オーストラリア前外務大臣の最側近、「安倍政権は地域の安定化要因」と激賞

2月26日、オーストラリアのビショップ前外務大臣の上級国家安全保障顧問を務めたジョン・リー氏が、「日本は東南アジアの安全保障の空白を補う(Japan can help fill a security gap in Southeast Asia)」と題する論説を寄稿した。

それは安倍政権の地域における積極的な役割を肯定的に評価するものだった。

大変興味深く、日本人にとって誇らしい内容であるため、以下に紹介する。

日本は東南アジアの安全保障の空白を補う

・米中対立に苦しむ東南アジア諸国

現在、ハドソン研究所シニアフェロー兼オーストラリア国立大学教授のジョン・リー氏は、米中対立の激化が、東南アジアの中小国家にとって、深刻な問題になっていると、まず指摘する。

アフリカの諺「象が戦うとき、踏み潰されるのは草だ」は、最近の東南アジアによく当てはまる。2つの大国間の対立の深まりは、この地域の比較的小さな国家に深刻な脅威となっている。

シンガポールのISEAS-Yusof Ishak Institute(東南アジア研究所)が行った調査はそれゆえ、この地域の観測筋に警告となるはずだ。2月上旬に公表された調査「State of Southeast Asia: 2019(東南アジアの情勢2019)」によれば、東南アジア諸国連合に属する10か国の1000人以上の回答者のうち3分の2以上が、米中が同地域で衝突するのは必至と考えている。

安倍総理とビショップ外相(当時)

引用元 Japan can help fill a security gap in Southeast Asia

そして同氏は、世論調査の結果を根拠に、米中共に東南アジア諸国から信頼を得ていないと続ける。

おそらくさらに衝撃的な点として、地域の安全保障を長年担っている米国が、「世界の平和や安全、繁栄、統治」への貢献において「正しいことをするか」どうかについて、回答者の半数強(50.6%)が「ほとんど」もしくは「まったく信頼していない」と考えている。さらに悪いことに、同じく半数強の回答者(51.5%)が中国についても同じような見方をしている。安定を切実に求め、外国勢力の支配を恐れている比較的小さな国が集まる地域にあって、これまでは米国の大きな存在感や関与を求める姿勢が優勢だった。これは問題だ。
引用元 Japan can help fill a security gap in Southeast Asia

では、どうすればよいのか?

・日本と安倍政権の存在こそが、東南アジア諸国の希望

ジョン・リー氏は、東南アジアには安倍政権率いる日本がある、と高らかに主張する。東南アジアのために正しいことをする国として最も信頼できるのは日本だという世論調査結果にも言及している。

東南アジアの住人の米国に対する認識が正しいならば、彼らはどこに目を向けるべきなのだろうか?日本は明白な候補となるだろう。上記の調査同様、地域の複数の調査において、東南アジアのために正しいことをする国として最も信頼できるのは日本が依然トップであり、2位以下に大差をつけている。
(中略)
たとえ安倍晋三総理の政権が戦後の平和主義的姿勢から転換し、同地域の米国の同盟国として戦略上最も活動的な国となっても、日本の外交政策が高い支持を得ていることが調査から分かるが、この点は注目に値する。中国の台頭や北朝鮮の核武装などの課題があるなかで、安倍政権の積極的な政策が、不安定化要因というよりも地域の安定化要因としてプラスの評価を得ていることが示唆される。

引用元 Japan can help fill a security gap in Southeast Asia

そして同氏は、日本と安倍政権は、東南アジアにおける高い信頼にこたえる実績と能力を持ち合わせていると賞賛している。

・安倍政権こそが地域秩序の安定化要因

また、安倍政権が、米国が抜けてしまったTPPを立て直し、アジアの数少ない、大きな資本と高い技術を持つ国として、『一路一帯』構想に対する援助戦略を実施しつつあるとも主張。

日本は同地域での米国の活動に影響を与えられる独自の立場にいる。(中略)安倍が、世界の指導者の中で米国のドナルド・トランプ大統領と個人的に最も親しい部類に入ることは広く報じられている。

東南アジア地域での米国政策の一貫性の欠如と不透明性という認識により形成された空隙の一部を、日本はすでに埋めている。「環太平洋パートナーシップ協定(TPP)」からトランプが離脱した後、「包括的及び先進的な環太平洋パートナーシップ協定(Comprehensive and Progressive Agreement for Trans-Pacific Partnership)」は日本政府の素早い断行がなかったら実現していなかっただろう。

さらに日本はアジアにおいて、資本や技術の知見が豊富にある数少ない国の1つだ。TPP離脱後に東南アジア地域に関する包括的な経済戦略がなかった米政府は、インフラ整備において中国の「一帯一路構想」に代わるものを提供するため、豪政府とともに賢明にも日本と連携している。
引用元 Japan can help fill a security gap in Southeast Asia

ジョン・リー氏は、最後に日本と安倍政権の安全保障上の役割、特に安倍総理の発案による『自由で開かれたインド太平洋構想』の意義と重要性を強調する。

米日豪が共同で推進している「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」構想の一部が形成されている複数の調査の中で、日本は信頼でき、良識的で、一貫性があると受け止められているFOIPは、米国が中国の力を封じ込めるための鈍器なのではないかと東南アジアの多くの人が疑いの目を向けるなか、FOIPを発展させ、東南アジア諸国で推進していく大きな役割が日本に課されている。

引用元Japan can help fill a security gap in Southeast Asia

ジョン・リー氏は、日本は『自由で開かれたインド太平洋構想』のまさに主役であり、安倍政権しか担えないとまで示唆する。しかも、こうした安全保障上の役割を拡大することを、東南アジア諸国はむしろ歓迎しているとも。

ジョン・リー氏は、ビショップ前外相の最側近である。そして、ビショップ氏はオーストラリアの与党『自由党』の党首候補になったこともある重要人物。まさに豪州の見識を代表しているといっても良い。

我が国のトップがここまで賞賛されるとは、大変喜ばしいことではないか。

この記事が気に入ったら
いいね ! をお願いします!

Twitter で

関連記事一覧