素朴な味わいを、朝食やおやつに。
焼き芋や干し芋、芋けんぴなど、スイーツでの消費量が増えているさつまいも。自然な甘みを持った天然スイーツとして注目されています。
今日はおやつにもよい、家でのさつまいもの簡単な食べ方をご紹介します。さつまいもをやわらかくゆでて、マッシュポテトを作りましょう。牛乳をかけて混ぜ合わせると、ほくほくおいしい、さつまいもの香り豊かな田舎風のポタージュになります。皮も栄養があるのでついたまま調理してしまいます。
最近ではねっとり、しっとりしたさつまいもの品種も登場しています。また、少人数家庭でも扱いやすい、小ぶりのお芋もあります。秋から冬にかけての、旬の味覚をたっぷり楽しんでください!
おさつミルク
材料(2人分) 所要時間約20 分
さつまいも 小2本(約250g)
砂糖 小さじ1
塩 ふたつまみ
牛乳 80mL
(あれば)黒胡麻 少々
水 約400mL
1.さつまいもを切る
さつまいもは皮を洗って乱切りにし、切ったものをさっと水洗いする。★1
2.さつまいもを煮て、粉ふき芋にする
さつまいもを鍋に入れ、ひたひたの水と砂糖小さじ1、塩ふたつまみを加えて中火にかけ、約12~15分、箸がスッと通るぐらいのやわらかさになるまで煮る。残ったゆで水を捨て、弱火にかけて鍋をゆすりつつ水分を飛ばし、粉ふき芋のような状態にする。★2★3
3.さつまいもをつぶし、器に盛る
さつまいもをお玉の背などでつぶして、器に盛りつけ、一人牛乳40mLをかける。
レシピのポイント解説
・さつまいもの選び方
・さつまいもの切り方
・さつまいもの煮方
★1 さつまいもの選び方
今回は、少し細めのさつまいもを使っています。品種により太さが違ったり、同じ品種でも大きい、小さいがありますが、小さくてもちゃんと甘いですし、切るときに扱いやすいと思います。大きなさつまいもでも、もちろん大丈夫です。
さつまいもの収穫時期は9月頃から始まり、ちょうど今が旬となりますが、おいしくなるには少し待たなくてはいけません。獲れたては水っぽいので、貯蔵してから出荷します。つまり食材としての旬は、11月に入ってから。まさにこれからです。皮の色が鮮やかでずしりと重く、ひげ根が直線状に並んでいるものがおいしいさつまいもです。
さつまいもは改良品種も多く、すべては紹介しきれませんが、代表的な3系統をご紹介します。
「紅あずま」は関東でよく食べられている品種。繊維が少なく、ホクホクした食感です。美しい赤紫の皮と黄色い果肉で見た目も良いさつまいもです。「紅こがね」はその優良品種。
紅あずま
「高系14号」は、関西で食べられる品種です。甘みが強く、ほくほくした中にねっとり感も感じられ、貯蔵性がよいのも特長。高系14号という名前は聞き慣れませんが、この改良種の「なると金時」「五郎島金時」「里むすめ」「紅さつま」などはよく見かけるのではないでしょうか。
五郎島金時
「安納芋」は、鹿児島県種子島の在来種。ずんぐりむっくりの「安納こがね」は皮の色が薄くさつまいもっぽい見かけではありませんが、黄金色の果肉はとても甘くねっとりした触感が人気です。
安納芋
★2 さつまいもの切り方
さつまいもは「乱切り」にします。さつまいものように真ん中がふくらんでいる野菜の場合、輪切りだと大小ができてしまいますが、乱切りなら簡単に同サイズにできて便利です。
まず、斜めに包丁を入れます。サイズは一口大、カレースプーンに1個乗るぐらいがいいでしょう。
端は少し切り落とします。
切ったら、さつまいもを手前に90度回転させ、また同じ角度で包丁を入れます。こうして包丁を入れては回す、を繰り返します。
回しながら同じぐらいのサイズになるように切っていく。
細い部分も太い部分も均等なサイズに。
大きなさつまいもの場合、ヨコ半分、そしてタテ1/4に切ってから、乱切りするといいですよ。
ヨコ半分にして(左上)、タテ1/4にしたものを(左下)、乱切りにする(右)。
★3 さつまいもの煮方
さつまいもはつぶしやすくするため、やわらかくゆでましょう。さらに、おいものほくほくした食感を出すため、水を飛ばします。
さつまいもと砂糖、塩ふたつまみを鍋に入れ、ひたひたに水を注ぎ、中火にかけます。
「ひたひた」は、素材がちょうどかぶるぐらいの水。少し顔を出していてもOK
そのまま、12~15分、さつまいもの種類や個体差が多いのでやや幅がありますが、このあとつぶすので、しっかりやわらかく煮ます。
水から顔を出している部分があるので、ときどきひっくり返して
さつまいもはやわらかくなるまで煮ます。さつまいもによっては皮がはがれてしまいますが、つぶしますのであまり気にせずに。
串や箸を刺してみて、抵抗なくスッと通ればOK
残った水を捨てます。ふたなどで押さえて捨ててもよいですが、慣れない人は一度ざるにあけて、お芋を鍋に戻すほうが安全です。
ここから弱火に切り替え、鍋をゆすりながら加熱していくと、粉が吹いたようになります。鍋をゆすることのできないIHの方は、箸で混ぜながら加熱してください。
白っぽく粉が吹いたらOK
あとは、これをお玉の背でつぶして器に盛り、牛乳をかければいいだけです。熱々のさつまいもなら、牛乳は冷たいままでも大丈夫ですが、もし少し冷めてしまったら、レンジで温めましょう。
粒は多少残っていても大丈夫
ボリュームがあって、おやつにも夜食にも
食べるとほっこりなごむのが、さつまいもの魅力。疲れたときにもこうしてポタージュ状になると食べやすいですね。小さな子どもにもぴったりです。
さつまいもは、他の芋類に比べて繊維がたっぷり含まれていて、胃腸の弱い人や便秘気味の人におすすめしたい食材。皮にも豊富な栄養が含まれています。
さつまいもと相性のよい黒ごまをふると、味も締まります。お試しください。
【アレンジ】トッピングで味に変化を
さつまいもの味をそのまま活かしたポタージュですが、トッピングをちょっと工夫するとイメージがどんどん変わります。さつまいもが甘くやさしい味なので、少し苦味のあるものや食感のクリスピーなものなど、アクセントになるようなものがいいですね。
コーヒー風味
顆粒タイプのインスタントコーヒーをパラリと振るだけ。コーヒーの香りとさつまいもはとてもよく合います。写真は、ハロウィンスウィートという、かぼちゃのような黄色の果肉のさつまいもを使用。
みたらし団子風
大学いもにからめてある、甘辛いたれをトッピングします。たれはレンジで簡単に作れます。砂糖大さじ1、しょうゆ大さじ1、片栗粉小さじ1、水大さじ3を耐熱容器に入れ、ラップをかけて600Wの電子レンジで30秒加熱、よく混ぜてさらに30秒加熱します。
<次回は11月12日(月)更新予定>
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