安倍外交、インドネシアから中国の影響力排除に成功

今年3月、日本が全面支援した都市高速鉄道がインドネシアで開通した。しかも、この鉄道には、インドネシアとしては初の地下鉄が含まれている。トップ画像は、その試乗会での様子で、インドネシア市民の喜びがヒシヒシと伝わってくる。実は、このプロジェクトこそ、インドネシアから中国の影響力を大きく排除した、安倍外交の成果だったのだ。

中国がいったんは絡めとったインドネシア

当初は日本がリードしていたと考えられていたが、中国政府がインドネシアの財政負担をゼロにするという”破格“の条件で受注をもぎとった。
(中略)
ジャカルタ―バンドン間(140キロメートル)のインドネシアの高速鉄道計画を巡っては、インドネシア政府は日中両国の提案では、財政負担が生じることなどを理由にいったん白紙撤回し「中速」鉄道にする方向を示した。しかし、中国政府はインドネシア政府の財政負担や債務保証を伴わない事業案を示し、インドネシア政府は一転して中国案の採用に踏み切った。

引用元 土壇場でひっくり返されたインドネシア高速鉄道。政府危機感強める

中国による甘いささやきとマネーパワーで、日本が提案した鉄道計画を押しのけられ、一時は中国が主役になってしまった。わが国が世界に誇る鉄道事業は、東急やJR沿線などを見ればわかるように、鉄道沿線の住宅・物流・大都市・工場計画などと密接に結びついており、その地域に国家としての影響力を及ぼせることは言うまでもない。

かつての英国の植民地化が鉄道を基軸にし、また、日本の近代化が鉄道から始まったことからもこれは明らかだ。

インドネシアは、一旦は中国の手に落ちてしまったと言っても過言ではない。しかし・・・

頓挫する中国のプロジェクト

インドネシアの状況だけは中国に大きな悪気がある。この悲しい状況になっているのは、高速鉄道計画(ジャカルタ―バンドン間・約140Km、当初計画2019年開業予定)だ。現在の進捗状況から早くても開通するのは2024年と見られている。再選を目指すジョコ大統領の実績として、選挙対策のPRにしようとの目論見は崩れ去った。

ほぼ、日本の新幹線方式での導入が確実視されていた中、中国の「財政負担ゼロ」という誘惑に騙されてしまったからだ。しかも、中国が提出した調査資料は日本企業の資料を、ほぼ丸写ししたものだった。インドネシアの悪い役人が、情報を中国に渡したのが原因だと言われている。完成しても採算がとれるようになるのは、かなり厳しいスキームだ。中国は採算を度外視して、世界へのPR用実績作りではと、インドネシア当局も理解していたが「有言実行」が度々無視されることが多く、インドネシア側は困惑の連続だ。

ジョコ大統領は、中国の怖さや、したたかさについて無知すぎた。円借款を利用する日本の新幹線方式の導入のオファーを蹴って、ずさんな中国の罠に嵌められてしまった。開通まで辿り着けるかどうか、まだまだ不透明

引用元 中国に吹かされ「後悔するインドネシア」高速鉄道の完成は5年遅れで、2024年開通か!? 

しかし、中国の計画は粗雑過ぎて頓挫してしまった。今年4月の大統領選挙の宣伝材料にしたかったインドネシアのジョコ大統領は、中国のずさんな事業計画によって昨年ピンチに陥った。

そして、すかさず助け舟を出した安倍政権

日本が円借款で支援するパティンバン港開発やジャカルタの大量高速輸送システム(MRT)構築は大統領選前の完成が見込まれる。特にパティンバン港は5月に着工し、19年3月に部分開港するプランを日本政府がはっきりと伝えている。「海洋国家の復興」を看板にするジョコ政権にとって間違いなく大統領選挙への追い風になる。ジャワ島横断鉄道など大型案件も日本と協議中だ。

もともとは親日国家インドネシアの政府内で「日本派」が復権の兆しを見せているのである。

日本によって開業するインドネシアの地下鉄。

引用元 インドネシア高速鉄道計画にみる「日本の良心」と「中国の狡猾」どちらが信用できるからが信用できるか

ピンチに陥ったジョコ大統領に助け舟を出したのが、安倍政権のプロジェクトだ。

特に、首都ジャカルタの大量高速輸送システムは、インドネシア初の地下鉄を含んでおり、ジョコ大統領に「インドネシアにおける地下鉄の父」という名誉を与えるまでに至った。

実際、昨年11月の安倍総理とジョコ大統領の首脳会談では、ジョコ大統領から、この点における感謝が特に強調された。

ジョコ大統領より,ジャカルタ都市高速鉄道建設に向けたこれまでの協力に感謝するとともに,将来の協力にも期待表明がありました。これを受けて,安倍総理より,パティンバン新港整備及びジャワ島北幹線鉄道高速化の迅速な実施に向けても協力していきたい旨述べたのに対し,ジョコ大統領より,インフラ整備面での日本との協力について期待の表明がありました。

引用元 日・インドネシア首脳会談(平成30年11月15日)


今回の鉄道事業は、交通混雑が深刻なジャカルタ首都圏の問題を解決するのみならず、インドネシアにおける、日中の影響力を大きく変えるものだった。

中国の甘い話を選び、それに騙された後に、日本が助け舟を出したのだから、それも当然。そして、これを契機に、安倍政権が進めるインドネシアとの協力は深化を続けている。

安倍政権の大きな外交成果が、また生まれた。

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