英語を話すとき、「いつも同じ表現ばかり使っているなぁ」と感じることはありませんか?連載「サラッと言いたいネイティブの英語」は、学校では習わないけれど、英語ネイティブはよく使う、自分もちょっと言ってみたいと思えるスマートな英語表現を紹介します。
「月」が登場する英語表現
まだまだ寒い日は続き空が澄んでいるせいか、月がとてもきれいに見えますよね。先日も full moon(満月)が素晴らしくきれいに見えました。月は身近な存在でありながら、どこか神秘的で非日常的なイメージを持っています。今回はそんな「月」を使ったフレーズを紹介します。
once in a blue moon
once in a blue moon は「青い月に一度」という意味ですが、これだと一体どういう意味だか全然分かりませんよね。この表現は「ブルームーン」という月が青く見える現象がまれに起こることから「めったに〜ない」つまり「ほとんど起こらない」という状況を表すときに使われるフレーズなのです。
会話では、次のような使い方をします。
A: You look great. You don’t eat junk food, do you?
スタイルいいよね。ジャンクフードとか食べないでしょ?B: I eat it once in a blue moon.
めったに食べないかな。
このように、「まったく食べないわけではないけど、食べることはまれ」というような状況を表すときに使います。I never eat it. ときっぱり言うより、少しロマンチックな言い方になります。
フレーズの由来は、ひと月のカレンダーの中で満月が2度あることは珍しく、その2度目の満月が青く見えることから、ブルームーン=「めったに起きない現象」を表すようになったようです。
ブルームーンが現れるのは2、3カ月に一度だと言われていますので、なかなか見ることができないことが分かりますよね。ブルームーンは、「大気中の塵(ちり)の影響で月が青く見える現象を呼ぶ」という説もありますが、いずれにせよ「めったに見られないもの」を表現しています。
A: Your dad seems really nice.
あなたのお父さん優しそうだよね。B: Yeah, my dad only gets angry once in a blue moon.
うん、ほとんど怒らないのよ。
このように、only を使って表現することもあります。
ほかにも似ている意味の表現を紹介します。
When pigs fly.
この表現は、「豚が飛ぶ」つまり、こちらも「ほとんどありえない」ということを表します。
When pigs fly, he’ll say sorry.
あいつが謝るなんて、あり得ないよ。
このように使いますので合わせて覚えておきましょう。
ほかにもこんなにある!「月」が登場する英語表現
また、moon を使ってよくネイティブが言うのは、be over the moon というフレーズ。これは「大喜びする」「舞い上がる」と、幸せの頂点を表すようなときに使います。「月を超えてしまうくらい、うれしい出来事」というニュアンスです。
A: How’s the married life?
結婚生活はどうなの?B: I’ve been over the moon since Mike and I got married!
マイクと結婚してから幸せの絶頂よ!
ほかにも月を使った表現は、
- ask/cry for the moon 「手に入らないものを望む」
- shoot for the moon 「不可能なことを試す」「高すぎる目標」
- promise(人)the moon 「〜に実現できない約束事をする」
- bark at the moon 「無駄吠えをする」「無意味な抗議をする」
などがあります。
普通に「めったに〜ない」は rarely という単語を使って、
I rarely exercise.
私はめったに運動をしません。
このように使いますが、moon を使うと少し詩的な響きがあるので、ちょっと凝った答え方がしたいな、というときにおすすめです。
ちなみに日本では月の模様を「ウサギが餅をついてる」、と言いますがアメリカではman in the moon つまり、人の形と捉えています。世界各国どんな見え方がしているのか調べてみると面白いかもしれませんね。
東京・根津エリアを散策するデイビッド・セインさん
EJアーカイブスにセインさんが登場!
より自然な英語らしい表現を選び、ネイティブの語彙感覚を身に付けてみませんか!?例えば、「許す」という日本語に対して、英語のallow・permit・forgiveの使い分けについてなど、意味は似ていても、ニュアンスや用法が異なる表現の使い分けを、クイズ形式で分かりやすく解説します。状況にぴったり合う英語表現を学んで、相手に誤解を与えずに自分の思いを伝えられるようになりましょう。
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David Thayne(デイビッド・セイン)
米国生まれ。証券会社勤務後に来日。日本での30年にわたる英語指導の実績をいかし、英語学習書、教材、ウェブコンテンツの制作を手掛ける。累計400万部を超える著書を刊行、多くがベストセラーとなっている。NHKレギュラー出演のほか、日経・朝日・毎日新聞などに連載。企業・学校などでビジネス英語、TOEIC、日本文化を英語で紹介する講演会や行政向けのセミナーも開催。近年は自然英語キャンプを主催し、オンライン英語教育システムも開発中。AtoZ English(www.atozenglish.jp)主宰。
写真:山本高裕
Source: GOTCHA!
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