ナザリック in オラリオ   作:タクミ( ☆∀☆)

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表現が難しすぎるorz



イシュタル・ファミリア

「アイシャ!例のあいつがいる。うちらだけじゃ手に負えない。早く手伝ってくれ」

 

叫声と共に声の主のアマゾネスは慌ただしくファミリアのホームから出ていった。一方、アイシャと呼ばれたアマゾネスは落ち着いた様子でその後ろ姿を眺めていた。

 

「───何事だい?」

 

騒がしいホームの様子に自室から出てきた主神、イシュタルがアイシャに問いかけた。僅かに震える腕を必死に抑えながらアイシャはイシュタルに答えた。

 

「以前、ダンジョンでオッタルとの戦いの間にしゃしゃり出てきた冒険者が歓楽街に入ってきたので迎え討っている所です」

 

イシュタルは神会(ディナトゥス)でのフレイヤとの会話を思い出し怒りが込み上げてくる。

 

「そんな奴を調子づかせるんじゃないないよ。フレイヤとの戦の準備も整っているんだ。さっさと片付けてきな」

 

「───はい。我が主、イシュタル様の御心のままに」

 

アイシャはダンジョンであった少女の動きを思い出していた。彼女と対峙するとき、アマゾネスとしての闘争本能よりも生物としての生存本能が上回っていることを感じていた。これから起こるであろう戦いに決死の覚悟で挑むのだった。

 

 

──────────

 

「ふぅ、少しは気が晴れたでありんす」

 

歓楽街のど真ん中でシャルティアは爽やかな笑顔を振り撒いていた。その回りには裸のアマゾネス達が恍惚の表情で倒れている。ちなみにシャルティアはよつん這いのアマゾネスの上に腰掛けていた。アインズの殺さずの教えがこの程度で済まされたことはシャルティアの成長の賜物と言えよう。

 

シャルティアはアインズとアルベドを尾行していたが、アマゾネス達に邪魔をされてしまった。初めはすぐに片付けようかと考えたが、裸にしては倒して、また現れるアマゾネスに次第に当初の目的を忘れてしまった。

 

アイシャはシャルティアの回りで寝転がっている同僚を見て予想通りの光景にため息をついた。

 

「おや、次はお主が相手でありんすか。もう少し骨があれば妾の夜伽の一人に加えてやってもいいでありんすが」

 

「悪いが期待に応えられる自信はないな」

 

アイシャは本心で答えた。冷静に考えて目の前の女はイシュタル・ファミリアの蟇蛙(ヒキガエル)より強いと確信していた。

 

「そうでありんすか、残念でありんす。それでは蹂躙を開始んす」

 

そう言うとシャルティアはよつん這いのアマゾネスに目にも止まらぬ秘技を使い屈服させる。アマゾネスは手足をガクガクとさせ崩れ落ちた。改めてアイシャは対面する少女、【鮮血姫(ブラッディ・プリンセス)】シャルティアの恐ろしさを痛感する。アマゾネスとして人並み以上の経験はしてきたつもりだ。しかし、一度として自分が落ちることは無かった。いつも相手の男が脱け殻になるのを見ていたが、まさか自分の番が来るとは想像もしていなかったからだ。

 

「準備はできたかえ?」

 

アイシャは精神を集中し身を構える。シャルティアは反応の無いアイシャに準備ができたと判断しスカートを軽く摘まんでお嬢様のように挨拶をした。

 

「では一方的に楽しませてもらいんす」

 

シャルティアは一歩ずつまるでアイシャなど居ないかのように軽快に歩を進めた。全く何も知らない者が見れば普通に歩いているようにしか見えないだろうが、対峙しているアイシャにはそれが死刑宣告のように感じる。

そしてついにシャルティアがアイシャの攻撃範囲に入った。

 

「ッくらえぇぇ」

 

アイシャのハイキックがシャルティアの側頭部を襲う。普通の人間がLv.3のアイシャの全力攻撃を頭に受ければ即死か運が良くて植物状態になるほどの威力だ。しかし、その攻撃はシャルティアの頭に直撃する直前で止められた。アイシャ自身が困惑する。見るとシャルティアは指一本でアイシャの攻撃を防いでいた。しかもそれだけではない。アイシャの足に何の痛みも無いのだ。仮に全力の攻撃を狭い範囲で止められれば衝撃はその一ヶ所に集中する。しかし、シャルティアはアイシャの攻撃を見極め絶妙なバランスで衝撃を殺したのだ。アイシャは愕然とした。殺されると・・・、そこに聞き覚えのある汚い声が聞こえてきた。

 

「おい、アイシャアァ!裸で何やってるんだぁい?これだからブスは見苦しいんだよおぉ」

 

イシュタル・ファミリアのペット、もとい団長の【男殺し(アンドロクトノス)】フリュネだ。二メートルを越える身長とずんぐりとした体格、巨大な顔にギョロギョロと動く目、大きく裂けた口は正に巨大なヒキガエルだ。そんな見た目にも係わらずその美的センスは独特だ。彼女のセンスに共感できるのはナザリックではニューロニスト位だろうか。

一方、アイシャはフリュネの発言に驚いていた。

(裸?私が?)

アイシャは蹴りをいれたポーズのまま自分の姿を見て固まっていた。いったいいつ脱がされたのか全く気が付かなかったからだ。

 

「あれは何でありんすか?」

 

疑問を浮かべるシャルティアを無視し、アイシャはフリュネを睨み付けた。

 

「フリュネ・・・、何しに来た?」

 

「ゲゲゲッ、イシュタル様が様子を見てこいって言うから来てみたら面白いもんがみれたよ」

 

「何でありんすか、このオークは?お主らはこんなのを夜伽相手にするほど餓えているんでありんすか?」

 

「なんだい、このブスは!?あたいの美貌に嫉妬でもしてるのかぁい?」

 

「下等生物の真似をした芸をさせてるようでありんすが、どうやら失敗のようでありんすね」

 

「このブ()────」

 

フリュネが許されたのはそこまでだった。シャルティアはフリュネには容赦しなかった。もちろん死なない程度だが。オークの戯れ言とは言え、至高の御方に創造された自分を貶されたのだ。

フリュネの潰れた顔はさらに潰れ、ギリギリ生かして貰った程度だ。

 

「豚の分際で至高の御方に創られた妾に冗談でもそんな戯れ言は許さねぇぞ。あぁ?おい、お前!ペットのしつけくらいしておけよ!」

 

口調の変わったシャルティアの発言に恐怖を感じながらアイシャはうなずいていた。

 

「まったく興冷めじゃねぇか。おい、お前、私の相手でもしてもらうぞ」

 

アイシャは一人残された事を後悔し、シャルティアを連れてイシュタル・ファミリアのホーム【女主の神娼殿(ベーレト・バビリ)】へと向かった。

 

 

────────────

 

「イシュタル様!大変です!」

 

イシュタル・ファミリアの戦闘娼婦(バーベラ)達が慌ててイシュタルのいる部屋に入ってくる。

 

「なんだ?騒々しいぞ」

 

「ヘルメス・ファミリアのシャルティアを逃がしました」

 

「何?フリュネまで向かわせたんだぞ?あいつはどうした?」

 

「そ、それが、顔を潰されて気絶していました。今はエリクサーを数本使って回復させたところです。ですが・・・もう顔は戻らないでしょう」

 

「なんだと!」

 

イシュタルは如何にフリュネとはいえあれ以上顔が潰れたことに気の毒に思った。あれ以上だとモンスターの方がよっぽどかわいく見えてしまう。

 

「それとアイシャが見当たりません、おそらく連れ去られたんじゃ・・・」

 

「お前達は何をやってたんだ!」

 

「すいません、気を失ってました」

 

「お前達全員がか?」

 

「はい・・・」

申し訳なさそうなアマゾネス達だったが、対峙した時を思い出す。

「───でもあれ凄かったよな!」

「ホント、男であそこまでされたことはねぇーよ」

「シャルティア姉さんと呼ぼう」

「今度はホームに来てもらおうぜ」

 

アマゾネスの本性である優秀な雄の遺伝子を残すこととは全く関係ないシャルティアとの行いに目覚めだしたアマゾネス達にイシュタルはシャルティアの恐ろしさを認識した。

 

「すぐにアイシャ、そしてシャルティアを探せ!」

 

その時だった。階下から聞き覚えのある熱っぽい悲鳴が響いてきた。

 

「───(自主規制)─────」

 

その声と声の主のイメージが全く合わず全員が困惑する。そして急いでその声が聞こえた部屋へイシュタル達は向かった。

 

「何でありんすか?ここは相変わらず騒々しいでありんすね」

 

麝香(じゃこう)の香りが漂う薄暗い室内にシャルティアはあられもない姿でベッドに横たわっていた。その隣に意識を無くしたアイシャが寝ている。ついでにベッドの回りにはシャルティアが今回のデートでアインズと使用する予定で持ってきた不思議な道具が転がっていた。

 

「落ち着かない場所ではありんすが、気に入ったでありんす。たった今から妾の所有物として可愛がってあげるでありんす。光栄に思うがいいでありんすよ」

 

ありがとうございます、と喜んでいる一部のアマゾネスをよそに人のホームでその様な戯れ言をのたまうシャルティアにイシュタルは驚愕した。しかし、フリュネが倒された今、砂上楼閣だ。虎の子の切り札を出すか考えたがそれでも勝てる気はしなかった。

何か手は無いか考えた時、イシュタルは最高と思える手を思い付いた。イシュタル(美の女神)の力で魅了し、引き入れてしまえばいいのだと。フリュネのような醜く言うことを聞かない奴より、シャルティアのように美しくさらに遥かに強い力を持っている方がいい。

 

「シャルティアとやら、次は私がお相手しようじゃないか」

 

「お主は?」

 

「このファミリアの主神、イシュタルだ」

 

「ほう、おもしろそうでありんすね。では文字通りこの場所をかけて勝負といくでありんす」

 

・・・・・

・・・

 

(ふぅふぅふぅ、危なかった。危うくやられるところだった。これほどの技をいったいどうやって習得したんだ?)

 

シャルティアの後ろにサムズアップするバードマンを幻視したが気のせいだろう。

 

「よく耐えたでありんすね、まぁ風前の灯火といったところでありんすが」

 

「次はこちらの番だ。行くぞ!」

 

イシュタルは持てる全ての技を駆使し、さらにシャルティアを魅了する。声で、匂いで、吐息で、全ての五感を刺激させた。

シャルティアはすぐに異変に気付いた。精神異常が無効な筈のアンデッドが精神支配されかけている。シャルティアは油断していた。目の前の女は至高の御方と同じ超越存在(デウスデア)なのだ。

薄くなっていく意識の中でシャルティアは全力で抵抗をしようとした。

 

「こ、の・・・」

抵抗するシャルティアの前に先程顔を潰したフリュネが床を突き破って襲いかかってきた。

「この糞餓鬼があぁ!!よくもあたいの顔をおぉ!!!」

シャルティアとイシュタルの間に図らずも割って入る形になったフリュネは自らの死と引き換えにシャルティアを魅了する僅かの時間を生んだ。

 

シャルティアはフリュネの頭が飛び散る姿を最後に意識を手放した。




フリュネ程度でシャルティアが止められるかは疑問ですが、そうしないと洗脳できないのでフリュネには犠牲になってもらいましたm(__)m

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