正月明けの胃腸を、「一汁一飯」で整える。

お正月明けの疲れた胃腸を、やさしく整えるセリと鶏肉の味噌汁をご紹介します。じつは根っこがおいしいセリを1束まるごと使います。スープ作家の有賀薫さんによる、旬の野菜をたっぷり食べるベーシック・スープのレッスン。この連載を元にした書籍『スープ・レッスン』も好評発売中です。

根っこも使った、セリを楽しむお味噌汁

年が明けましたね。年末年始はいかがお過ごしでしたか?
お正月気分を日常に戻すためにも、まずは年末年始の食べ過ぎ・飲み過ぎで重くなった体を、少し整えたいところですね。

そんなときはやっぱり、ごはんと味噌汁の組み合わせが一番です。今日は春の七草のひとつでもあるセリと、鶏肉を組み合わせた味噌汁を作ろうと思います。鶏肉やセリの根っこからいいだしがでるので、わざわざ別にだしを取る必要はありません。セリの香り高い、シンプルでも満足感のある味噌汁です。

「一汁一飯」は私の造語ですが、ごはんと具のたっぷり入った汁さえあれば、じゅうぶんな食事になります。作るのも食べるのも後片付けも楽で、体もすっきり。簡素な食事で一年をスムーズにはじめましょう。


セリと鶏肉の味噌汁

材料(2人分) 所要時間約15分

セリ 1束(約100g)
鶏肉細切れ 100g
味噌 大さじ3 (54g)
水 600mL

作り方

1.セリを洗う
セリはボウルに水を張って水をかえながらきれいに洗って水切りする。4㎝ほどの長さに刻む。★1

2.鶏でだしをとる
鶏と水600mLを鍋に入れ、中火にかける。沸騰したらアクをすくい、火を弱火にして2分ほど煮る。★2

3.味噌を溶き、セリの葉を加える
セリの根を加える。味噌を溶きながら加え、残りのセリを混ぜ込んですぐ火を止める。★3


レシピのポイント解説

・セリについて
・鶏でだしをとる
・セリの煮方

★1 セリについて

春の七草のひとつに入っているということで紹介しますが、セリの旬はじつは2月頃からスタートで3月がピーク。旬になると値段も落ち着いて手に入れやすくなりますので、食べるならこれからです。

すっきりした独特の香りが特長で、秋田のきりたんぽ鍋や、根っこを一緒に食べる仙台のセリ鍋も有名です。根はセリの一番おいしいところといってもいいぐらいです。残念ながら先が切られていることが多いのですが、うまみが出るのでぜひ使いましょう。茎が太く、色濃いものを選びます。根も含め、およそ100g使います。

セリは、よく洗うということが最大のポイントです。セリは湿地で栽培されるため、根も汚れていますし、案外ごみがついています。大きなボウルにたっぷり水を張り、何度か水を変えながら洗います。


まず汚れた根っこの部分を水に数分漬けて、汚れをふやかす

指で根を分けるようにして、流水に当てて洗います。もし余分な歯ブラシがあれば、使うと楽です。


根っこは歯ブラシを使うと泥が落としやすい


葉は水の中で振るように洗う

洗ったセリは、よく水を切って、4㎝ほどのざく切りにします。


包丁の金気がつくとアクが出るので、だしの準備が整ってから、ギリギリで切るのが理想です。


★2 鶏でだしをとる

鍋に水600mLと鶏肉を入れます。鶏肉は、もも肉のほうが味がよく出ますが、むね肉でもOKです。皮が少し入っているといいでしょう。鶏の脂とセリの相性がよいからです。


水から煮始める

中火で煮て、沸騰すると鶏から白いアクが出てきます。ある程度出たところですくいます。


沸騰し続けるとアクがいつまでも出るので、すくったら弱火に落とす


★3 セリの煮方

鶏のだしに、セリの根っこだけをまず入れます。


葉はまだ入れず、根っこだけ

ここで味噌を溶き入れましょう。


葉を入れる前に味噌を溶いてしまう

味噌がすっかり溶けたら、残ったセリの葉を鍋に加え、すぐ火を止めます。


かなり多く感じるが、軽く混ぜるとすぐに煮えて、かさが減る

セリの加熱は、余熱で十分です。ぐらぐら煮てしまってはいけません。すぐに食べないときは、味噌を溶いたところまで作って、食べる直前にあたためて葉を入れます。


さわやかな香りが薬にも

セリは漢方では水芹(すいきん)と呼び、生薬にもなる野菜。健胃効果や食欲増進、また解熱や解毒の作用があるとされています。鉄分も多いため貧血の人にもおすすめです。
春の七草に入っているのも、邪気をはらい、万病を遠ざけるという薬効があるからでしょう。

効能はともかく、鮮烈な香りとさわやかなほろ苦さは魅力的。シャキシャキのセリに鶏の脂が絡んだ味噌汁は、ごはんの進む味で、やみつきになること間違いなし。ぜひ作ってみてくださいね!


【アレンジ】セリと相性がよい組み合わせは?

セリは独特の香りを楽しみたい野菜。あまり具の種類が多すぎるとかえってセリの魅力が半減してしまいます。シンプルに、これぞという組み合わせでいきたいものです。うまみと少々の油分がポイントです。

セリと油揚げの味噌汁

肉は入れずに精進でさらに胃腸を休めたい、という人は鶏肉のかわりに油揚げがおすすめです。ただし、油揚げとセリだけではすこし物足りないので、だしを使います。鍋に昆布7gと水700mLを入れて1時間ほど漬けておけば、昆布だしがとれます。顆粒だし3gを600mLのお湯に加えたものでもOK。だしについては、こちらもどうぞ!


セリと豆腐のスープ

味噌のかわりに塩味で作ってもおいしいものです。小さく切った豆腐を入れて、うまみとボリュームをアップ。豆腐は、鶏のだしを作って、根っこを入れる前に加えてあたためます。


<次回は1月21日(月)更新予定です>


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    コメント

    AizuLover 鶏だしに、セリをごっそりいれて、味噌をといたおつゆ。昨日作ってみたら意外と好評だった! スーパーでセリを見かけたらまたやってみよう。 約1年前 replyretweetfavorite

    c___v 鶏はアクを取ったら弱火、セリには鉄分、と(メモメモ) 約1年前 replyretweetfavorite

    o8o8o8o つくろ。 約1年前 replyretweetfavorite

    2010012310 今日のごはんはこれにしました。頑張った胃腸をいたわります!➡ 約1年前 replyretweetfavorite