お酒にもごはんにも合う豚汁は、ボリューム感を重視。
ごぼうの旬は、11月半ばから12月にかけて。この時季のごぼうは土の香りがして、うまみを嚙みしめるようなワイルドなおいしさがあります。
そんな旬のごぼうを、定番の豚汁で味わいましょう。普段は他の素材を邪魔しないよう、ささがきや斜め切りで豚汁に入れることの多いごぼうですが、今日はコロコロに切って歯ごたえも楽しみます。ソテー用の厚切りの豚を使ってボリュームたっぷり、シンプルながらメインのおかずにもなる豚汁です。
素材が少ない分、普通の豚汁よりも楽にできるのもうれしいですね。さあ、レシピはこちらです。
ごぼう豚汁
材料(2人分)
ごぼう 1本
こんにゃく 小1枚
豚肉ソテー用 (豚ロースまたは肩ロースなど脂身の入った部位) 1枚
味噌 約40g
ごま油 大さじ ※サラダ油でも可
練りがらし 少量
水 400mL
1.下ごしらえ
ごぼうは洗って1.5cmの小口切りにする★。
こんにゃくは手で一口サイズにちぎり、熱湯で茹でてあくぬきをしておく。
豚肉は2cm角に切る。
2.肉とごぼうを炒め、下煮する
鍋にごま油をしっかり熱し、肉を入れ両面に焼き目をつける。
肉の色が変わったら、ごぼうとこんにゃくを加えて炒める。
1~2分炒め、水をかぶる程度に注いで、水が減ったら足しながら約10分煮る★。
3.味をつける
味噌の半量と水を400mL足して火を弱火に落とし、約10分煮る。
ごぼうがやわらかくなったら残りの味噌★を溶く。
お椀に盛って、練りがらしを添える。
作り方は、通常の豚汁と同じで大丈夫です。根菜の汁は、下ごしらえと煮方がポイント。簡単に解説していきますね。
・材料の下ごしらえ
・味の含ませ方
・味噌について
★ポイント1. 材料の下ごしらえ
ごぼうは、断面がきれいで、すが入っていないものを選びましょう。断面が見られないときは、ひげ根を見ます。均等にまっすぐひげ根が並んでいるのが、おいしいごぼうです。
すぐに使えて便利な洗いごぼうもありますが、旬のこの時期はぜひ泥付きごぼうを選んでみてください。香りがぜんぜん違います。ごぼうは野趣あふれる土の風味が最大の魅力。洗うと、皮の周辺にある香りが失われやすくなります。泥付きのほうが、保存性にもすぐれています。
ごぼうの魅力は野趣あふれる土の香り。皮には香りが多く含まれているので、皮はむかずに使います。
ふきんかたわしを使って流水で泥を洗い流します。私は、やわらかい棕櫚(しゅろ)のたわしで洗っています。
ふきんもたわしも家にない!という人は、手を使って水で泥を洗い流し、包丁の峰(背)を使ってごぼうの表面をなでるようにします。ごぼうは丈夫そうな見てくれですが、皮はデリケート。やさしく扱ってあげてください。真っ白になるまでこすると、風味が薄れてしまいます。
ごぼうは水にさらして使うことも多いのですが、このレシピではそのままでも大丈夫です。変色が気になる人は水に30秒ほどさらしてください。
ごぼうに合わせて肉やこんにゃくもコロコロに
★ポイント2. 味の含ませ方
ごぼうは固く味が染み込みにくいので、煮方に少し工夫をします。それぞれのステップに目的があり、目的に応じて油や水や味噌を加えていきます。
第一段階:炒める
コクを出すために、ごぼうにごま油と肉の脂をしっかり絡めつけるように炒めます。
第二段階:煮る
ごぼうを柔らかくするために、かぶるぐらいの水で煮ます。水が減ってきたら足すようにして煮てください。
第三段階:味噌を染み込ませる
ごぼうに味をつけるため、味噌の半量だけ入れ、水を加えて煮込みます。全部入れないのは、味噌の香りが飛んでしまうから。半量は残しておいて、仕上げに使います。
★ポイント3. 味噌について
味噌汁や豚汁といった、気取らず、安心して食べたい汁に最も適した味噌とは、「食べ慣れた味噌」に尽きると思います。発酵食品である味噌は、もともとかなり癖のある食材。私たちが味噌をおいしいと思えるのはそれを食べ慣れているからです。
とはいえ、普段味噌を使わない、あるいは実家で食べていた味噌がわからない、という人もいますよね。迷ったら、最も普及している米味噌の中で、黄色か褐色の味噌を選びましょう。信州味噌、仙台味噌などが有名です。 九州の出身の人の場合は、麦味噌がおうちの味である可能性も。麦のつぶつぶが入っています。 米味噌でも、麦味噌でも、だしは入っていないもののほうが、使い道が限定されません。
長期熟成させるのに塩分が必要なため、一般的に白い味噌は甘く、褐色になるほど塩が濃い
気をつけたいのは塩分です。味噌によって塩の量がかなり違うため、毎回違う製品を買うよりは、これというものを定めて使う方が、料理がスムーズです。 入れ過ぎるとアウトなので、慣れない味噌を使うときは、少しずつ加えて様子を見るといいと思います。
素朴な味わいのごぼう豚汁には、練りがらしを添えてみましょう。七味で食べる豚汁とは雰囲気も変わって新鮮です!
さまざまな野菜の味が混ざり合う具だくさんの豚汁もよいものですが、野菜を一種類だけに絞ったシンプルな豚汁なら、旬のごぼうのおいしさをストレートに味わうことができます。料理の手順や煮る時間もごぼうに合わせて、ごぼうの魅力を引き出してやれます。
簡単な手順でも、単品でも、おいしい野菜をていねいに料理することで十分に満足ができるはず。それが目指す味です。
野菜一品で簡単にできる豚汁アレンジ
豚汁にはいろいろな具が入っていますよね。ごぼうを他の野菜にかえても、シンプルで手間もかからない豚汁が作れます。豚と大根、豚とねぎ、豚と里芋、豚と白菜……相手を変えればレシピは無限。そんな中から、アレンジメニューをふたつ、ご紹介します。
キャベツ豚汁
あまりがちな外葉も豚汁にすれば一度に片付く
キャベツを入れる豚汁はあまり見かけませんが、野菜単品の「キャベツ豚汁」なら問題なし。なぜかラーメンを入れたくなる味わいです。
にんじん豚汁
白味噌に赤みそを少し混ぜて使う
にんじんの千切りと豚バラ肉の細切りを合わせたモダンな「にんじん豚汁」は、白のすりごまをトッピングしておしゃれな雰囲気です。
スープのレシピや研究成果を発表している有賀さんのnoteはこちら!