休日モードからなかなか戻れない体をスープでリセット
今年最初のスープ・レッスンでは、さっぱり食べられて胃に負担をかけない、さらにお財布にもやさしい精進スープを作ろうと思います。
主役は、寒さによってさらに甘みをたたえた冬の代表野菜・白菜。たっぷりの白菜を豆腐と合わせて、けんちん汁風に仕立てます。
けんちん汁はごぼうや大根、にんじん、里芋など、さまざまな根菜と豆腐をごま油で炒めて煮込んだ具だくさんの汁ですが、白菜と豆腐だけなら思い立ったとき気軽にできます。しっかり煮込んだ白菜のおいしさをあらためて感じるスープです。
白菜と豆腐のけんちん汁
材料(3~4人分) 所要時間:約20分(豆腐の水切り時間は除く)
白菜 1/4個(約800~900g)
木綿豆腐 1丁(300~350g)
塩 適量
ごま油 大さじ3
水 1L
ラー油 好みにより適宜
1.豆腐と白菜の下ごしらえ
木綿豆腐は、バットなどに置き、キッチンペーパーを重ねた上から重石がわりの皿をのせて2~30分水分を切る。またはキッチンペーパーでくるみ、レンジに1~2分かけて水切りをする。★1
白菜は洗って、1~2cm幅に切る。ざっくり葉と芯に分けておく。★2
2.白菜を煮る
鍋にごま油を熱し、白菜の芯、葉の順に加え、しんなりするまで4分ほど中火で炒める。
水1000mLと塩小さじ2を加えて最初は強火、沸騰後は中火に切りかえて、白菜がやわらかくなるまで約8分煮る。
3.豆腐を加えて仕上げる
豆腐を手でくずしながら入れる。2~3分煮て豆腐が中まで温まったら最後に味を見て塩ふたつまみ程度を加え★3、火を止める。好みでラー油をたらす。
シンプルなレシピですが、ポイントはこちらの3つです。
・豆腐の水切り
・白菜の選び方と使い方
・味見と塩加減
★ポイント1.豆腐の水切り
けんちん汁には味がしみやすい木綿豆腐が向いています。
豆腐一丁の大きさはまちまちなので、300g~400g程度の豆腐を選んで使います。
淡い味のスープに豆腐をそのまま入れると水っぽくなるので、しっかり水切りをしてから使うのが、このスープの最大のポイントです。
水切りの手順は簡単。
①豆腐をバットかまな板に置く
②キッチンペーパーを重ねる
③上から重石がわりの皿などをのせて30分くらい置く
バットの片側にふきんなどをはさんで少し傾ける。まな板の場合は流しに水が直接流れるようにするとよい
時間のないときはレンジを使った水切りをします。
包んだら、ペーパーが重なっている方を下にする
キッチンペーパーを二重にして豆腐を包み、レンジで2~3分加熱しましょう。
★ポイント2.白菜の選び方と使い方
繊維を断つ方向で切ると、白菜が早くやわらかく煮えます。
形の残る白い芯の部分は1cm、葉は少し大きめの2cmぐらいに切るとよい
今回は、スーパーなどでも買い求めやすい1/4玉を使い切る分量にしました。白菜がたっぷり入った鍋のイメージです。ただ、白菜のような大きな野菜にはかなりの個体差があります。
左は1109g、右は427g。同じ1/4個の白菜でもこんなに違う!
今回のレシピで使った白菜は、1/4で900g。この重量に対して水と塩の分量を出しています。細かく計算する必要はありませんが、差があることを心にとどめておきましょう。
鍋をするとき、味を見ながら、水を差したり調味料を足したりしますよね。そんなアバウトな感覚で大丈夫です。
白菜が800g以上になると、カレー鍋ぐらいの大きさが必要になります。直径25cm以上はないと、間に合いません。一人暮らしの人や、小さな鍋しかない人は、この1/2の量で作るとよいと思います。
さて、白菜は「外葉」「内葉」「中心」で味わいが違います。味や食感の違いを覚えておくと、料理によって使い分けができるようになります。
a.外葉(緑の葉) b.内葉(黄色の葉) c.中心(閉じているつぼみのような部分)
外葉はシャキッと歯ごたえがあり、よく煮込むことでうまみがぐっと出てきます。内葉は甘くてやわらかく、この部分を使うとよりやさしい味のスープになります。中心はさらにやわらかく、生でも食べられます。煮込むと、とろとろになります。
中心に近い葉だけを使うなら、煮る時間は外葉より1~2分短くて大丈夫です。
★ポイント3.味見と塩加減
最初に入れる小さじ2の塩でほぼ味はつくはずですが、具材がシンプルでしかもだしを使わない場合は、気持ち濃い目に味をつけるとよいでしょう。そのため、レシピでは最後にほんの少し塩を足しています。
ただ、10分以上加熱する場合、それぞれの家庭の鍋の径や厚み、火力などで水の蒸発量にかなり差が出ます。最初の塩で十分な場合もありますから、必ず味見をしてから調節をしてください。
じわじわおいしい、精進スープ
肉や魚など動物性のうまみも、味噌や醤油などの調味料も使わず作る、このスープ。お正月のご馳走を食べ慣れてしまった舌には、ちょっぴり物足りないと感じるかもしれません。
食べ進むうちにほのかな白菜の甘さとうまみ、そして柔らかい豆腐の味わいがじわじわやってくるはずです。
お正月に限らず、外食疲れしたようなときに、こうしたスープを覚えておくと体のリセットに役立ちます。ぜひ試してみてください!
精進スープのバリエーション
精進料理は肉や魚を使わないかわりに、ごま油、豆乳、油揚げ、しょうがやねぎなど植物性のうまみを重ねることで、おいしさを感じさせるように工夫しています。お寺の精進料理では、ねぎやしょうが、唐辛子など刺激の強いものも使えないのですが、家庭ではこうしたものも取り入れて、パンチのある味に仕上げることがあってもいいと思います。
白菜と豆腐の豆乳汁
刻みネギをごま油でじっくり炒めたねぎ油をトッピングして、アクセントに
作り方はほぼ同じ。水400mL分を豆乳に変え、豆乳は最後に豆腐を入れるとき一緒に加えます。豆乳を加えたら分離しないよう弱火にし、塩は火を止める直前に加えてください。(にがりで豆乳が凝固するのを防ぐため)
白菜と生姜の無塩スープ
しょうがの香りが体にじわじわしみわたる
刻んだ白菜、針生姜、昆布を一枚。これだけの材料を水からコトコト煮ます。ノンオイル、ノンソルトのスープです。味なしスープは飲み過ぎた翌日など、体の中を洗い流してくれるような感覚になるものです。
精進スープ、いかがでしょうか。胃腸をいたわって軽やかに一年のスタートを切りましょう。
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