ちょっぴりほろにが、大人のスープやきそば。

今が旬の菜の花。そのほろ苦さを活かした、ほんのりごま油を香らせたスープ焼きそばのレシピです。
スープ作家の有賀薫さんのスープレッスン。新刊『帰り遅いけどこんなスープなら作れそう』も好評発売中です。

菜の花だけでシンプルさらりと春のあんかけ。

菜の花が出盛りです。ほろ苦さが魅力の菜の花を、ほんのりごま油を香らせた塩味のスープで、楽しんでみませんか。

菜の花は火が通りやすく、塩と油と全部まとめて鍋に入れ、蒸し煮するとあっという間にできあがります。とろみをつけると食感もとてもよくなります。

今日はカリカリに焼いた中華そばに、この菜の花あんかけスープをたっぷりかけて、春を感じるスープやきそばにしてみました。季節の味を堪能できる一皿です。


菜の花のあんかけスープやきそば

材料(2人分) 所要時間約15分

菜の花 1束(150g前後)
ごま油 大さじ3程度 ※うち大さじ2はやきそば用。サラダオイルでも可
塩 小さじ1
片栗粉 大さじ1
水400mL
焼きそば 2玉

作り方

1.焼きそばを焼く
焼きそばの麺をほぐし、大さじ1の油をひいたフライパンで動かさないようにして中火で3〜4分こんがり焼く。
焦げめがついたら、表裏を返して油をさらに大さじ1ほど足して焼く。焼けたら皿に取り分けておく。★1

2.菜の花を蒸し煮してスープにする
菜の花をざく切りにして深めのフライパンに入れ、塩、ごま油大さじ1、水100mLを加えてしっかりふたをして約2~3分強火にかける。
ふたをあけて混ぜ、水300mLを追加して沸騰させる。★2

3.片栗粉でとろみをつけて焼きそばにかける
片栗粉大さじ1を同量の水でといてフライパンに回し入れ、とろみをつける。1のやきそばにかける。★3


レシピのポイント解説

・やきそばの焼き方
・菜の花の選び方
・菜の花の加熱

★1やきそばの焼き方

このスープに最も適しているのは、深めのテフロンのフライパンです。
(鍋一つで作る場合は、まずやきそばを焼き、その鍋で続けてスープを作りましょう)

フライパンに油を熱して、やきそばをほぐしながら入れたら、なるべく混ぜたり動かしたりせずに、焼き付けるようにします。あらかじめ袋ごとレンジに3〜40秒かけておくと、ほぐれやすくなります。


焼く油はサラダオイルでもOK

中火で3~4分焼いて、へらなどで少し持ちあげ、カリッと焦げ目がついていたら、ひっくりかえしましょう。お好み焼きやホットケーキを返す感覚でひっくり返せれば最高ですが、多少くずれてしまっても問題ありません。


ヘラでひっくりかえして

返したら、あと大さじ1ほど油を足しましょう。


油を多めに使うことで揚げ焼き状になる

1〜2回返しながら、こんがり焦げ目がつくまで焼き上げます。


焦げてカリッとした部分ができるとおいしい

焼けたら、器にとり分けておきます。


つづけてスープ作りへ!

★2.菜の花の選び方

実は菜の花にはいろいろな種類があります。
アブラナ科のつぼみ、花茎、若い葉を総称したものを菜の花(なのはな)、菜花(なばな)と呼びます。

もっとも一般的な菜の花は、アブラナ、セイヨウアブラナの菜花ですが、たとえば「かき菜」「のらぼう菜」などという菜っ葉も菜花ですし、実は小松菜やチンゲン菜、白菜にも菜花はあるのです。葉っぱがメインのものもあれば、つぼみがメインで葉は少ない菜の花もありますが、今回のレシピではどちらでも大丈夫。


左下がアブラナ、右上がかき菜

選ぶときにはつぼみがギュッと閉じているものを選びましょう。


赤い丸で囲んだ部分がつぼみ。つぼみが固く締まったものがいい

だんだん花が開いて、先が黄色くなって売られているものもあります。少しえぐみが出てきますが、これも食べられます。買ってきて常温で置いておくと、花が完全に開いてしまいますが、少しえぐみはあるものの、これも食べるには差し支えありません。


つぼみが黄色くなっているのは花が咲きはじめた証拠

★3.菜の花の加熱

菜の花は洗って横向きに置いて、2㎝幅のざく切りにします。


つぼみの部分はなるべく切らないで残すとよい

切ったら、さきほどやきそばを焼いた鍋にすべて入れ、塩小さじ1とごま油大さじ1をかけ、水100mLを加えて、強火にかけます。必ずふたをします。


塩と油を加えたら水100mLも加え、火をつける


ふたをなるべくぴっちりして、強火にかける

ガサゴソかさばる菜の花ですが、2~3分であっという間にしんなりします。ふたを開けて写真のようになっていたら、水を300mL足して沸騰させ、水どき片栗粉を溶き入れてできあがり。


ふたをあけてみるとしんなり。全体をさっと混ぜる


水を足したら、ふたをとる

沸騰したら、水でといた片栗粉を混ぜながら加えます。


一度にどっと加えるとダマになるので少しずつ

混ぜながら加熱し、とろみが出ればOKです。焼きそばにかけて、熱々を食べましょう。

春のからだを目覚めさせる苦味野菜

菜の花をはじめ、春野菜や山菜には苦味のあるものが多いですが、春野菜の苦味成分には新陳代謝を促す役割もあり、春のダイエットはじめにもいいそうです。

忙しい年度末、食事がひと鍋、ひと皿で完結するというのもうれしいですね。パパッと作れて満足度の高い食事スープで、春の気分を存分に味わいましょう。

【アレンジ】青菜のスープの楽しみかた

この菜の花のスープは、小松菜や水菜、チンゲン菜などアブラナ科の青菜でも同じように作れます。(ほうれんそうは、アクが強いのであまりおすすめできません)。

青菜の個性も塩気も強めのレシピなので、たまごを落としたり、ごはんやさまざまな麺にかけたりすると、味がやわらいで最後までおいしく食べられます。そのままスープとして食べるときは、塩をひかえましょう。

菜の花のスープパスタ

菜の花のスープは、スパゲティにかけてもおいしいです。このときはごま油をオリーブオイルにかえます。つぶしたにんにくやベーコンを一緒に入れてもいいですね。細めのスパゲティが合います。

菜の花と落としたまごのスープ

基本のレシピ通りにスープを作り、最後にたまごをスープに割り入れて半熟になるまで煮ると、ごはんにも合うスープになります。小松菜などで作ってもおいしいですよ。麺を入れない分、塩を少し控えます。

スープ・レッスンが本になりました! 好評発売中です!

スープ・レッスン

有賀 薫
プレジデント社
2018-09-27

この連載について

初回を読む
スープ・レッスン

有賀薫

野菜、お好きですか? おいしい旬の野菜を手に入れたら、ぜひシンプルなスープで味わってみてください。旬の野菜をたっぷり食べる、究極のベーシック・スープをスープ作家の有賀薫さんが教えててくれます。

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

    コメント

    miz_sa_ya 今の時期しか食べられないスープ焼きそば 約15時間前 replyretweetfavorite

    HiroG4410 (承前) 参考: /菜の花のあんかけスープやきそば https://t.co/zM3LoklJRr /舞茸ピーマン https://t.co/qwfptzpSth 13日前 replyretweetfavorite

    min_4418 残業帰りの夕飯はこちらのレシピでスープ焼きそば。 菜の花のかわりに、野菜室でしんなりし始めちゃったチンゲン菜。半端に残ってた椎茸と、輪切り唐辛子をプラス。青菜のスープは、疲れた身体にしみじみ美味しい。 https://t.co/9EdoSO9fbA 2年弱前 replyretweetfavorite

    akarihon 菜の花のあんかけ 2年弱前 replyretweetfavorite