コンビニでも買える焼き鳥で、時間をかけた味をスピーディに。
風邪に気をつけたいシーズンです。予防法もいろいろ紹介されていますが、手洗いをマメにするぐらいしかないようです。せめて熱々スープで栄養をとって、基礎体力をつけておきたいですね。
さて、今日の主役は冬が旬の長ねぎ。すらりと伸びた白ねぎを薄切りにし、よく炒めてスープの素にします。これにあわせるのは鶏のだしです。といっても、生の肉や鶏ガラからとるのではなく、コンビニなどで売っている焼き鳥を使って手軽に作りましょう。
とろんとしたねぎの甘さと鶏のだしが絡まり合って、まるでポタージュのような、こっくりした深みのあるスープになります。鍋ぐらいしか用途がみつからないという人も、旬の長ねぎのおいしさを存分に味わってみてください。
長ねぎと鶏皮のスープ
材料(2人分) 所要時間約10分
長ねぎ 1本 ※直径2㎝以上のもの
鶏皮焼き鳥(塩) 大1本 ※生の鶏皮1~2枚でも
サラダオイル 大さじ1
塩 小さじ1
七味唐辛子 少々
水 550mL
作り方
1.長ねぎを切る
長ねぎは、洗って斜め薄切りにする。★1
2.長ねぎを炒める
長ねぎを鍋に入れ、サラダオイル、塩小さじ1/2、水50mLを加え、水分がなくなるまでは中火、水分がなくなったら弱火に切り替え、4~5分炒める。★2
3.鶏皮と水を加えて煮る
鶏皮を串から抜いて鍋に加え、水500mLを加えて中火にする。煮立ったら火を弱めて約3分煮る。味を見ながら、残りの塩で味を調節する。★3
レシピのポイント解説
・長ねぎについて
・長ねぎの炒め方
・焼き鶏について
★1 長ねぎについて
通常店で売られているのは、白い部分がメインになっている根深ねぎです。
ある程度太めのもの、直径が2㎝から2.5cmぐらいあるねぎを選びましょう。
深谷ねぎよりもっと太くて短い「下仁田ねぎ」も、トロッとやわらかく、おいしく作れます。出回る時期が短いのですが、もし店頭で見かけたら試してみてください。
太く短い下仁田ねぎ、白く細い深谷ねぎ。泥を落として売られているものでもOK
ねぎは、斜め薄切りにします。
青い部分も、綺麗なところまでは使う。汚れたり、しおれたりした部分は除く
分岐するところに泥が挟まっていることがあります。くるっと一枚むいて、汚れていたら洗い流しましょう。
1枚むくと、ネギの分かれ目のところに泥がはさまっていることも。洗い落とせばOK
★2 ねぎの炒め方
長ねぎには辛みと香りがあります。これらはねぎの魅力のひとつではありますが、今日はスープにするので、しっかり炒めて甘みとうまみを強調したいと思います。
まず鍋に切った長ねぎを入れ、水50mLと塩小さじ1/2、サラダオイルを加えてさっと混ぜ、中火で炒めはじめます。
水が入っている間は焦げないので、ときどき混ぜつつ加熱する
さらに火を入れていくと、内側の部分が溶けてねっとりとしてきます。焦げ付きそうなときは水分を少し加えましょう。
水分がなくなると焦げ始めるので、ヘラなどで動かしながら炒める
全体で4~5分炒めて、長ねぎが小さくなり刺激臭がなくなれば大丈夫です。
★3 鶏皮について
ねぎに合わせるのは鶏。肉ではなく、皮を使います。
今回は、コンビニやスーパーの総菜売場、焼き鳥店で売っている焼き鳥の鶏皮を使いたいと思います。すでに加熱してあるのであく抜きも必要なく、しかもこの焦げ目がうまみを加えてくれます。
たれと塩がありますが、塩味をチョイスしましょう。
ファミリーマートの大きめサイズの焼き鳥なら一本、専門店など小さめの串の場合、2本使っても
焼き鳥は串から外し、長ねぎが炒め上がったところで加えます。
あとは、水を加えて軽く煮るだけです。すでにねぎにも焼き鳥にも火が通っていますので、味をなじませるよう、煮立ってから約3分ほど弱火で煮込みます。
最後に残りの塩で味を調節していきましょう。焼き鳥に味がついています。その味によって少しずつ違いますので、必ず味見をしてから塩を入れてください。
軽く煮込むことで焼き鳥とねぎがなじむ
もし、焼き鳥が買えない場合、生の鶏皮を細かく刻んで使ってもおいしくできます。
スーパーなどで鶏皮だけまとめて売っていることもある。もも肉やむね肉についている皮をはがして使ってもOK
鶏皮はキッチンばさみで切ると楽。使い終わったハサミはしっかり洗っておくこと
ネギの水分がなくなったところで鶏皮を加えて一緒に炒める
切り方で味も食感も変化します
スープで使うときは、細かく刻んで薬味的に使うイメージが大きい長ねぎ。油で炒めると辛みも抜けて、なんとも言えない甘みと、うまみが出てきます。こうしてスープのベースに使うと、味がぐっと深まります。
ねぎは切り方で味の感じがずいぶん違ってきます。今回は、薄切りにして炒めることで、短時間の加熱でもとろりとした食感になり、ねぎの違った魅力を引き出します。
体を温めると言われるねぎですが、その効果は生食の方が強いので、刻みねぎを上から散らすのもひとつの方法です。でも、効果効能にこだわりすぎず、おいしいスープで体をほかほか温め、気持ちよく過ごすのが一番の風邪予防という気もしています。
【アレンジ】どんな食材でも合う万能スープ
鶏とねぎ、という組み合わせは、和洋中、どんなスープにも展開できます。基本のレシピはサラダオイルで作りましたが、オイルをオリーブオイルやごま油に変えるだけでもぐっと雰囲気が変わります。
ここでは洋風に変える方法をひとつ、それからうどんを入れて一食になるようなアレンジをご紹介します。
ねぎと鶏のクリームスープ
鶏皮のかわりに、もも肉の焼き鳥で作り、加水するときの水のうち100mL分を牛乳に変えて洋風に仕上げます。長ねぎのとろみだけでもいけますが、少し片栗粉でとろみをつけてもいいでしょう。里芋を加えてボリュームアップしています。
ねぎと鶏皮のキムチうどん
基本のスープにキムチを足し、塩のかわりにめんつゆで味つけして、うどんつゆにします。手軽な材料でパッと作って食べられる、手軽でおいしい一食です。
<次回は2月18日(月)更新予定です>
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