年末に余りがちな食材を片付けよう
年末年始に向けて、冷蔵庫の中をすっきりさせておきたい、そんなときに向いているスープです。使う食材は、白菜、それに牛乳。冷蔵庫の中で余りがちなアイテムを一気に使ってクリームスープを作ります。
クリームスープ、といっても洋風ではなく、にんにくとごま油を効かせた中華風。白菜はもともとうまみの多い野菜です。それに牛乳のコクが加わるため、だしなし、肉なしでもきちんとおいしいスープになります。白菜に少し焼き色をつけて、さらなるうまみを加えます。
やさしいとろみのついたスープは、ごはんのおかずにもぴったり。年末の食べ疲れた胃腸にも、おだやかにしみわたります。寒い年末、スープであたたまって、素敵な新年を迎えましょう。
白菜の中華クリームスープ
材料(2人分) 所要時間約15分
白菜 400g(1/4個の半分~2/3ぐらい)
にんにく 1片
牛乳 200mL
塩 小さじ1
片栗粉 小さじ2
ごま油 大さじ1
水 約300mL
作り方
1.白菜を切り、にんにくをつぶす
白菜の葉はさっと洗い、そぎ切りに切る。にんにくは皮をむき、包丁でつぶす。★1
2.白菜を炒めて煮る
鍋にごま油とにんにくを入れて弱火にかけ、にんにくが色づくまでゆっくりと熱して油に香りを移す。
白菜を白い部分、緑の部分の順に入れて中火にする。ふたをし、2分ほどそのまま置いてからふたを開け、へらか箸で全体を返す。
水300 mLを加え、再びふたをして約7~8分煮る。★2
3.牛乳を入れて味をととのえる
牛乳200mLに片栗粉小さじ2と塩小さじ1をよく混ぜる。
鍋のふたをあけて、全体にかけ回し、ゆっくり混ぜながらとろみがついたら、にんにくを取り出す。★3
レシピのポイント解説
・白菜の切り方
・にんにくの香りを出す
・牛乳の扱い方
★1 白菜の切り方
白菜は、最近では1/4に切ってあるものが多いですね。芯が丸くて小さめのものがおいしい白菜です。個体差が大きいですが、今回は標準的なサイズの半分ほど(約400g)を使います。内側でも外側でも大丈夫です。
最近はオレンジ色の白菜もよく見かけますが、同じように作れます。
オレンジ白菜は栄養価が普通の白菜より高い。味もやや甘めでやわらかい
白菜の白い部分は分厚いので、そぎ切りにします。厚みが揃って火の通りが均一になります。
斜めに包丁の刃を入れる
幅が大きすぎるときは、縦に切っておくと食べやすい
白い部分と緑の部分に分けておく
★2 にんにくの香りを出す
中華料理でよく使う、にんにく。ちょっとしたコツでいい香りがつきます。みじん切りやスライスもありますが、今日は一番簡単に「つぶす」方法をとりましょう。
にんにく1個は、皮をむきます。
根元のところを切りおとすと、むきやすい
まな板の上に、にんにくの平らな面を下にして置き、その上に包丁の下の方を、寝かせるように置きます。
プラスチックまな板を使っている人は、まな板の下に絞ったふきんなどを置いて、まな板が滑らないようにします。
包丁の刃を寝かせ、なるべく根元の広いところを押し当てる
そして、手のひらの、付け根のところを刃の上に置き、体重を軽く乗せて、にんにくをつぶします。
ギュッと押す
緑色になった芽があったら、とりのぞいてください。
このにんにくを鍋に入れ、ごま油も入れます。にんにくは焦げやすいので、強火ではなく、弱火でじわじわ火を通していきます。
弱火でゆっくり火を入れるときれいな色がつき、にんにくの香りも立つ
2~3分でにんにくにこんがり色がついて、良い香りもしてきます。にんにくを一旦取り出して白菜を白いところ→葉の順に加え、にんにくを上にのせます。にんにくを取り出すのは焦げ防止のため。白菜の上にのっていれば大丈夫です。白菜を入れたら火を中火にし、一度ふたをします。
白菜を入れると鍋いっぱいになるので、ひとまずふたをして加熱
2分して、ふたをとってみると、しんなりしています。ここで混ぜて、油を全体になじませてください。積極的に焦がす必要はありませんが、少し焦げているぐらいの方が、おいしいです。
混ざったら、水300mLを加えて再びふたをし、7~8分、中火で蒸し煮します。途中ふたをあけて、あまりに減っていたら水を足してください。
ちょっぴり焦げているぐらいの方がスープにおいしそうな色がつく
★3 牛乳の扱い方
スープに牛乳を扱うには、コツがあります。とにかく、煮立たせすぎないこと。そして、作ったらなるべくすぐに食べることです。作って待つのであれば、ここまでのステップで留めておいて、最後の仕上げは食べるタイミングで作りましょう。
牛乳200mLに片栗粉と塩をよく混ぜます。片栗粉は別の器で溶いたりせず、最後に一緒に加えて手間をショートカットです。
沸騰している鍋に、牛乳を少しずつ回し入れます。鍋をよくかき混ぜて片栗粉のダマができないようにしましょう。片栗粉でとろみがついたころ、牛乳もあたたまっています。長く煮すぎると牛乳が分離してしまいます。にんにくは、盛りつけのときに外します。
混ぜながら牛乳を少しずつ注ぐ
あたたかいスープで、風邪を撃退!
白菜は、この時季もっともおいしくなり、また大きな天候の変化がなければ、値段も安くなります。鍋、炒め物、サラダにと、何にでも使える頼もしい存在ですが、使いきりが悩ましいですね。量の調節がききやすいスープのバリエーションを加えれば、残すことも少なくなります。
ごま油や片栗粉を使ったとろんとしたスープは保温力も高く、寒い朝も体の熱をキープしてくれます。熱々で食べれば、風邪予防にもなりますよ。にんにくのかわりにしょうがを使ってもおいしいですし、仕上げにちょっとラー油を垂らしてもいいのです。
年末、残った野菜をスープで食べ切って、すっきりと一年をしめくくりましょう!
【アレンジ】ふところ深く、残り食材を受け止めます。
このクリームスープは、いろいろな素材を入れても大丈夫。肉や魚を入れればボリュームあるメインのおかずに。また、冷蔵庫に残ったにんじんやきのこ、青菜などを入れて、賑やかに仕立ててもおいしいです。
鮭と白菜のクリームスープ
白菜を蒸し煮するときに、塩を振って少し置いた鮭の切り身を入れましょう。残った塩鮭など入れても大丈夫ですが、そのときは、塩味を調節します。
野菜たっぷりクリームスープ
ベーコンを少しと、にんじん、えのき、春菊など冷蔵庫の残り野菜をあれこれ入れて、クリーム鍋風。にんじんなど煮えにくいものは、薄めに切りましょう。最後にごはんを入れてもいいのです。
<次回は1月7日(月)更新予定>
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