アベノミクスがもたらした福音:自殺者数は今世紀最小、犯罪件数は戦後最小
自殺者数および犯罪者数と景気との「相関関係」については、個々の事情もあり、また、諸説あるだろう。しかし、客観的数値が示す事実をもとにして「相関関係」を検証すれば、自ずと説得力が増す。
今回は、アベノミクスがもたらした福音としての自殺者数と犯罪者数の推移を見てみよう。
アベノミクスで自殺者数は低下
嘉悦大学教授の高橋洋一教授は、まさにアベノミクスが自殺者数を減らす上で、大きな役割を果たしたと主張する。
警察庁が18日発表した自殺統計によれば、2018年の全国の自殺者数は2017年より723人少ない2万598人(3.4%減)で、9年連続減少した。2.1万人を下回ったのは37年ぶり。人口10万人当たりの自殺者数(自殺死亡率)は0.5人減って16.3人。1978年統計開始以来、最少になった。
筆者は自殺者の減少は金融緩和政策の「成果」だと考えている。
自殺と金融政策がなかなか結びつかないというのが、一般の人の感覚だろう。
だが米国などでは金融政策は雇用政策だと認識されているし、日本でも失業率が低くなると、自殺率が下がる傾向があるのだ。
(中略)
原因や動機の中で、健康問題と失業などの経済生活問題が占める割合は、年によって大きく変動し、その度合いは景気の動向に密接に関係がある。
具体的には、景気が悪く失業率が高くなると自殺率は上がり、逆に、好況で失業率が低くなると自殺率が下がる傾向がある(図1)。
筆者の推計では、1998年-2018年の両者の相関係数は0.86になっている。
失業率を1%低下させることができると、自殺者を3000人程度、減らすことができる計算だ。
(中略)
なお、こうした時系列については、トレンドの影響を受けるために、見かけ上の相関係数が高くなるという意見もあるが、トレンドを除去しても、失業率と自殺率の間には高い相関が見られる。
高橋洋一氏が指摘するほどの相関関係があるかは置いておいたとしても、金融緩和が景気回復をもたらし、それが自殺者の数を減らしたというのは、一定の説得力がある。
事実、わが国の自殺者数は9年連続で減少し、2万1千人を下回ったのは、昭和56年以来37年ぶりだった。
そして、この相関関係を裏付けるかのようなデータも残っている。
現在の立憲民主党を構成する枝野代表が官房長官、菅直人最高顧問が首相を務めた菅直人政権時代、悪夢のような景気であったが、当時の自殺者数が21世紀では最大であった。
あらゆる階層の国民にとって、菅政権は国民を自殺に追い込むような最低の政権だったのである。悪夢というより、地獄そのもの。
このように、少なくとも結果論であっても、アベノミクスは自殺者数を減らしたと言えそうだ。
犯罪件数は戦後最小
雇用が増え、社会が安定すれば低下するのが犯罪件数だ。
その犯罪件数が戦後最小になっている。
そして、それは安倍政権の誕生と軌を一にして、もともとの低減傾向が一気に加速している。
そして、それは少年犯罪を見ても、より明らかだ。
上記でもわかるように民主党政権期の平成21~24年と安倍政権期の平成25~29年の減り方は大きく違うことがわかる。
安倍政権により、子どもの貧困は「7人に1人」から「6人に1人」と大きく下がった。少なくとも、子どもの貧困が改善すれば、犯罪の動機の一つは減ることになる。
全てが安倍政権のおかげだということはない。それは良いことも悪いことも同様だ。
だが、少なくとも、自殺者や犯罪件数の低下にアベノミクスが少なからず貢献したことは、間違いがないだろう。