しょうがとお酒でぽっかぽか薬膳、マーヨージー

血行促進や冷え性の改善、胃腸の働きをよくするなどたくさんの効能を持つしょうがと、うま味がたっぷり出る骨付き鶏を、お酒で煮立てたスープをご紹介します。
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無塩で作る、濃厚鶏スープ。

とても簡単でおいしくてあったまる、台湾の薬膳スープ・麻油鶏(まーよーじー)を、ご紹介しようと思います。

薬膳スープ? 特別な食材を使わなきゃダメなんでしょ、なんて思いがちですが、そんなことはありません。

たとえば身近にある「しょうが」も、薬膳食材のひとつ。血行を改善して体をあたため、胃腸をととのえ、高い殺菌作用があり……と、数え切れないほどの効用があります。今日はこの生姜と鶏肉をたっぷりのお酒で煮ていきます。お酒の効果で肉の臭みもなく、食べているそばから体がぽかぽかしてくるようなスープです。

最大の特長は、酒の量と塩を使わないこのスープ、まずは一度、食べてみてください。


麻油鶏 まーよーじー(鶏肉としょうがのスープ)

材料(2人分)  時間 約15分

鶏手羽元 300g ※手羽先や鶏もも肉でもOK
しょうが 50g
日本酒 180mL
水 200~300mL
ごま油 大さじ2
塩 好みで

作り方

1.しょうがと鶏に焦げ目をつける
しょうがを薄切りにする。鍋にごま油大さじ1を入れ、しょうがを色づくまで中火で炒める1しょうがを一度別の器に取り出し、ごま油大さじ1を足して鶏を皮目からこんがり色づくまで焼く。(中まで火が通らなくてもよい)2 肉に焦げ目がついたら、しょうがを鍋に戻す。

2.酒を加える
鍋に日本酒180mLを加える。さらに水を200~300mL、鶏肉がかぶるぐらいの量を加える。

3.煮込む
中火のまま約10~12分ほど、肉に火が入るまで煮込む。好みで塩を加えながら食べる。


レシピのポイント解説

・しょうがの炒め方
・鶏肉について
・日本酒について

★1 しょうがの炒め方

このスープの主役であるしょうがは、大きめのひとかけら、50gほど使って薄切りにします。


結構大きめだけれど大丈夫

しょうがは、皮つきのまま薄切りにします。


全部薄切りに

鶏の油がはねるので、フライパンより厚手の鍋のほうがいいでしょう。薄い鍋しかない人は、深さのあるフライパンで作りましょう。

まず、ごま油大さじ1を鍋にひき、しょうがを重ならないよう広げて加熱しはじめます。ごま油は、黒ごま油を選びましょう。


なるべく広げて均一に火が通るように

あまり動かさず、表裏じっくり焼きつけるように炒めていくと、生姜の皮のところがちりちりとカールしてきます。しっかり炒めると香りもよくなります。


しょうがの端っこがカールしはじめたらOK

引き続き、鶏肉を同じ鍋でそのまま焼きます。しょうがはできれば、一度取り出しておきましょう。
どうしてもめんどうという方は、しょうがを端に寄せて鶏肉を焼き始め、肉の上にしょうがをのせて、それ以上焦げるのを防いでください。

★2 鶏肉について


左から、もも肉(骨なし)、手羽先、手羽元

鶏肉は、骨付きの鶏肉を使いましょう。骨からうま味が出ます。

今回は、肉の食べやすい手羽元をつかいます。
骨つき肉で手に入りやすいのは、鶏の手羽先か、手羽元ですが、どちらでも大丈夫です。
手羽先は油が多くこってりして肉は少なめ、手羽元はさっぱりめで肉が多いので、好き好きですね。

本当は水炊きに入れるような骨つきの鶏もも肉のぶつ切りがベストですが、鍋のシーズンを外れると店頭にないことも多いのです。

さて、しょうがを炒めたあとの鍋に、ごま油を大さじ1さらに足し、そこで鶏の手羽元を転がしながら焼きます。


油がはねたらふたをして

焦げ目がうまみに変わるので、しっかり焼きつけましょう。あまり動かさないのがコツです。


皮目を中心に、表裏返しながら焦げ目をしっかりつけていく

ただ、中まですっかり火を通す必要はありません。とはいえ、焼き目がしっかりつくには4~5分かかるかもしれません。

★3 日本酒について

日本酒を180mLは、1合。ポピュラーなカップ酒のサイズです。このお酒の量が味の魅力です。しっかり煮立ててアルコールを飛ばしましょう。アルコールが蒸発しやすいよう、煮るときはふたはしません。


ワンカップ日本酒。コンビニでも買えます


焼いた鶏肉に酒と水を注ぐ

酒と水を加えたら、あとはふたをあけたまま煮込むだけ。あまり長い時間煮込む必要はなく、鶏肉が煮えたらできあがりです。しょうがも一緒にたっぷり盛りましょう。

塩なしスープの不思議な味わい。

このスープの特長は、無塩で調理すること。塩を入れない状態で、まず一口飲んでみてください。
酒独特のまろやかさ、加熱したしょうがの甘い香り、さらに鶏肉の骨からもだしが出ていて、じわじわくるようなうまさがあります。

塩は別に食卓に用意しておいて、食べ進む間に、好みでかけてもらえばいいかと思います。

中国では湯(タン=中華料理におけるだし)をとるとき、塩を加えずに煮ます。塩を加えると食材によってはその成分が引き出されなくなるものがあるからという見解だそうです。食材を薬に使う国ならではのスープですね。

【アレンジ】野菜も入れて、たっぷり養生。

チンゲン菜入り麻油鶏

鶏肉が煮え上がる頃に、洗って1株をたて4つほどに割ったチンゲン菜を加えて煮ます。青菜が入ると、少し塩を入れたほうがいいかもしれません。ここでは、手羽先を使いました。

スペアリブの麻油豚

麻油鶏ならぬ、麻油豚。鶏肉を豚に変えてもおいしいはずと、試してみました。スペアリブは肉屋で食べやすく切ってもらい、両面しっかり焼きつけます。鶏よりは少々長めに煮込んで。鶏よりも油っこくなるので、ねぎをたっぷりと散らしました。

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スープ・レッスン

有賀 薫
プレジデント社
2018-09-27

この連載について

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スープ・レッスン

有賀薫

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    cellulito スープ作家、有賀薫さんのレシピはこちら! (cakes会員のみ最後まで閲覧可です) https://t.co/t5oodTGnIM 3ヶ月前 replyretweetfavorite

    blur__blur 久々に有賀薫さんのマーヨージーを作った。来るべきこの日のために日本食スーパーでワンカップを買っておいたのです。生姜と骨付き鶏にゴマ油で焦げ目をつけ、日本酒で煮るだけで幸福になれる…。https://t.co/UrT8AHJXvK 約1年前 replyretweetfavorite

    nukusuke 寒さ厳しい時に。2日目はミニトマトとカレーペーストを加えて極上の 約1年前 replyretweetfavorite

    nukusuke 今シーズン初。はぁ、美味しい。鶏のだしと焦げ目の旨味で、驚くほどちょっとの塩で味がグーン… https://t.co/BhyJwmxHhw 1年以上前 replyretweetfavorite