしたりしてみます。
セロリだんごの春雨スープ
肉だんごをゆでるときの水を少し増やしておいて、肉だんごをゆでたスープに春雨を加え、3分ほど煮ます。セロリの斜め切りを入れるのは春雨のあとで。ボリュームもあり、軽いランチにもぴったりです。
セロリだんごと香味野菜のスープ
ピーマン、青ねぎなどの香味野菜を切ったものをこのスープに加え、ナンプラーやニョクマムで味付けすると、ベトナム風のスープになります。パクチーやレモンなどを添えればより本格的です。ナンプラー(タイ)、ニョクマム(ベトナム)は、どちらも魚醤で、若干の差はありますが、料理には同じように使えます。
<次回は3月18日(月)更新予定です>
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