通信販売会社「ケフィア事業振興会」(東京、破産手続き中)が不正に資金を集めていた事件で、同社会員から約8300万円をだまし取ったとして、警視庁生活経済課は10日、同社元代表の鏑木秀弥被告(84)=出資法違反罪で起訴=ら当時の幹部7人を詐欺容疑で再逮捕した。
同課によると、鏑木容疑者は「嘘のダイレクトメールでお金を集めた」と供述している。
再逮捕容疑は2018年5~8月、資金繰りが破綻し元本や利息を支払える状態ではないと認識しながら、元本保証などと虚偽の説明をしたダイレクトメールなどを送り、会員22人から資金をだまし取った疑い。捜査関係者によると、同5月ごろから破産申請に関する弁護士費用の積み立てに充てていた。
同社は11年から関連会社が育てた果物の加工食品などへの出資を募る「オーナー制度」を展開したが、実際には集めた金を配当の支払いに回す自転車操業状態で、17年11月ごろには配当が途絶え始めた。
鏑木容疑者は任意の聴取に対し、この時点で会社が破綻する可能性を認識しており、「金を集めなければ直ちに破綻するため、集めるしかなかった」と話していた。
同課は2月、鏑木容疑者ら幹部9人を出資法違反容疑で逮捕。東京地検は9日、9人を同法違反罪で起訴した。同課などによると、同社は00~18年に約4万4千人から2189億円を集めたとされ、うち約1千億円が未返済となっている。