れんこんを、そのまま煮込むから簡単。
いよいよ秋本番になると、おいしくなってくるのが、根菜です。中でも、穴の開いたユニークな形とシャキシャキした歯触りが特長のれんこんは人気者。このれんこん、じっくり煮込むとまた違った味わいになるのです。
れんこんをダイナミックに使う、和風ポトフを作りましょう。皮もついたまま、鍋に入れてOKです。固い根菜は調理がたいへんそうだからと食べないできた人は、ぜひこのまるごとポトフを、お試しください。柔らかくなるまで煮てから切れば、包丁もスッと楽に通ります。
鶏肉を脇役に従えて、お皿の中央に堂々と座ったれんこん。鶏のうまみを十分に吸って、もっちり、さくさくした食感が楽しく、食べ応えも充分です。少し時間はかかりますが、休日にじっくり作ってみたい一皿です。
れんこんの姿煮ポトフ
材料(2人分) 所要時間約1時間
れんこん 1節(約250g)
鶏もも肉 1枚(300g) ※唐揚げ用などカットしたものでも可
塩 小さじ1
醤油 小さじ2ほど
こしょう 少々
水 約1200~1500mL
(好みで)ねりがらし
作り方
1.鶏に塩をする
鶏肉は、塩と胡椒と一緒にビニール袋に入れ、袋の外からもみこんで、まぶしつける。★1
2.れんこんと鶏を鍋に入れる
れんこんは、水洗いして皮つきのまま鍋に入れる。1の鶏も袋から出して鍋に加える。ひたひたになるぐらいの水を加える(約1200~1400mL)★2
3.煮る
強火にかけ、沸騰したらアクをすくって弱火に落とし、水が足りなくなったら足しながら、50~60分煮る。味を見て醤油で調える。あれば、練りからしなどを添える。★3
レシピのポイント解説
・鶏肉に塩をする
・れんこんの処理
・煮方
★1 鶏肉に塩をする
鶏肉はもも肉を使いましょう。骨付きの、手羽先や手羽元を使うと、骨からもよいだしが出ます。脂肪分の少ないむね肉やささみは、煮込みにはあまり適しません。
鶏肉をビニール袋に入れ、そこに塩小さじ1と胡椒を加えて、手でよくもみ込みます。
ビニールを使うと手が汚れないのと、塩が無駄にならない
すぐ食べてもおいしいですが、この状態で、冷蔵庫に1日から2日くらい寝かせると熟成して、よりおいしくなりますよ!
★2 れんこんの処理
野菜売場でれんこんを見ると、形がいろいろあって、選ぶのに迷いますね。
れんこんは、根菜の仲間ですが、実は根ではなくて、地下茎。節がいくつも連なってできます。
れんこんを作るときは、種や苗ではなくれんこんを植え付けます。親れんこんから副芽が出て、新しい子れんこんができます。じゃがいもを植えるときに種芋を植えるのと同じですね。
親れんこん側から、矢印の方向へ新しい節ができていく
生えはじめのほうは節が大きいため、使いやすいサイズに切ってあることが多いです。最初のほうでできたものが、煮込みにはおすすめ。でんぷん質が多く、よりほくほくとした食感が楽しめるからです。売場で、径の小さなものと大きめのものが一緒に並んでいた場合は、大きなほうを選ぶとよいでしょう。
先端の方は写真のようにひとつの節が小さくなります。中には先っちょとつながったまま売られているものもあります。繊維が多く、きんぴらなど、シャキシャキとした食感を楽しみたいときは、こちらです。
大きな節がカットされたもの(左)と、先端に近い節(右)
買ってきたれんこんの節がつながっている場合は、節がつながったままだと穴の中に味が入っていきにくいので、節の部分を切りおとしてください。
赤線の部分を切り落として、断面が見えるようにする
洗ったれんこんは、鍋にまるごと入れてください。れんこんの皮は食べられ、栄養価もあるので、つけたまま使います。さきほど塩をまぶした鶏肉も鍋に入れたら、下ごしらえは完了です。
鶏肉をキッチンばさみなどで半分に切って入れると、盛り付けのときが楽
★3 ポトフの煮方
水の量は、鍋の大きさによって変わります。
れんこんがかぶるぐらいの水の量を注いで、中火にかけます。
れんこんの顔が出るか出ないかぐらい
ポトフ系のスープを作るときの鍋のサイズは、材料を鍋に入れたとき、材料が重ならず、かつ余白があまり出ないサイズがおすすめです。大きすぎると水が余分に必要になりますし、小さすぎるとスープが少なくなってしまいます。鍋は家にあるものを使うしかないのですが、いつもスペースが余ったりぎゅうぎゅうの場合、鍋のサイズが合っていないのかもしれません。
鶏肉からアクが出てきたら大きくすくって火を弱め、そのままコトコト煮続けます。れんこんの上の部分が少し顔を出してしまっても大丈夫ですが、ときどき箸で転がして、まんべんなく煮えるようにしましょう。途中で水が減ったら、少し足します。
煮込み時間はれんこんの太さにもよりますが、約50分~1時間でやわらかく煮えます。串か箸を刺してみて、無理なく通るようだったら、煮えています。じゃがいもやかぶ、大根などが煮えたときほど、柔らかくはなりませんが、大丈夫です。
醤油で味をととのえる
れんこんは、盛り付けのときに切り分けます。
意外と重いのでトングがあれば使うと便利
トングがないときは、れんこんの穴に菜箸を通すと安定します。
スープが穴から流れてくることがあるので、やけどに気をつけて!
煮てから切ると、本当に楽に切ることができます。
厚みは好みで。この半分の厚みに切ってもよい
れんこんの径が大きすぎる場合は、縦半分に切ってから、横に切るとよいでしょう。
ごろりとおいしい、和のポトフ
食欲の秋、と言いますが、夏の間に消耗した体力を回復させるためにも、秋に力のつくものをたっぷり食べることは大切です。
れんこんは、風邪の特効薬と言われて、滋養強壮にすぐれた野菜ということで薬膳料理などにも重宝される野菜です。気軽に取り入れてみてください。
やさしい味わいのポトフです。ねりがらしやマスタードを添えたり、黒胡椒をたっぷりひいて、アクセントをつけてあげるとよりおいしく食べられます。
【アレンジ】プラスワンアイテムで、おかずスープにアレンジ
今回は鶏のもも肉を使いましたが、豚や牛肉でも美味しくできます。つくねなどと合わせてもおいしいものです。ぜひ、いろいろ試してみてください。
れんこんと手羽元のスープ
骨付き肉で作ると、スープがぐっと美味しくなります。扱いやすい手羽元や、手羽先が便利です。ここでは手羽元4本を、れんこんと一緒に煮込んでいます。青ネギを使うと、食感に変化が出て食べ飽きません。
はるさめ入りのれんこんポトフ
このれんこんポトフに、はるさめを入れると、とてもボリューミーなおかずスープになります。最後の5分ぐらいの段階で、はるさめ30gをそのまま鍋に入れるだけ。ごま油も少し加えて、パンチのある味にするとおいしいです。
<次回は10月1日(月)更新予定>