「───リーシャ、そっちは無事だったかい?」
「ん、なんとか・・・。ステイタスが封印されてモンスターが現れた時は流石に死んだと思ったけど、何故かこっちには向かってこなかったから」
そうかい、アイシャは妹のように扱っていたリーシャ達の無事に安心したように胸を撫で下ろした。
「結局、うちの被害はイシュタル様とフリュネだけってことか」
どちらも良い思い出はないが、それでも自分が前まで所属していたファミリアだ。全く何も感じないということはない。
「あんたらはどこのファミリアに行くつもりだい?」
「そういうアイシャはどうするのさ?」
ステイタスが封印されている状況では今までの借りとばかりに他の冒険者に襲われる可能性もある。彼女達は同時に発表することにした。
「「「ヘルメス・ファミリア!!!」」」
全員が一致した。
お互いに顔を見合わせ、愛想笑いを浮かべる。おそらく考えていることは同じだろう。
「よっしゃ、そうと決まれば早速ヘルメス様の所に行こうぜ!」
「待っててください、姐さん!」
「ちょっと待ちなぁ!お前達ぃ!!!」
突然、彼女達を呼び止める怒鳴り声が聞こえた。その声に一番驚いたのはアイシャだ。
「お前・・・フリュネか?」
そこには以前とはまるで面影もないフリュネの姿があった。
「よくも、よくも、私をこんな不細工にしてくれたねえぇぇーーー!!!シャルティアはどこにいるんだぁい!」
「何で生きてるんだ?というか不細工って、お前・・・、目茶苦茶
「あたいが美人なのは知ってるよ!ただこの顔のどこが美人なんだい。私の美しいパーツが一つも無いじゃないか」
フリュネはアインズの実験という名目で復活を果たしていた。しかし、潰れた顔のまま蘇生した為、あまりにも気の毒に思ったアインズは修復するようルプスレギナに頼んだが、「いやー、さすがにこれは無理っすよ(笑)」と言われ、ニューロニストに整形手術をするよう頼んだ。
ニューロニストはルプスレギナから元は凄い不細工だったという情報から、ニューロニストがイメージする不細工を基に整形手術もとい改造手術を行った。
そもそも骨格からして違うが、ニューロニストは弄る必要のない体も顔に合うよう行い奇跡の作品が出来上がった。ちなみにイメージはアルベドだった。
「絶対に復讐してやるっ!!!」
「そ、そう、頑張りなよ。あたし達はこれから『
執念に燃えるフリュネだが永遠に成就する事はない。さらに蘇生にあたりレベルダウンが起こり、オラリオ初のランクダウンをすることとなる。しかし、フリュネはこれから別の意味で【
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「ヘルメス様ッ!今回の件どうするんですかっ!?」
「う~~~ん、どうしよう、アスフィ・・・」
「イシュタル・ファミリアの崩壊、オラリオへのモンスター進行、冒険者達の情報流出、また一部の冒険者や市民からモンスターに資産を持っていかれたとの報告がありますね。少し調べましたが裏がある者ばかりでしたから放っておいてもいいかも知れませんが。現在、分かっているだけでもこれだけあります」
アスフィの報告にヘルメスは頭が痛くなる。
幸いなのは人的被害は冒険者が怪我を負った者が数名いるが、命に別状は無いところくらいか。死んだ筈のイシュタル・ファミリアのフリュネも整形していただけというよく分からない情報だがとりあえず無事らしい。
《ヘルメス、今回の件で話がある。ナザリックへ来てくれ》
突然、ヘルメスの頭にアインズの声が響く。慣れないなぁ、そう思いながら分かったと答えた。
「すまない、アスフィ。今、アインズに呼ばれたんだ。一緒に行くかい?」
「断っても良いんですか?」
「ん~~~、だめ」
アスフィはため息をしながらヘルメスと共にナザリックへと向かった。
玉座の間にはアインズが玉座に座り、守護者達がその回りに控えていた。
「今回、結果としてシャルティアは無事だったが、これから同じようなことが起きるとも限らん。そちらも決してナザリックに手を出すことの無いように肝に命じてくれ」
「それはわかっているさ。それより今回の事件をどうやって納めるつもりだい?」
「その件に関してはデミウルゴスに任せている。デミウルゴス、頼むぞ」
「はい、畏まりました。それでは私より説明させて頂きます。先ず、イシュタル・ファミリアがあるアイテムを手にいれようとヘルメス様に依頼していたことは把握しています」
ヘルメスは突然名前を出されドキリとする。そして全てを知っているデミウルゴスに警戒する。
「そのアイテムを今回、モンスターを召喚するアイテムだった、ということにします。そしてイシュタルはそのアイテムを使ってモンスターを召喚し、魅了することで支配下に置く予定だった。しかし、モンスターに逃げられあげく殺されたということにしましょう」
「それじゃあ持ち込んだ俺が責任とらされるんじゃ・・・」
「それは仕方ありません。それに全ての責任はとる、とおっしゃられたと思いますが」
後ろからアスフィの拳骨が背中に刺さる。
『そんな事言ったんですか~~~』
『すまん』
「まあ、そんな効果があるとは知らなかったとでも言ってしらを切れば良いでしょう。後、ギルドに根回しして残されたイシュタル・ファミリアの管理をヘルメス領にしてもらいます」
「そんなっ!!いくらなんでも無理があります」
「問題ありませんよ。ほぼ全てのアマゾネス達がヘルメス・ファミリアに入るように手筈を打っています」
「そんな・・・実質、ヘルメス・ファミリアがイシュタル・ファミリアを乗っ取ったようなものじゃないですか。───ヘルメス様、相当皆さんのヘイトを集めますね」
ヘルメスの顔がますます青くなる。
「それで、元イシュタルのいたエリアはヘルメス様の第二のホームとします。管理は私達で行いますので気にしなくて良いすよ」
笑みを浮かべるデミウルゴスにアスフィは実質、ナザリックがヘルメス様を隠れ蓑にイシュタル領を統治するようなものだと痛感する。
「───分かりました。よろしくお願いします」
「いえいえ、私達も同じファミリアの一員ですから」
──────────
「アインズ様、こちらがオラリオでの我々の拠点となります」
アインズはイシュタル・ファミリアの旧ホーム『
「デミウルゴス、拠点ができたのはありがたいがここは・・・」
ほぼそのままヘルメス・ファミリアに移籍しただけのため相変わらず歓楽街の様子は変わらない。昼の今はまだそこまで賑わいは無いが、夜はアウラ達の教育上良くない。
「分かっております。ここはあくまで足掛かりです。アインズ様を見下ろすなど許されません。次は
違う、と言おうとするがデミウルゴスの宝石の目はいつもよりキラキラと輝いていた。
「すいません、お目通りをお願いしたいと言うものがおられます」
ユリがアインズに報告をするとデミウルゴスは了解を貰い転移でナザリックへと消えていった。アインズもモモンへと姿を変える。
「あ、失礼します。あたし・・・私はアイシャ・・です」
「そんな畏まる必要はありませんよ。一応、ここの管理をヘルメス様から任されてるだけでアイシャさんの方が冒険者として先輩なんですから」
「そ、そうか?すまないね、助かるよ。とりあえずこれからよろしく頼むよ、モモン。あたしはアイシャだ。───ところで姐さんはどこに居るんだ?」
「姐さん?」
「ああ、すまない。シャルティア姐さんだ」
「?───シャルティアなら呼べば来るが、何かあったか」
「本当か?もし良かったら呼んでくれないか」
「シャルティアか?何か用なのか?少し待ってくれ」
アインズはメッセージでシャルティアを呼んだ。シャルティアが来るまでアイシャと話をする。
「ところでシャルティアに何の用なのだ?」
「え?そりゃこの前の借りを返すのさ」
「何だとっ!!!」
アイシャの言葉にアインズは警戒する。
「ん、あんたもやるかい?」
「私に勝てるとでも思っているのか?」
「さすがシャルティア姐さんが慕っているだけの事はあるね。でも負けないよ」
「愚かな、さあかかってくるがいい」
「ここでやるのかい?まあいいさ」
そういいながら服を脱ごうとするアイシャ、慌ててアインズは止めに入る。
「おいっ、何をしている?」
「はぁ?何ってそりゃ服脱いでやることは一つだろ」
またか、アインズはこの展開に溜め息をつく。
「すまん、勘違いをしていた。服を着てくれ」
「おいおい、ここまで来てやめちまうのかよ。まあ、姐さんが来るしいいか」
お互いに椅子に座り待っていると、シャルティアがやって来た。
「ご機嫌麗しゅう、愛しのアインズ様」
お辞儀をし、アインズの前にやって来た。アイシャはおもむろに立ち上がると四つん這いになる。シャルティアは自然にその上に座った。
「ところで何かご用でしょうか?」
何事もなく話し出すシャルティアにアインズはドン引きした。
「───いや、その私ではなく、その者が呼んだのだ」
「?───よく調教されてる犬でありんすね」
「ワン(ありがとうございます)!!」
「誰が吠えて良いと言ったでありんすか」
シャルティアはアイシャのお尻を叩く。アイシャはすごく嬉しそうな顔をしていた。
「───すまん、シャルティア。ここはお前に任せようと思う。可愛がってやれ」
「ハッ、この前の失態を払拭できるようアインズ様の領地を命懸けで守り抜くでありんす」
アインズは手を降って去っていった。ナザリックでデミウルゴスに会うと歓楽街の防衛を依頼し、ひっそりと自室に籠った。
またアイシャにひどい扱いをしてしまったorz
イメージぶち壊してすいません( ´△`)