備忘録 陽子線治療 | 子宮頚部腺がんステージ4b 34歳新米ママのむすめごはん

備忘録 陽子線治療

テーマ:夫 備忘録

(備忘録 化学療法 のつづき)

 

 

化学療法が終わった梅雨明けの頃、病気の状態を調べるために、PETCTとMRIを撮った。

 



結果は腹膜播種の病変は小さくなっているようだ、とのことであった。

 


 

僕は心に明るい光がさしたように感じた。

 

 


頑張って治療した甲斐があった。

 

 


五年生存率20%に入れるんじゃないか?とも思った。

 

 


しかし、次に言われたのは、子宮の病変が若干大きくなっているということだった。

 

 


さっき心にさした光は一瞬で消え失せた。

 



化学療法を受けても病変が大きくなっているということは、ほかに何か手を打たなければならない。

 



子宮頸癌の中でも腺癌というのは放射線治療が効きにくいらしい。

 

 


かと言って腹膜播種があるのに手術で子宮をとるという選択肢は侵襲が大きい割にあまり意味がないように思う。

 

 


化学療法も今以上に効く薬はなさそうという話だ。
 

 


僕は先進医療である重粒子線治療を希望して、群馬に行くことを決めた。
 

 


重粒子線治療は放射線治療より数倍、癌細胞を殺す作用が高いらしい。

 


 

それなら腺癌にも効くかもしれない。




しかし、これまでの子宮頚部腺癌に対する重粒子線治療経験は論文発表レベルでしかなく、明確なエビデンスがある訳ではない。

 

 


調べたところによると重粒子線治療は医療保険の適応がなく、先進医療であり、さらに、ステージ4の子宮頚がんには先進医療の適応すらない。


(病名、ステージによって異なりますので注意してください。あくまで子宮頚がんの話です)




断られる可能性は充分あるし、もし、可能だと言われても保険外診療扱いなので全額自己負担だ。何百万かかるかわからない。

 

 


腹膜播種が小さくなっているならステージ4ではないんじゃないか?なんてこじつけのような理由を考えつつ、わらをも掴む思いで彼女と一緒に群馬に向かった。

 


 

しかし、やはり、群馬の病院では、病変が子宮から腸に近い部分まで進展しており、腸に穴が開く可能性があるから重粒子線治療はできないと言われた。

 


 

最初から彼女には、“重粒子線治療はやってもらえない可能性が高いかもしれない”  と言ってあったので、彼女のショックは少ないようであったが、僕は目の前が暗くなった。

 

 


高崎駅のぐんまちゃんの立て看板の前で写真を撮って、葵にぐんまちゃんの靴下を買って、2人とも敢えて明るく振る舞いながら帰った。



 




その群馬での説明の結果を主治医に伝えると、今度は放射線科の大ベテラン医師が福井県の陽子線治療を勧めてくれた。

 



今度も断られるのではないか?と猜疑心を感じながら赴いた福井の病院では、優しそうな医師が、若いのに大変ですね、陽子線治療を頑張りましょうと言ってくれた。

 


 

僕はその言葉がとても嬉しかった。

 

 


よかった。まだ治療ができる。前に進める。




彼女も嬉しそうだった。




福井だったらカニだね!なんて冗談を言って2人で笑った。
 

 



8月から9月とまるまる2ヶ月間、彼女は福井の病院に入院することになった。


 


僕は仕事終わりに妻にテレビ電話をするのが日課になり、妻の元気そうな顔を見るのがその日の唯一の楽しみだった。





葵は相変わらずうちの両親と、義父母の家を行ったり来たりする日々であった。

 

 


母親のいない場所で、もしかしたら辛いのを我慢していたのかもしれないが、それでもひとつもぐずることなくすくすくと育っていた。

 


 

親バカかもしれないが、自分の娘ながらなんて偉い子なんだと感心するほどであった。

 

 


僕は休みの日には何度か彼女の様子を見に福井に行ったが、そのうち2回ほどは電車で葵を連れて行った。

 

 


彼女に葵の元気な姿を見せたかったからだ。

 

 


一歳4ヶ月の子供との二人旅はなかなか経験することのない、大変だが楽しい旅だった。

 

 


中年男と乳児の2人旅は、周りからは白い目で見られるかもしれないと思ったが、見知らぬ人たちも案外親切にしてくれて、葵をあやしてくれたりもした。

 

 


これなら日本も捨てたもんじゃないなと思った。

 



妻も、娘と2人で福井に来た僕を見て驚いていた。




休日だったので、妻は外泊し、近くのホテルに泊まって久しぶりにゆっくりと3人の時間を過ごした。






↑群馬に行った時の写真です。
どこに行くのも旅行気分みたいな笑顔ですね。
結果はどうあれ、妻といろんなところに行くのは本当に楽しかったです。




↑福井に行く電車で寝る葵


↑福井の病室にて


↑ぶりっ子する葵
特に意味はありません汗




(実際に妻が受けたのは、陽子線治療+シスプラチンの化学放射線併用療法というものです。




陽子線治療を行いながら、1週間に一度、シスプラチンという抗がん剤を投与するものです。




ただ、今まで抗がん剤を半年も続いてきた妻の身体にはさらなる抗がん剤は厳しいかもしれないと、シスプラチンの量を減らして投与したにもかかわらず、吐き気や腹痛が強く出てしまい、2ヶ月のうちで3回しかシスプラチンは投与できませんでした。




しかも、途中で腎盂腎炎にもなりました。




それでも陽子線は最後までやりきりました。




この時の治療は結構辛かったみたいで、家族と離れて2ヶ月もよく頑張ったと思います。(陽子線自体は1日一回数分で終わるようで、辛くないのですが、吐き気と膀胱炎様症状、腹痛、、などの周辺症状にやられていました。これはケモによるものなのか、陽子線によるものなのか、病気によるものなのか、僕にも正確には判断できませんでした。




余談ですが、

病気になる前にも、福井には2人で旅行で来たことがありましたが、とてもいい雰囲気の町ですし、なんといっても蟹が美味しい!


福井でいただいたセイコがには絶品でした。


食べるなら是非タグ付き蟹をどうそ!


僕の好きな町の1つです。


福井の方の喋り方、好きです。)

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セカンドオピニオン

テーマ:ブログ

皆さまこんばんは😊


備忘録も半分以上が書き終わりました。


ブログ初心者の私の、拙いブログに毎日沢山のアクセス、コメントをありがとうございます。


いつもコメントを楽しみに読ませていただいております。





さて、今回は備忘録に書き忘れていた、セカンドオピニオンに行った時の話を書こうと思います。



同じ病気で治療している方の参考になればと思い書く事にしました。





ちょうど化学療法が始まって、初回投与の際に、化学療法室の看護師さんにセカンドオピニオンには行かないのか?と聞かれました。



また、別のタイミングで抗がん剤の説明をしてくれた薬剤師さんからも同じような事を聞かれました。



うーん、もともと正直あまりセカンドオピニオンに行く気はなかったのですが、、



僕が妻の病状を充分理解していることと、主治医の見解が信頼するに足ること、がセカンドオピニオンに消極的だった理由です。



しかし、2人からも同じようなことを聞かれると、行った方がいいのかな?という気になってきます。



僕は正直に、主治医の産婦人科医(若い女医さんが転勤になるとの事で、のちに主治医になる大ベテラン男性医師に相談しました)に相談しました。



セカンドオピニオンというと、主治医を信頼していないように思われそうだったので、“先生の事は信頼していて、これからも治療をお願いしたいのですが、看護師さんと薬剤師さんからセカンドオピニオンを勧められて” と正直に説明しました。



すると、その先生は是非行ってきて下さいと言いました。



そして、4人の候補者をわざわざ顔写真付きでプリントアウトし、一人一人の経歴や性格を話してくれました。



その中で、子宮頚がんに精通しガイドライン作成にも携わった2人の医師のところへ、セカンドオピニオンを聞きに行くことにしました。



抗がん剤初回投与の二週間後、妻の体調の良い時期を狙って休みを取り、予約を取ってもらいました。



1つは兵庫県の病院、もう1つは東京の病院でした。



兵庫県の病院は少し古かったですが、沢山の医師がいるようで、権威がある病院のようでした。



東京の病院は新しくて綺麗で、診察待ちの間も診察室前で待たずにPHSで呼ばれます。



こういう心配りは有難いですね。



是非私の病院でも採用してもらいたいシステムです。



わざわざ遠くまで仕事を休んで来たのに、嫌な事を言われたら辛いな、なんて思いながら、妻には旅行気分で行こうよと言っていました。



妻も意外と小心者なのか、りゅうちゃんが先生としゃべってね、なんて言っていました。



2つの病院で言われたこと、それは、自分の病院で言われたこととほとんど変わりませんでした。



子宮頸部腺癌で、頸部と体部の境目にできて、体部の方に進展したので非常に見つけづらかったのだろう、非常に珍しいケースだと、いずれの医師も少し驚いていました。



治療方針は、腹膜播種がある時点で化学療法が第一選択、これは私も充分分かっていたことですし、使う薬剤もTC-BVで異論はなさそうです。



なんだ、やっぱりそうだよな、と正直思いました。



しかし、逆に考えると、今の主治医の治療、私の考えは大きく間違っていない事を再認識しました。



セカンドオピニオン外来では、充分な時間を取るように予約されているのか、30分くらいは話をしていたと思います。



ゆっくりと質問をすることもできました。



そして、2人の医師とも、患者の気持ちを受け止め、充分理解できるよう一生懸命説明してくれ、最後には治療頑張って下さい、と労いの言葉までかけてくれました。



患者、家族になって気づきましたが、病院にかかるというのは患者さんにとっては一大決心です。



そこで優しい言葉をかけてもらえるのは本当に嬉しいものです。



それから、僕も出来るだけ患者さんには労いの言葉をかけるように心がけています。

 


もし、時間に余裕があるならばセカンドオピニオン、受けてもいいと思います。



自分の病状を正確に把握していて、もし治る可能性が低いような場合でも、完全に主治医を信頼して治療を任せられるのなら行く必要はないかもしれません。



しかし、もし、自分の病状がいまいち理解できていない、主治医の意見に疑問がある、治療方針に疑問がある、など、少しでも気になることがあるのならば、セカンドオピニオンを受けるべきでしょう。



それが治療に直結はしなくても他の人の意見を聞くのは大事です。



そういう意味で看護師さんや薬剤師さんは勧めてくれていたのかもしれません。



セカンドオピニオンを受ける相手は、その病気に精通した人を選ぶべきです。



そうでなければ混乱するだけになるかもしれません。



どこに行けばいいのか分からない時には主治医に相談しましょう。



今回のブログ、当たり前の事を書いたかもしれませんが、これが、私がセカンドオピニオンを聞きに行った感想です。



兵庫と東京、いずれも診察が終わってめいっぱい観光と食事を楽しんで帰りましたとさ。



ただでは帰らんぞ!なんて思いながら笑








↑兵庫県
完全に遊びに行ってますよね汗
だってせっかく平日に休みをもらったんですもん!



↑東京も同じく
診察が終わって開放感でいっぱいなんです