味噌だれで味を決める、シンプルスープ。
今日のスープで使う豚のスペアリブは、骨からもしっかりいいだしが出る部位です。ただし、主役は肉ではなく、肉のだしをたっぷり吸った大根のほう。これからの季節、どんどん甘くおいしくなっていく大根を、ふろふき大根風のスープにしてみましょう。
スープ自体には何も味をつけず、甘い味噌だれをかけてテーブルで調味します。通常のふろふき大根と違い、スープもごちそう。味噌を溶かして好みの濃さでいただきましょう。
時間は少しかかるけれど、作り方は超簡単。あったまるし、お腹いっぱい食べられて、大満足の一皿です。
大根とスペアリブのふろふきスープ
材料(2人分) 所要時間約1時間10分
大根 2/3~1本 (600~700g)
スペアリブ 300g
長ねぎの青いところ 10 ~15cm
味噌だれ
味噌 大さじ2
砂糖 大さじ1
ごま油 大さじ1/2
水 約1000mL
作り方
1.大根を切り、スペアリブを下ゆでする
大根は洗って2~3センチの輪切りにし、皮をむく。★1
スペアリブを鍋に入れ、ひたひたの水を加えて10分ほど中火にかける。あくが浮いてある程度たまったら、ざるにあげ、流水でさっと表面を洗い流す。★2
2.スペアリブを大根と一緒に煮る
鍋に大根を並べ、スペアリブも鍋に戻し、水約1000mLとねぎの青い部分を加えて中火にかけ、大根が柔らかくなるまで約40~50分煮る。
3.味噌だれをつくる
分量の味噌と砂糖に、水大さじ1~2を加えてゆるめ、600Wのレンジに1分かける。ごま油を加えて良く混ぜる。器に盛ったスープに、味噌だれを添える。★3
レシピのポイント解説
・大根の切り方
・スペアリブの煮方
・味噌だれの作り方
★1 大根の切り方
大根の旬はこれから真冬にかけてです。
引き締まったものを選びましょう。甘い大根は、ひげ根がたて一列にまっすぐ並んだものです。首が緑なのは、土の上に出ている部分が太陽の光を受けているだけ。むしろ甘いぐらいです。
一列にひげ根の跡が残ったものを
大根は個体差も大きく、皮を厚めにむくため、案外小さくなります。
へたのところを切りおとし、2~3センチの輪切りにします。
均等に切っていく
大根の皮は厚めにむきます。
大根の皮の近くには、繊維が入っていて固いためです。薄くむくいて繊維の部分を残してしまうと舌ざわりが悪くなりますし、やわらかくなりにくいのです。
皮の内側に固い層があるのが見えるのでそこまでむく
ピーラーで皮をむきたい人は、ピーラーを当てやすいよう2つか3つに大きく切って、皮をむいてから輪切りにするといいでしょう。ピーラーだと薄くむけてしまうので、この場合は2回りぐらいかけて、しっかりむきます。
一人3個ぐらい大根があるとうれしい
皮はスープには使いませんが、捨てないで。きんぴらや味噌汁、浅漬けなどの料理でおいしく食べられます。
★2 スペアリブの煮方
豚肉はそのままでは少し匂いが気になるしアクも出ます。一度ゆでこぼして下ごしらえをしましょう。
鍋に入れて、水をひたひたに入れて中火で10分ほど煮ます。
この段階では水だけでよい
しっかり沸騰して、黒いアクがぶくぶく出たらOKです。
ある程度アクが溜まるまで待つ
アクがしっかり出たらざるなどに上げて、肉についたアクを流すつもりでさっと水洗いしましょう。肉のうまみはこんなことでは逃げませんので洗って大丈夫です。ゆでた水には肉の臭みが出ています。捨ててください。
大根とスペアリブ、長ねぎの青いところを鍋に入れ、水をたっぷりと入れて、中火にかけます。長ねぎは肉のにおい消しが目的です。にんにくや、しょうがなどでも結構です。
沸騰したら火を少し弱めて煮ていきます。ぐらぐら煮立ってはいけませんが、鍋の表面がふつふつ沸き立つぐらいの火加減で、40~50分煮ましょう。肉や大根が水から顔を出してしまっている部分は、ときどき返してやります。
ふたはせずコトコト煮る
大根は個体によって、煮えるまでの時間にかなり差があります。大根に箸か串を刺してみて、すっと通るようなら出来上がりです。
★3 味噌だれの作り方
ふろふき大根には味噌だれをつけて食べるのが定番です。今回はスペアリブに合わせ、ごま油を使った少しパンチのある味噌だれを作ります。レンジで作るので簡単ですよ。
味噌大さじ2と砂糖大さじ1を耐熱容器に入れ、水大さじ2を加えて良く混ぜ、ふわっとラップをかけて、600Wのレンジに1分かけます。ごま油大さじ1/2を加えて良く混ぜます。
水のかわりに酒でのばしてもおいしい
冬の養生三宝、大根をもっと食卓に
中国では、大根は白菜や豆腐と並び、冬の養生三宝と言われます。おでんや煮込み料理などで温かく食べることで、体をあたためてくれるということでしょう。
栄養はもちろんですが、ほっくりと煮えた冬の大根はなんともおいしいものです。基本のレシピでちゃんと食べられますが、ちょっと胡椒を振るとまたおいしいです。
大根のシーズンはまだ始まったばかり。これから寒くなるにつれてどんどん甘くなっていきます。たっぷりと食べられるスープであたたまってくださいね。
【アレンジ】薬味や調味料で、味も七変化!
シンプルなスープを、卓上調味して食べるこのスープは、薬味づかいでさらに風味がアップします。
刻みネギ、おろしにんにく、おろししょうがなど加えるとパンチが出ます。また、柚子やからし、ごまなど、和の薬味も合うと思います。お好きなものを食卓に並べて試してみてください。
また、味噌ではなく塩味で食べる、塩ふろふきスープもよいものです。味を変えると全く違う雰囲気になりますのでお試しください。
かぼす添え
鍋感覚で、柑橘類を少し合わせるとさっぱりとした味わいになります。ここでは「かぼす」を使いましたが、すだちや柚子、レモンなども、いいと思います。汁を絞るというより薄切りをのせて軽く風味を移す感じで。
大根とスペアリブの塩ふろふきスープ
味噌のたれをつけず、シンプルに、塩味で食べるのもおいしいものです。塩は、大根とスペアリブが煮えた時点で、小さじ1ほど入れます。水の蒸発量が鍋によって違うと思いますので、味を必ずみてください。
塩のときは、肉のにおい消しのために刻みネギなどを振ります。ここでは白ごまも加えています。ごま油は卓上でどうぞ。
大根は、輪切りだけではなく、半月切りや、縦長に切っても気分が変わります。この写真は、6cmぐらいの筒切りにして皮をむいてから、丸太を薪にするように、タテに4つに割りました。
<次回は11月26日(月)更新予定>
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