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福井

ひな誕生に地元期待 越前市のコウノトリ抱卵

昨年に続き抱卵に入ったと推定される「ゆめちゃん」(下)と「みほと」=越前市菖蒲谷町で(県提供)

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 県は十日、越前市菖蒲谷町で営巣している国の特別天然記念物コウノトリのペアが産卵し、本格的な抱卵に入ったと推定されると発表した。県内での野外ペアの産卵は四年連続。昨年は坂井市で五十五年ぶりに自然繁殖でひなが誕生しており、二年連続のひな誕生と巣立ちが期待される。

 県自然環境課によると、産卵したのは二〇一四年に越前市白山(しらやま)地区で産まれて放鳥された雌の「ゆめちゃん」(五歳)。昨年に続き、兵庫県朝来(あさご)市で放鳥された雄の「みほと」(六歳)と共に、二月十二日に白山地区へ飛来したのを県が確認していた。

 ペアは昨年も県がコウノトリを飼育しているケージの上にある巣で抱卵したが、ふ化には至らなかった。同じ巣を利用し、昨年より一週間ほど早い今月一~三日に産卵したとみられる。

 コウノトリは一日七時間以上の観察で、親鳥が長時間巣を留守にせず、巣に伏せる時間の割合が50%以上なら産卵、80%を超えたら抱卵に入ったと推定される。ペアは巣に伏せる割合が二日から60%を超え、四日からは90%を超えた。くちばしで卵を転がす「転卵」のような行動も確認されている。

 有精卵なら四月上旬にひなが誕生する見込み。県は親鳥を驚かせないよう巣から百五十メートル以上離れて観察することや餌を与えないことなどを呼び掛けている。

 白山地区でコウノトリと共生する環境づくりに取り組む「水辺と生き物を守る農家と市民の会」の恒本明勇(あきお)会長(73)は「今年こそはふ化から巣立ちまでが実現するよう、ペアに頑張ってもらいたい。実現すれば地域が盛り上がる」と願った。白山地区では別のコウノトリのペアも確認され、昨年に続く産卵が期待されている。

 (山本真喜夫)

 

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