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【大相撲】

[北の富士コラム]言うことなしの快勝に不満を述べているらしい御嶽海 それを言いたければもっと稽古をしたらどうか

2020年3月11日 22時27分

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 4日目も無事終了。しかし、けが人が2人出た。鶴竜との一番で高安が腰か脚を痛めたらしい。自力で起き上がれず世話人に担がれて退場したが、明日からの土俵は無理だろう。今日まで3連敗と不調の高安だったが、鶴竜と熱戦を展開、良く攻めたが鶴竜の突き落としを食らい土俵にたたきつけられてしまった。悶(もん)絶とはこんな状態を言うのだろうか。私はあまり大きなけがの経験が無いのでどの程度痛いのかさっぱり分からない。大事に至らなければ良いがと言いたいところだが、あの痛がりようは普通ではない。

 千代大龍も土俵下まで転げ落ちて立ち上がれず、車いすで病院へ直行したらしい。大きなけがを見ると、その一日は気分が悪いものだ。千代大龍も休場が濃厚と思われる。好調だっただけに残念だろうが、治すことに専念することだ。それでは気を取り直し、土俵に話を戻そうか。

 幕内前半は石浦と隆の勝が4連勝と元気いっぱい。先場所の例もあるので下位力士といえども侮れない。特に隆の勝は大勝ちの兆しがある。私のイチ押し御嶽海が力を付けてきている豊山を一気に土俵外まで吹っ飛ばした。鋭い踏み込みから、右から攻めて快勝。言うことなしである。ところが本人は取り口に不満を述べているらしい。完璧な相撲なんかいつも取れるわけがないものだ。文句を言ったら切りがない。素直に喜べば良いではないか。それを言いたければもっと稽古をしたらどうか。せっかく褒めているのに気分が悪い。まったく話にならん。

 正代は本当に炎鵬と取るのがうまい。小さい力士は大きな相撲に弱いというが、全くその通りの相撲である。先日の豊山のように警戒心なんぞ、まるで持っていない。上手を取って前に出る。ただそれだけで良い。どうやら正代、一皮むけたようである。気のせいか、顔つきまで締まってきた。

 では4日目随一の好取組、朝乃山と北勝富士戦。いつも熱戦となるが、今日は朝乃山の一方的な相撲に終わった。勝負は立ち合いで決まったと言って良いだろう。北勝富士がぶちかましから突き放そうとしたが、朝乃山の踏み込みが鋭く、右をのぞかせるが誠に速かった。左の上手は取れなかったが、とっさに右からすくい投げを放つと北勝富士はゴロリと横転した。朝乃山の強さばかりが目立った一番であった。

 私は非の打ちどころの無い相撲と褒めたが、朝乃山は不本意を述べている。どうやら寄り切って勝ちたかったのだろう。すくい投げで決めたことを反省しての発言だが「朝乃山、おまえもか」と言いたい。あの相撲に文句を言うヤツがいたら連れてこい。もし来たら俺は逃げる。

 どうして今の若い力士は理想ばかり求めるのか。それは立派な事ではあるが、あまり高望みはしないことである。その前にやる事がいっぱいあるだろうに。俺なんかの若い頃は勝ったらそのまま飲みに出て大騒ぎである。褒められた事ではないが、あまり深刻に考え過ぎないことだ。

 思いがけず説教じみた事ばかりで申し訳ない。今夜もルームサービスで済ますとするか。大阪に来てまだ5日。すでにカレーライスを4回も食べている。トホホ。お休みなさい。(元横綱)

 

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