ごはん、そうめん、冷ややっこにもあう万能スープ
お吸い物のような、漬物のような、サラダのような。不思議な魅力のあるやみつき料理「だし」を、ご紹介します。
山形のローカルフードである「だし」は、本来は汁ものではないのですが、このスープ・レッスンではだし汁を多めにしています。
そうめんのつゆにしたり、冷ややっこやごはんにかけておいしく食べられます。
味つけはめんつゆにおまかせ。コトコト煮込むこともありません。
そのぶん、野菜の下ごしらえをていねいにやって雑味をなくしましょう。オクラのねばりとみょうがの香り、きゅうりの歯ざわりが混然一体となったおいしさをお楽しみください。
オクラとみょうがのだし
材料(2人分) 所要時間約20分 ※漬け込み時間は除く
オクラ 6~7本(1袋)
みょうが 2個
きゅうり 1本
しょうが 1かけ
めんつゆ(かけだしの濃さにして) 300mL程度
塩 適量 ※下ごしらえ用
作り方
1 きゅうりとみょうがの下ごしらえをする
きゅうりは、縦4つ割りにしてから、7~8mmの幅に切る。水1カップに塩小さじ1を加え、その中に約10分漬けておく。★1みょうがは縦半割にしてから、薄切りにする。しょうがはみじん切り。
2 オクラの下ごしらえをする
オクラをに塩を振って板ずりをする。鍋に湯を沸かして1分ゆで、水にとってさます。へたを切りおとして薄切りにする。★2
3 材料を器に入れ、めんつゆを注ぐ
1,2の材料を器に入れ、かけつゆの濃さに調整しためんつゆを加えて冷蔵庫で一晩(6~7時間)冷やす。★3
レシピのポイント解説
・立て塩について
・オクラの下ゆでについて
・めんつゆの選び方
★1.立て塩について
きゅうり1本のように少ない量の野菜に下味をつけたいときは、塩水につけたほうが手早くまんべんなく塩気がつきます。これを「立て塩」と呼びます。
まずはきゅうりをカットします。
きゅうりは1/2にしてから縦に割るとやりやすい
もう一度縦割りにする
縦1/4のスティック状に
1㎝弱ぐらいの幅で刻んでいく
塩水の濃さは、水1カップに塩小さじ1。この割合で作り、切った野菜を漬けおきます。10分たったら、ざるなどに上げて水を切りましょう。
みょうがは縦半分にしてから薄切りに
★2.オクラの下ゆでについて
今回の主役であるオクラ。輪切りにすると切り口が5角形をしています。買うときには輪切りにはなっていませんが、角にあたる部分にしっかりエッジがあり、辺の部分があまり凹んでいないものを選びましょう。
オクラはうぶ毛が気になるので一度きちんと処理をして使います。まずまな板の上にオクラを並べ、塩を小さじ1ほどまぶして両手で前後に転がすようにします。これを「板ずり」といいます。これを水でさっとすすぎ、お湯で1分ゆでます。
塩をまぶして両手をのせ、コロコロ前後に動かす。10往復ぐらい
1分たったらざるに上げ、すぐ水にとる
ゆで上がったオクラは薄切りにします。
ヘタのところで、切りおとす
なるべく薄切りに。
★3.めんつゆについて
めんつゆは、いつもお使いのもので結構です。
多くの家に常備されていると思いますが、みなさんは2倍、3倍、等倍など、どんなタイプをお使いですか?
今回は、めんつゆを「かけつゆ」ぐらいの濃さに薄めて300mLとしますが、メーカーによってレシピに幅があるようです。きっちりの量でなくてもかまいません。お吸い物よりは少し濃い、ぐらいにしてください。
大体このぐらい、というめやすを書いておきますね。
3倍希釈のめんつゆ50mL+水250mLで、300mLのかけつゆに。
2倍希釈のめんつゆ80mL+水240mLで、320mLのかけつゆに。
等倍希釈のめんつゆ100mL+水200mLで、300mLのかけつゆに。
さまざまな「めんつゆ」。
「白だし」でも作れます。「白だし」は、さまざまなだしに白しょうゆや薄口しょうゆ、砂糖やみりんなどを加えた調味料の一種で、めんつゆと同様、薄めて麺のかけつゆやお吸い物にすることができます。色がほとんどつかず、香りも上品です。野菜の色や香りを活かしたいときにぜひ使ってみてください。
白だし。煮物や和え物など幅広く使える
だしを注いだら、理想は一晩、少なくとも3時間ほど冷蔵庫で漬け込む
野菜で一食。休み明けの胃疲れにも。
香り、歯ざわり、冷感、うまみを同時に味わうことができ、ごはんやそうめん、冷ややっこなどにのせれば魅力的な一食になる「だし」。一度作ればきっとリピートしたくなると思います。
オクラのネバネバは“ムチン”と呼ばれる成分で、粘膜を保護する働きがあります。みょうがのあの香りの成分にも消化促進の効果があり、お盆休みの帰省や旅行で食べ過ぎた!という方にもおススメです。
いろいろな「だし」を楽しもう!
郷土料理の「だし」には、さまざまなバリエーションがあります。また、冷蔵庫の残り野菜を刻み込んで作れるような、シンプルなレシピです。
長いも入りのだし
基本のレシピに、刻んだ長いもを加えたバージョンです。長芋は変色しやすいので、だしを用意しておいて切ったそばから漬け込んでいくとよいでしょう。刻んだ梅干をトッピングしています。
「だし」スペシャル
基本のレシピの、具を沢山増やしたバージョンです。なす、きゅうり、オクラ、みょうが、しそ、しょうが、青ねぎ、そして昆布。昆布は、だし昆布を細く刻んで野菜に混ぜています。
山形では「納豆昆布」や「がごめ昆布」という細切り昆布を使ってねばりを出し、同時にうまみをプラスするスタイルがポピュラー
【12名限定】リアル・スープ・レッスン
~市販のめんつゆ大研究!おいしい“だし”で野菜を食べる~
3回目となる『スープ・レッスン』のイベント「リアル・スープ・レッスン」。毎回楽しかった、また来たい!という参加者の声をいただいています。
レッスンはデモ形式。8月にご紹介した「とろとろナスと麦茶の冷製スープ」「オクラとみょうがのだし」をアレンジ版で作ります。
また、和のスープづくりに1本あると便利な市販の「めんつゆ」を味比べ。みんなで楽しく「だし体験」をしてみませんか?
日時:8月29日(火)19時~(開場18時40分)※スタート時間の5分ほど前までに会場へお越しください。
場所:神保町 Lab&Kitchen
会費:3.500円 スープ試食つき(水はお出しします。アルコール類はキャッシュオンで承ります)
定員:12名
持ち物:特になし
申し込み方法:こちらよりお申込みください。
スープのレシピや研究成果を発表している有賀さんのnoteはこちら!