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【ドラニュース】実は不平等なのもプロ野球…中日が根尾や石川昂に“経験積む優先権” 野村克也語録に「経験に勝る財産なし」2020年3月9日 紙面から
◇龍の背に乗って昨夏、根尾にインタビューしたときのことだ。 「野球の神様が何かひとつだけ授けてくれるとしたら?」と聞いた。彼は少し考えてから「経験」がほしいと答えた。 今でも耳に残っているのは、根尾を象徴する言葉だと思ったからだ。「パンチ力がほしい」「誰にも負けない強肩があれば」「ケガしない肉体でしょう」。普通、考え付くのは目に見える戦闘力だろう。それなのに18歳で経験? いや、根尾に言わせれば、きっと「18歳だから経験がほしいんです」ということなのだろう。 2日連続で野村克也さんの語録を引用するが「経験に勝る財産なし」とよく言っていた。人間は成功して覚え、失敗して学ぶ。それを繰り返し、少しずつ蓄積するのが経験だ。そうではなく、先に手に入れたい! 根尾は賢い。人生の早送りボタンを押して、年齢はそのままで経験だけを手にできれば、とてつもないアドバンテージを握れることを知っているのだ。 もちろん、現実の人生に早送りボタンはない。だけど首脳陣は、2年目の根尾にしっかりと経験する場を与えている。紅白戦や2軍戦を含め、彼は45打席立っている(10安打)。沖縄で阪神の福留はこう言ってたっけ。「2月の終わり、いつもなら『あと1カ月』だけど、開幕が早い今年は3週間なんです。だから実戦で40打席はほしい。これは譲れない」。春先は打席の奪い合いだ。球界最年長選手が調整のための絶対条件だという打席数を、根尾はすでに超えている。 2軍では左肩腱板(けんばん)炎がまだ完治していない石川昂(東邦高)を、首脳陣は遠征に同行させた。それどころか「スイング禁止」を命じた上で、打席にも立たせた。結果(もちろん三振)などどうでもいい。根尾にしろ、石川昂にしろ、早送りとはいかないが、経験を積む優先権は与えられる。公正ではあるが、実は不平等。プロ野球はそういう世界だ。 (渋谷真) PR情報
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