『おしん 一挙再放送▽第48週・完結編』のテキストマイニング結果(キーワード出現数ベスト20&ワードクラウド)
- 道子
- 初子
- 希望
- 一緒
- 同居
- 辰則
- オレ
- 自分
- 気持
- お母さん
- 今度
- 土地
- 商売
- 心配
- ホント
- 苦労
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『おしん 一挙再放送▽第48週・完結編』のEPG情報(出典)&解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)
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おしん 一挙再放送▽第48週・完結編[字]
主人公おしんの明治から昭和に至る激動の生涯を描き、国内のみならず世界各地で大きな感動を呼んだ1983年度連続テレビ小説。全297回を1年にわたりアンコール放送。
詳細情報
番組内容
おしん(乙羽信子)の不安をよそに、次から次へとチェーン店を増やしてゆく仁(高橋悦史)の強引な商法は時流にのって成功し、スーパー「たのくら」は、短期間に急速な伸びをみせていた。昭和43年秋には、「たのくら」6号店をオープンし、何もかもが順調に進んでいるかにみえた。しかし、思いがけないところに、落とし穴が口を開けて待っていた。仁の長男で、中学2年の剛(たけし)が盛り場で補導されてしまったのである。
出演者
【出演】乙羽信子,高橋悦史,浅茅陽子,佐々木愛,吉野由樹子,桐原史雄,山下一夫,【語り】奈良岡朋子
原作・脚本
【作】橋田壽賀子
音楽
【音楽】坂田晃一
♬~
(テーマ音楽)
♬~
おしんの不安をよそに
次から次へと 支店を増やしていく
仁の強引な商法は
まだ 高度成長の余波が残っている
時流に乗って 成功し
スーパー たのくらは
短期間に 急速な伸びを見せた。
昭和43年の秋には
6号店を オープンし
何もかも 順調にいっているかに
見えた 田倉家であったが
思いがけないところに
田倉家 高度成長のひずみが
現れた。
♬~
(初子)保護者が迎えに行けば
帰してくれるって
言うじゃありませんか。
大した事じゃありませんよ
きっと。
(おしん)だけどね 剛が どうして
そんな事するようになったのか
その方が心配なんだよ。
親や家庭が しっかりしてたら
警察沙汰になるような事
するはずないだろ。
仁ちゃんと道子さん やっぱり
うまくいってないんでしょうかね。
やっぱり ちょっと行ってくるよ。
母さん…。
年寄りが 余計な口出ししちゃ
いけないと思って
今まで黙ってたんだけど
こんな事があったんじゃね。
じゃあ 初ちゃん 後 頼んだよ。
ねっ。
(玄関のチャイム)
(あかね)どなたですか?
≪おばあちゃんよ。
よいしょ。
こんにちは。
こんにちは。
お父さん お母さん 帰ってる?
うん。
お母さ~ん おばあちゃんよ!
(道子)あかね。 誰が来ても
お父さんも お母さんもいないって
言いなさいって 言ったでしょ!
(あかね)だって
おばあちゃんだもん。
お母さん 申し訳ありません。
さっき 剛を
連れて帰ったばっかりで
剛も まだ落ち着いておりませんし
せっかく
いらして頂いたんですけど
今日のところは…。
私は 剛の事 心配して
来たんじゃありませんよ。
あんたたちに ちょっと
話したい事があったからね。
それでしたら
別に 今日でなくても…。
いずれ 必ず お伺い致しますので。
とにかく 今日は
剛の事で 私たちも
いろいろ ありましたから。
(仁)何してるんですか。
上がって下さいよ。
あなた…。
心配して来てくれたんだぞ。
だって お母さんに来て頂いたって
どうなるもんでもないでしょ。
今度の事は
私たちの問題なんですよ。
お母さんには 関係のない事じゃ
ありませんか。
道子さん 仁は 私の息子ですよ。
剛は 孫です。
仁と剛の事 心配するの
当然でしょ。
上がらせてもらいますよ。
大した事じゃないんですよ。
昨夜 名古屋の盛り場を
友達と ほっつき歩いてて
補導されただけなんですから。
いや パチンコで だいぶ 金は
すったらしいんですけどね
それだって
他人の金を盗んだ訳じゃなし…。
名古屋まで行って
そんな事できるような
お小遣い 渡してたの?
道子が甘いんですよ。
母親として
何の教育もしてないんですから。
あなたも
よく そんな事が言えますね。
あなただって 何にもしてないじゃ
ありませんか。
俺は 仕事で飛び回ってるんだ。
父親のする事は ちゃんと
してるよ。 お前たちに
暮らしの不自由させた事あるか?
お前だって 子どもたちだって
何でも欲しいものは
買ってやってる。
家と子どもの面倒ぐらい 母親が
ちゃんと見ないで どうするんだ。
お金だけ渡してれば それで
済むってもんじゃないでしょ!
ろくに 家にも帰らないで…。
帰ってきたって
うるさそうな顔して
寝るだけじゃありませんか!
たまには 子どもたちの事で
相談したいと思ったって
ただ うるさそうな顔して…。
それでも 父親の役目を ちゃんと
果たしてるって言えるんですか?
そんな文句を言う前に 少しは
自分のしてる事 反省したら
どうなんだ? 俺の顔さえ見りゃ
膨れっ面して!
そんな女房の待ってる所へ 亭主が
喜んで帰ってくると思うのか?
帰ってきたって 口を開けば
たちまち ケンカになるんだ。
それが不愉快だから
黙ってるだけだよ。
(道子)それじゃ
私が悪いって言うんですか!?
自分のした事 棚に上げて!
私を裏切ったのは
あなたなんですよ!
私だって 言いたくもなるわ!
(剛)やめろ! やめてくれ!
顔さえ見たら ケンカばかりして!
剛! 剛… あんたには
お母さんの気持ちが
分かってるはずでしょ?
ねっ。 お父さんが お母さんに
どんな ひどい事したか…。
母さんには
あんただけが頼りなのよ!
もう お父さんの事
諦めてるんだから…。
道子さん なにも そんな事まで…。
剛に言わなきゃ 一体 誰が 私の
気持ち分かってくれるんですか?
父親の悪口なんか
言う事ないでしょ。
悪口じゃありませんわ。
私の つらい気持ちを
この子にだけは 分かってほしいと
思うから。
剛だけが 私の慰めに
なってくれたんです。
勉強だって
よ~く してくれましたわ。
私の言うとおり ホントに素直に…。
剛が 誰よりも 私の気持ちを 一番
大事にしてくれていたんです。
高校だって 大学だって
私の希望する所に入れるように
頑張るって…。
あんた
あんなに一生懸命だったのに
どうして こんなバカな事を…。
泣くなよ 母さん。 僕が悪かった。
あんたが悪いんじゃないわ。
あんた
お友達に誘われただけよね?
もう あんた 気が弱くて
断れないんだから!
違うよ。 僕が誘ったんだ。
剛…。
何だか むしゃくしゃして
面白くなくて
家へ帰ると また 母さんに
「剛だけが頼りなんだよ」って
言われて
家庭教師がやって来てさ
勉強させられるのかと思うと
急に 家へ帰るのが
嫌になっちゃったんだ。
「本 買うから」って
母さんにもらってた お金が
ちょっと 貯まってたしさ。
「名古屋へ パチンコしに行こう」って
あいつら2人 誘ったら
ついてきたから。
剛…。
もう いいよ。
風呂へ入って 少し寝ろよ。
昨夜は 寝てないんだろ?
♬~
とうとう 本当の事 言ったな
剛のやつ…。
♬~
道子さん。
(仁)母さん。
道子さんに ちょっと
話しときたい事があるんだよ。
大丈夫ですよ。
俺から 話しますよ。
母さんの言いたい事は
よく分かってますよ。
(禎)あっ 母さん。
(辰則)お帰りなさい。
どうだった?
辰則に 電話もらって
心配だから 飛んできたの。
仁ね 今日 店へ
出てこられないから 辰則さんに
これ 渡してほしいって。
はい 分かりました。
やっぱり 大変なのね。
仁兄さんが 店 休むなんて
よくよくの事じゃない。
うちの子どもたちも
気を付けなきゃ。
剛は 心配ないんだけどね。
だって
警察に補導されたんでしょ?
親が悪いんだよ。 仁も道子さんも
今度という今度は こたえただろ。
まっ 剛には かわいそうだけど
これで 仁と道子さんが
少しでも考え直すようなら
今度の事も
無駄じゃなかったんだよね。
仁兄さんも 因果よね
道子さんみたいな女房 持って!
どっちも どっちだよ。
夫婦ゲンカも
ぜいたくになったもんだよね。
昔は 「夫婦ゲンカは 米びつから」って
貧乏が原因だったんだけど
お金が有り余ってると
お互いに つまんない事で…。
その日 食べるお米がなかったら
どうしたら 子どもたちを
干ぼしにしないで済むか…。
その事だけで 頭が いっぱいで
夫婦ゲンカなんかする余裕も
なかったんだよね。
それが 仁は 女遊びはするし
道子さんは 寂しいもんだから
子どもを
愛情の はけ口にして…。
2人とも バカの骨頂だよ!
母さん…。
それで 親の私が
しゃしゃり出ると
「年寄りは 余計な口をきくな」って
膨れっ面するし。
しかたないじゃありませんか。
そういう時代に
なってしまったんだから。
そうだよね。
女は 今まで
さんざん お姑さんで苦労して
もう あんな つらい思いは
したくないからって
別居したり
核家族になったりするのが
当たり前になったんだよね。
仁夫婦の問題は やっぱり
仁夫婦で解決するべきで
母さんは 黙ってなきゃ
いけないんだろうね。
あ~ ありがとう。 もう いいよ。
はい。
あ~ 楽になった。
母さん。
うん?
仁ちゃんや希望ちゃんや
禎ちゃんに対する
母さんの役目は
もう 終わったんですよ。
関係ないって言われて
悔しいとか
うるさいって言われて
情けないとか
思っちゃいけないんですよ
きっと。
「子どもたちに対する
自分の責任は
十分に果たしたんだ。
これからは 自分のためだけに
生きていけばいいんだ。
やれやれ」だと思ったら
腹の立つ事もないじゃ
ありませんか。
そうとでも思わなきゃ
バカバカしくって
子どもなんて
育てられやしないわよ。
母さんのお世話は 私がしますよ。
これからは 長男の嫁だからって
親の面倒を見なきゃいけないって
法は ないんです。
なにも 道子さんばかり
当てにしたって…。
あんな人に
死に水 取ってもらおうなんて
考えた事もないよ。
初ちゃんにだって
迷惑かけようなんて
毛頭 思ってないよ。
いい人がいたら
結婚もしてほしいし…。
まだ そんな事…。
母さん 私は 一生
田倉の人間で いたいんですよ。
父さんや雄さんの
お墓の守りをして
母さんと いつまでも 2人で…。
それが 私には
一番 幸せなんです。
母さん… 長生きして下さいね。
(辰則)今日は 4号店の
女子従業員の教育日です。
よろしく お願いします。
はいはい。
今の若い娘は おじぎのしかたから
教えなきゃならないからね。
(仁)おはよう!
(辰則)おはようございます!
おはよう! 遅くなって…。
昨日は
どうも お騒がせしまして…。
あれから 道子と
よく話し合ったんですがね
結局 母さんと一緒に暮らそう
という事になったんですよ。
いや 今の所 狭くて 思い切って
大きな家を建てる事にしました。
仁…。
どうしても 家には
母さんみたいな人が
ド~ンと座っててくれなきゃ。
母さんが いてくれたら
子どもたちの教育にも
目が届くし…。
道子だって
賛成してくれたんですよ。
そりゃ 結構な話ですね!
お母さんも もう お年です。
禎も私も いつかは お兄さんと
同居して頂けたらって
いつも 話してたんです。
今度は 郊外へ
建てるつもりなんだよ。
今の所を売れば
相当な金になる。
郊外なら
倍の土地が買えるし
家の建築費も
十分に出るんだよ。
あそこは 一等地です。
手放されるのは
もったいないような気も
しますが…。
といって 店を出すような
場所でもないし
売った方がいいよ。
(辰則)禎が 今のお兄さんのうちを
羨ましがっておりましてね。
(仁)冗談じゃないよ! 新しい家を
建てるのに どっか売らんと!
住宅に金を借りるバカは
ないからね。
よしとくれよ! 冗談じゃない!
今更 同居だなんて 真っ平だよ!
♬~
♬~
(テーマ音楽)
♬~
(道子)今度の剛の事では 私も
つくづく考えさせられました。
夫婦の間や家庭の中が
うまくいってない事が
子どもたちにとって
どれだけ つらい事か…。
母親の気持ちが どれほど
子どもたちの心に
影響を与えているか…。
ホントに もう いろんな事が
骨身に しみましたわ。
仁さんも よく分かってくれて…。
「今からでも遅くない。
夫婦で出直そう」って
約束してくれたんです。
私も 自分の悪かったところを
反省しまして
仁さんにも子どもたちにも いつも
笑顔を見せられるようにって…。
(おしん)そこまで
話し合えたんならいいじゃない。
私が口出しする事じゃない。 まあ
2人で うまくやってちょうだい。
ですから それについて
お母さんに 是非 私たちと
一緒に暮らして頂けたらって
仁さんとも。
私には 関係ない事だろ。
(戸が開く音)
(道子)あなた。
(仁)どうだ?
うまく 母さん 口説けたか?
あなたからも よく お願いして。
2人とも どうかしてるよ。
「別居 別居」って わめいといて…。
母さんだって
やっと その気になって
初ちゃんと2人暮らしに慣れて
のんびりしてんのに 今更…。
いや それが間違ってたって
分かったんだよ。
やっぱり 母さんみたいに 人生の
修羅場を くぐり抜けてきて
一本 筋の通った女が
ド~ンと座っててくれなきゃ
収まんないんだよ 家の中。
何 言ってんのよ。 一緒に暮らせば
気に入らない事もある。
気に入らない事があれば
つい 口にも出てしまう。
まるく収まるどころか かえって
ややこしい事になっちゃうよ。
いいんだよ
好きな事 言ってくれて!
道子だって 母さんに
いろいろ 教えてほしいってさ。
きれい事 言うんじゃないよ。
ホントに そう思ってるんです。
私は 今まで
甘やかされて育ってきて
母親の資格もないのに
母親になって…。
ですから せめて
今からでも 母親らしい勉強を…。
私には 何にも
教えてなんてあげられないよ。
あんたたちと私じゃ もう
全く考え方が違うんだから。
まあ 失敗したっていいから
自分の子どもは 自分の
思うとおりに育ててみなさいよ。
父親と母親が しっかりしてて
夫婦仲が うまくいってりゃ
子どもなんて
何にも言わなくたって
まっすぐ育つもんですよ。
いや だからさ
俺たち夫婦が ちゃんとして
夫婦仲が うまくいくよう
母さんに いてほしいんだよ。
(道子)私 自信がないんです。
でも お母さんがいて下されば
私 自分のわがままも
殺せるような気がするんです。
俺だって同じだよ。
母さんがいると思えば
道子と うまくやっていくよう
努力もできるんだ。
いや そうでもしなきゃ
また いつの間にか
今までみたいな夫婦になって
しまうような気がするんだよ。
私 今まで ずっと長い事
嫁と姑の同居は 夫婦仲が
うまくいかなくなるもとだって
思い込んでいたんです。 でも
お姑さんと同居していればこそ
夫婦がお互いに いたわり合ったり
言いたい事も控えて
うまくいってる場合もあると
思うんです。
なっ 母さん いいだろ?
俺たちや孫のために
一緒に暮らしてくれよ。
(道子)もちろん 初子さんにも
来て頂きますわ。
初子さんに来て頂ければ
うちだって 大助かりだし…。
そうだよ! 初ちゃんだって
今までみたいに
店の手伝いしてる訳にも
いかんだろ。
うちなら 道子と一緒に
家の事でもして
のんびりしてりゃ いいんだから。
(道子)お母さん お願いします。
(仁)じゃあ 早速
家 建てる土地 探すからね。
しばらく 考えさせてもらうよ。
(仁)母さん まだ…。
あなた!
今日 明日って事じゃないんです。
今日は 一応 お願いに
あがっただけですから。
(禎)随分 長いわね
道子さんたち…。
(辰則)お母さんも いろいろ
考えておられるんだろ。
何 考える事があるの。 仁兄さんが
結婚する時の第一条件が
同居だったのよ 母さん。
それが 道子さんの わがままで
できなかったのを
母さん やっと
念願 果たせるんじゃない。
反対する訳がないわよ。
ねえ 新しいうち
建てる事になったら
今の仁兄さんのうち
絶対 もらってよ!
私も頼んでみるけど 仁兄さんには
あんたの方が強いんだから。
しかしな…。
そもそも あの土地は
母さんのものなのよ。
母さんが亡くなったら 私にだって
遺産相続の権利は あるの。
あのくらい もらったって
当たり前よ!
建物だって
仁兄さんが建てたって言っても
会社から出てる お金でしょ。
あんただって
会社に貢献してるんだから
もらったって おかしくないわよ!
そういう事を 私から 兄さんに
言うのは まずいよ やっぱり…。
何 情けない事 言ってるの!
たのくらはね あなたがいなきゃ
ここまでには ならなかったの!
仁兄さん一人の力で
何ができるって言うの!
自信 持ちなさいよ~!
よっ 禎!
こんにちは!
(禎)こんにちは!
しばらく お姉さん。
こちらこそ。 まあ お二人とも
お元気そうで 何よりだわ。
禎さんも お母さんに 何か?
あっ いえ ちょっと 主人に
届け物があったから。
そう。
それじゃ あなた 私 これで…。
(仁)ああ。
どうも 失礼致しました!
(仁)車 気を付けろ。
はい。 さようなら。
さようなら。
へえ!
珍しく優しいのね 道子さんに。
口で 優しい事 言って
女房が喜ぶんだったら
安いもんだよ。 タダだからね!
(辰則)そうですな!
…で 同居の事 決まった?
いや。
何が 気に入らないの?
いいわ! 私から言ってみる!
(仁)禎 よせよ!
お前が勧めると
まるで 俺たちの家を
狙ってるように見えるぞ。
おふくろは
そんな事 大嫌いだからね。
♬~
(初子)母さん
お風呂 沸いてますよ。
さっぱりなさってから
お夕飯にしましょ。
背中 流す時 声 かけて下さい。
初ちゃん。
はい?
私も そろそろ
仁たちと一緒に暮らした方が
いいかもしれないね…。
あの子たちが そう言ってる時に
しないと
いつ また そんな機会が
あるかどうか…。
母さん…。
仁たちが 頭を下げて頼んでるのに
そのまま 断ったら
仁も道子さんも 二度と
同居の話は 持ち出さないだろ。
同居するんなら
今 決心しないとね。
なにも そんな無理してまで
気の進まない話を…。
母さん やっぱり
寂しくなっちゃったんですか?
私と2人じゃ…。
いくら 道子さんの気持ちが
変わったって言ったって
他人同士が
同じ屋根の下に暮らしたんじゃ
母さんだって 気を遣うわ。
私も 仁ちゃんたちの世話に
なるのは やっぱり 嫌だわ。
私が 仁のとこ行ったって
初ちゃんは 連れてかないよ。
そんな事してごらんよ。 道子さん
便利に こき使うだけじゃないの。
母さん…。
いつまでもね 初ちゃんに
面倒かける訳にいかないのよ。
私が 仁たちと一緒に住んでたら
いざって時に
知らん顔も できないだろ。
初ちゃん これを機会にね
あんた 独立するのよ!
一軒 店 持つの。
初ちゃんの店を持つのよ!
私が一人でいたんじゃ
あんた いつまで たったって
私のそばから 離れられやしない。
それじゃ 私の面倒 見ながら
年 取るだけじゃないの。
私がいなかったら
あんた 自由なんだから。
母さん…。
じゃあ 母さんは 私のために
仁ちゃんたちと同居するって
言うんですか?
私も もう 年だよ。
息子夫婦や孫たちと
一緒に暮らす時が来たんだ。
私 店なんか持ちませんよ。
母さんが同居するって言うんなら
私も ついていきます。
一生 母さんのそばにいます。
初ちゃん
私にね もしもの事があった時
あんた きっと つらい思いするよ。
仁や道子は
便利に
あんたを使う事は考えても
初ちゃんの事を
親身に 心配してくれるような
人間じゃない。
それは
誰よりも 私が一番よく知ってる。
そんな…。
他人が くっついたら
おしまいなんだよ みんな…。
そのくらいの覚悟をしてて
ちょうどいいんだから。
私はね
私の目の届かなくなった時に
初ちゃんが どうして
生きていくかと思ったら…
死んでも 死にきれないんだよ。
そんな先の事!
そうなったら そうなったで
なんとか やっていきますよ。
私は 母さんが考えてるほど
意気地なしじゃないですよ。
私の気が済まないの!
誰も頼らないで
一人でも生きていけるように…。
私の目の黒いうちに
見届けておきたいの。
今が その潮時なんだよ。
母さん…。
初ちゃん…。
母さん 安心させておくれよ…。
それを見届けない限り
母さん
雄に合わす顔がないじゃないか!
♬~
剛は?
もう 寝ましたよ。
近頃 やっと 気持ちも
落ち着いたみたいで よかったわ。
今すぐ お茶漬け 作りますね。
うん。
新しい家に移れば
また 気分も一新するだろ。
今日 土地の契約してきたよ。
あ~ そう。
町なかと違って 空気もいい。
ふ~ん。
まあ 通学には
ちょっと 時間かかるが
電車の便は いいし
おふくろも喜んでたよ。
そう。 ところで ねえ あなた。
うん?
今 飲み屋の出物を探してるって
本当なんですか? うん?
(道子)また どこかの女にでも
させるおつもりなんですか?
冗談じゃないよ!
初ちゃんの店だろ?
初子さんが? (仁)うん。
どうして?
「そろそろ
独立させてやりたい」って
おふくろが…。
それじゃ 初子さん
私たちとは 一緒に
暮らさないつもりなんですか?
お手伝いさん代わりにする訳にも
いかんだろ。
じゃあ お母さんの面倒 誰が?
おふくろは まだ ピンシャンしてるよ。
特別に手がかかる訳じゃないんだ。
初ちゃんが いなくったって
大丈夫だよ。
どうも お先です。
御苦労さま。
母さん!
あっ お帰り。
お帰りなさい。
私ね いろいろ 考えたんだけど
毛糸屋する事に決めました。
毛糸屋?
私 編み物が好きだし
毛糸だけじゃなくてね いろんな
手芸の材料なんか置いて
手作りのものを
楽しめるようにしたいの。
講習会なんかも開いて…。
そんなもの やって
もうかるんですかね。 今 ほら…。
初子らしい商売だと
おしんは ほほ笑ましかった。
これから どうなるかは
分からないが
希望は 希望らしく
初子は 初子らしく
それぞれ生きていく道を
見つけてくれたのが
おしんの心を和ませていた。
…が そうやって 田倉家も
変わっていくのだと思うと
おしんには 感慨無量であった。
♬~
(テーマ音楽)
♬~
おしんは
仁夫婦と同居する事に決めた。
68歳という自分の年齢と
初子の将来を考えての
覚悟であった。
独身を通してきて
血のつながらない仁や道子の
世話にならなくてはならない
初子を思うと
おしんは ふびんで
自分の目の黒いうちに
初子を独立させて
やりたかったのである。
(辰則)
亭主が 競輪 競馬で 借金ばかり
こしらえて 結局 夜逃げ同然で…。
(仁)大丈夫か? おい。
借金が残ってて 後で
ややこしい事になったりしたら。
いや ここを抵当に
金を貸してたのが
困って 売りに出したんです。
だから 安いんです。
ちゃんと 調べてありますから。
(初子)すみません いろいろ
ご迷惑をおかけして…。
場所がいいんで 毛糸屋には
もったいないような気もしますが。
(おしん)この辺は 住宅地だから
飲み屋なんてするバカいないだろ。
いや サラリーマンが うちへ帰る前に
ちょいと 一杯 ひっかける気に
なるらしいんですよ。
そんなもん たかが知れてるよ。
それよりも
奥様相手の商売した方が…。
だって 周りは みんな 日用品の
お店ばっかりだろ? そうですね。
駅前に うちのスーパーだってあるし
買い物ついでに
ちょっと のぞいてみようって
気持ちの店にしたら
飲み屋なんかより
ずっと効率がいいかもしれないぞ。
どうだい? 初ちゃん。
ええ。 毛糸だけじゃなくてね
いろんな手芸品の材料なんかを
置いて かわいいお店にしたいの。
ここだったら
言う事ないんだけど…。
ここの下をね 全部 お店に
使ったら 相当 広く使えるよ。
2階も 2間あるから
住まいには 不自由しないだろ。
十分だわ。
ここだったら 2階に 先生
お呼びして 講習会も開けるし…。
ただ ちょっと お値段が…。
もう少し探して
安いとこ ないかしら…。
そんな事 心配しないで。
初ちゃんが 気に入れば
いいんだから。
それに ちょっと遠いわ。
うん?
今度 建てる 仁ちゃんのうちに
なるべく近い方がいいと思って。
すぐ 母さんの様子 見に行けるし。
また そんな事 言って!
私にはね 道子さんや孫たちが
いるの。 でも…。
そうそう 初ちゃんに来られたら
道子さんだって 迷惑だよ!
余計な人間が入ってきたら
余計な もめ事が起きるの。
そんな事より あんたは
自分の商売に一生懸命になって
私の事よりも 一日も早く
独り立ちできるようにしなきゃ。
そのために あんた
店 持つんでしょうが…。
じゃあ ここに決めるか?
初ちゃん。
ありがとう 仁ちゃん!
でも 仁ちゃんに
迷惑かけちゃうわ…。
初ちゃん
あんたはね 田倉の娘なんだよ。
何にもしなくったって 財産を
分けてもらう権利があるんだ。
あんた 9つの時から 一生懸命
田倉のために尽くしてくれて…。
それはね
仁だって 希望だって 禎だって
みんな よく分かってんだから。
このぐらいの店の1つや2つ
もらうの 当たり前なんだよ!
もっと大きな顔してなきゃ!
ただ うちで 金 出して
初ちゃんの名義にしたら
贈与になって バカバカしい税金
かかってくるんだよ。
だから 辰則とも相談して
やっぱり
銀行で融資してもらう事にしたよ。
はい。
もちろん
初ちゃんの名義で借りるんだが
まあ 返済の方は
うちの方でするから。
いや まあ その方は 俺たちに
任せてくれりゃいいんだよ。
ううん。 お店さえ 無事に
出してもらったら 私が返すわ。
借金 返すぐらいの利益は
あげてみせるわ。
そうそう!
そのぐらいの意気込みでなきゃ!
借金があれば
商売にも 身が入るからね!
まあ そう 気張るなよ 初ちゃん。
のんきに やりゃいいんだよ。
おふくろと俺が ついてるんだよ。
なにも 焦る事ないんだからね。
お先に失礼します。
(仁)あ~ お疲れさん。
(辰則)毛糸屋といっても
店一軒 出すとなると
バカにならないですね。
土地 建物 内装の費用
商品の仕入れ…。
銀行からの融資だけじゃ
追いつきゃしませんよ。
分かってるよ。 足りない分は
うちで出してやるより
しかたがないだろ。 まあ
惜しまずに出してやってくれよ。
しかし 大して もうかる見込みも
ないのに 会社の金を…。
仁ちゃん ちょっと いいかしら?
(仁)あ~ いいよ。
私 これだけ お金があるの。
少しは足しにならないかしら?
お店に出るようになってから
月給 頂いてたでしょ。
それ みんな 貯金しちゃってたの。
やっと それが
役に立つ時が来たんだから…。
へえ~ こりゃ 驚いた!
大したもんじゃないか! だって
月給もらうようになってから
もう10年以上ですもの。
こういう金はな
なるべく使わないように
黙って しまっとくんだよ。
だって 私のお店を買うのよ。
お金があったら
出すのは 当然じゃないの。
(辰則)助かりますね。 いくら
会社が 業績がいいと言っても
店が増えれば それだけ
やりくりも 大変なんですから。
初ちゃんの店はな
田倉家として 初ちゃんに
しなきゃならない事なんだよ。
その金とは関係ない。
初ちゃんが働いて
貯めたもんだよ。
使ってしまっていいものを
初ちゃん 使わないで
残っただけの事だよ。 これからも
大事にした方がいいよ。
だって
たのくらだって 大変なのに…。
やりくり商売は
どこだって同じだよ。
初ちゃんの店の費用くらいで
うちは 潰れやしないよ。
安心しろよ。
仁ちゃん…。
いつか この金が ありがたいと
思う時が来るかもしれない。
おふくろも 俺も 希望も 禎も
初ちゃんの苦労を見てきた。
しかし たのくらには
初ちゃんの事を知らない人間が
だんだん 増えてきてるんだ。
そうなったら
俺たちだって 初ちゃんを
かばいきれなくなるんだ。
そういう時のために
取っとくんだよ この金は。
母さんが 昔 父さんと
東京で始めた子ども服の店に
どことなく似てるね。
でも ホントに
よく出来たじゃないの。
おかげさまで。
随分 わがまま 言わせて
もらったのよ 仁ちゃんに…。
どうせ やるんなら
後で 後悔しないように
思いどおりにしたらいいんだよ。
しかし 大工が こぼしてたぞ。
「あの奥さん 自分が気に入るまで
何度でも やり直しさせる。
あんな熱心な人は いない」ってさ。
だって 一生 この店で
生きていくのよ。
いい加減な事は できないわ。
いいんだよ それで。
あとは 商品さえ そろえば
いつでも オープンできるって訳だ。
オープンは
仁ちゃんたちのうちが出来て
母さんが 新しいうちに
移ってからに しようと思うの。
母さんが
今の所に いらっしゃる間は
一緒にいたいわ。 別々になったら
いつ また一緒に暮らせるか
分からないんですもの。
大げさだな
外国 行く訳じゃあるまいし。
会いたきゃ いつだって
ここへ来りゃいいし
泊まりたきゃ泊まりゃいいんだよ。
母さんだって ここなら 誰に
気兼ねする事もないんだからね。
そうは いかないの。
一旦 同居と決めたら
そうそう 勝手なまねは
できないんだからね。
娘の所へ 泊まりに来るのに
何の遠慮が要るんだよ。
娘だから いけないんだよ。
一緒に暮らしてて
娘の所へ 泊まりに行ってごらん。
道子さんだって
いい気持ちしないだろ。
どうして?
時々 いなくなってくれた方が
ありがたいんじゃないかね。
フフフフ。 そりゃ そうだろうよ。
姑なんて
うっとうしいもんだからね。
でもね おなかの中じゃ
「あ~ やっぱり 母さんは
私より 娘の方がいいんだ」って
面白くないもんなんだよ。
まさか…。
私は 嫌なの。
仁と一緒に暮らすようになったら
仁のうちが 母さんのうちなの。
仁と道子さんの世話になる事に
決めたんだから。
母さん…。
そのぐらいの気持ちじゃなきゃ
道子さんの世話になる資格なんか
ないよ。
母さん
「世話になる 世話になる」って
急に 変な事 言うなよ。
母さんは 田倉家の家長だぞ。
道子の顔色 見て
暮らす事ないんだからね。
まあね どんな暮らしになるか
分からないけど
せっかく
同居しようって言ってくれて
母さんも その気になったんだ。
母さんが気を遣って 機嫌よく
やっていけるもんだったら
うまくいくように 努力するのが
母さんの務めだと思ってる。
母さん 泊まりに来てとは
言わないけど
時々は 遊びに来てね。
私が あんまり 母さんのとこ
行くのも 道子さんに悪いわ。
バカバカしい。 行ったり来たり
するくらい どうって事ないだろ。
男には 分からないの。
そのぐらい 神経 遣わなきゃ
うまくいくものも
うまくいかないんだよ。
さあ そろそろ 帰ろうか。
初ちゃん まだ いるんだろ?
ええ。 もう少し 片づけてから。
お夕飯の支度までには 帰ります。
あら!
(希望)いや~ 随分 探した!
店 出すって手紙 もらったからさ
一度 見たいと思って。
ちょうど こっちの方へ届ける物が
あったもんだから ついでに…。
圭は?
置いてきました。
このごろは 近所に
仲のいい子どもができて
そのうちで遊んでる方が
面白いらしいんですよ。
親の後を追うどころか
頼んだって ついてもきません。
たくましくなっちゃったのね。
(希望)皆さんに
ご心配かけましたけど
もう大丈夫です。
「案ずるより 産むがやすし」だね。
誰も構ってくれる者がいないと
かえって たくましくなるのかね。
よく 来てやってくれたな。
うん。 どんな店かと思って。
なかなか いい店じゃないですか!
母さん ここじゃ
お茶も出せないから おそばでも。
いいんだよ 私なら。 だって
せっかく そろったんだもん
おそばぐらい いいじゃない。
あ~ いいね。
店へ帰っても いろいろあって
希望と ゆっくり
話す事できないからね。
じゃあ ちょっと行ってくるわ!
仁 こんな立派な店…。
初ちゃんが ホントに喜んでたぞ。
「仁ちゃんのおかげだ」って。
ホント。 今度は 仁が何もかも…。
母さん ホントに ありがたいと
思ってるのよ。
道子さんや辰則さんから さぞ
嫌みも言われてるだろうにね。
母さんと俺が稼いだ金で
してやる事だよ。
あいつらには
何にも言わせないよ。
初ちゃんには
それだけの大恩があるんだから。
母さん。 母さん
何にも言ってくれなかった。
いや 俺も聞かなかったよ。
けど 俺は分かってたよ。
希望だって察してたはずだ。
戦後 初ちゃんが家出した。
そのあと 初ちゃんから
時々 金が送られてきた。
どこにいるか分からないのに
金だけが届いた。
その金が どんな金だったか…。
初ちゃんが どんな思いで
稼いだ金か…。 仁!
俺には はっきり分かるよ。
言うな!
それだけは 口にしちゃいけない!
初ちゃんへの冒とくだぞ!
ああ。 言えって言われたって
言えやしないよ。
けどな 希望 俺たちは
その事を忘れちゃいけないんだよ。
初ちゃんが 俺たちのために…
俺たちのために
自分の命を すり減らして
魂まで なげうって…。
俺 その初ちゃんの事 思うと
今 初ちゃんには
どんな事でもしてやりたい。
そりゃ 初ちゃんの青春は
帰ってこやしないさ。
金で買い戻すなんて
できやしないよ。
だから せめて
今 俺にしてやれる
精いっぱいの償いをしたいんだよ
初ちゃんに。
仁…。
ただ その事 誰も知らないんだ。
道子にも 禎にも 辰則にも
話せない。
それが つらいんだよ。
でも 誰にも文句は言わせないよ。
なあ 希望 俺たちが
初ちゃんを守ってやらないで
誰が
初ちゃんを守ってやれるんだ?
初ちゃんの深い傷の痛みを
知ってるのは
俺たちだけなんだから。
ああ。
私だって
初ちゃんの面倒 見るのは
私たちの務めだと思ってる。
結婚は できなかったけど
女房とか恋人とかっていう
生臭いものじゃない。
初ちゃんは 私にとって
神聖な母親だ 大事な姉さんだ。
私だって できるだけの事を
するつもりだよ。
(仁)うん。 俺たちだけで 一生
初ちゃん 見守っていこうよ。
それが俺たちにできる せめてもの
初ちゃんへの恩返しだよ。
償いなんだよ。
母さん 安心した…。
仁や希望が 何もかも分かってて
初ちゃんの事
大事にしてくれるんだったら
母さん…。
おそば すぐ来るって。
こんなに みんな そろうなんて
めったにないもの。 うれしいわ。
おミカンも買ってきたの。 はい。
♬~
♬~
(テーマ音楽)
♬~
昭和43年の暮れ
おしんは 初子と二人きりだった
長年の暮らしに 別れを告げ
新しく完成した田倉家へ移って
仁夫婦や孫たちと
同居する事になった。
初子は 町で 手芸の店を開いて
独り立ちし
それぞれ 別の人生を
歩み始めていた。
(禎)「同居 同居」って言ったって
こんな離れに
母さん 押し込めて…。
これじゃ 家族との触れ合いなんて
ありゃしないじゃない!
(おしん)それで結構。 母さん
もう 煩わしいのは ごめんだよ。
ここでね
好きな事をしてるのが一番!
それじゃ 何のために同居したの?
うん?
だってさ 家族と一緒だったら
やっぱり 心丈夫じゃないの。
でもね 甘えたり干渉したりしたら
長続きはしない。
だから 母さんも
できるだけ 外へ働きに行って
うちに帰ってきても 母屋の事は
干渉しない。 そう決めたの。
やっぱり
私たちと一緒に暮らすのが
一番よかったのよね 母さん。
私も いつか
そうしたいと思ってたのに…。
世間ではね
実の娘がいいって言うけど
お互いに わがままが出て
かえって よくないんだよ。
嫁なら辛抱できるって事も
娘なら 遠慮がないもんだから
ついつい 言わなくてもいい事を
言って ケンカになってしまう。
娘婿は 嫁よりも
はるかに 神経を遣うからね。
まあ 息子だって 娘だって
どうせ 他人がくっつくんだから。
まあ ここまで来ちゃったら
ここにいるより しかたがないけど
でも もし 嫌な事があったら
一人で クヨクヨしないで
私に言ってよ。
私だって 考えがあるんだから。
禎…。
(道子)お母さん! はい。
どうですか? 片づきました?
ええ。 まあ どうにかね。
私も お手伝いしようかと
思ったんですけど 禎さんが
いらして下さってるし
かえって
お邪魔になってもと思って…。
(あかね)これ 何?
いけません!
おばあちゃまの物に触っちゃ!
は~い。
2人とも
お母さん 言ってたでしょ。
おばあちゃまのお部屋に 勝手に
入っちゃいけませんよ。
はい。
いいんだよ。
あっち 行ってらっしゃい。
はい 行こう!
(みどり)うん!
私も 子どもたちには
いろいろ 言っておりますけど
お母さんからも どんどん
叱ってやって下さいね。
お風呂 沸きましたから どうぞ。
あら まだ もう少し
片づけ物 残ってるのよ。
子どもたち
先に入れてやってちょうだい。
あら そうは いきませんわ。
「このうちで 一番に お風呂に
入るのは おばあちゃまよ」って
子どもたちにも
ちゃんと言ってあるんです。
そうじゃないと 子どもたちに
おばあちゃまが このうちで
一番 偉い方なんだって事
分からないんですもの。
タオルは 出してありますから。
それから うちは
子どもがおりますので お夕飯は
6時半って決めてますけど
それでいいですか?
ええ ええ。 結構よ。
それじゃ どうぞ ごゆっくり。
はい どうも。
随分 勝手な人ね。 母さんの都合も
聞かないで 何もかも…。
大勢の家族が一緒に住むと
1人のわがままは 通らないの。
道子だって そうだよ。
私を立てなきゃならないし…
気の毒な事だ。
何よ! 私が来てるから 片づけ物
手伝うの 遠慮したなんて…。
初めから 手伝う気なんか
ないくせして!
禎 あんたも あんまり このうちに
出入りしない方がいいよ。
そんなね 小姑根性で
道子さんを見るようじゃ
ろくな事にならないからね。
私が 目 光らせてないと 母さん
それこそ どんな扱いされるか!
もういいから
あんたは 早く帰んなさいよ。
母さん。 母さんは 道子さんに
利用されただけなのよ。
同居なんかしたくもないのに
大きいうち 欲しいばっかりに
同居を理由にして!
大したもんだわ!
私と一緒に暮らしてくれたら
私だって 大威張りで
うち 建ててもらえたのに!
どんな理由にせよね あんなに
同居を嫌がってた道子が
姑の苦労をする気持ちに
なってくれたんだ。
母さん もう それだけでも
ありがたいと思ってんだよ。
誰が 姑と一緒に
暮らしたいもんかね。
それが分かってるから
母さん 道子には
もう 何にも言わない事にしたの。
年寄りが うちの中に
波風を立てるようなら
一緒に暮らさない方がいいんだ。
それが我慢できないんだったら
一人で暮らした方が
いいんだからね。
じゃあ 母さん
お風呂へ入ってくるからね。
♬~
あかねは?
縄跳びした。
縄跳び。
二重跳びが いっぱいできたよ!
ちゃんと できたの?
できたもん!
(仁)ただいま!
お父さん お帰りなさい!
ただいま!
早かったんですね。
ああ。 母さんと一緒に
夕飯 食いたいと思ってさ。
食ったら また すぐ出かけるよ。
あら なにも そんな わざわざ…。
この家で
初めての夕飯じゃないですか。
何だ ハンバーグか?
母さん 肉 嫌いなんだぞ。
大丈夫ですよ。 ちゃんとね
お魚 用意してありますから。
別に 嫌いったって食べないって
訳じゃないんだから
私だけ
特別にしないでちょうだいよ。
いいじゃないですか
道子の気持ちなんですから。
道子さん ありがとう。
(道子)どういたしまして。
さあ 食べましょうか!
頂きま~す!
(初子)手作りですと お値段も
既製品の⅓で済みますし
何よりも お母様の愛情が
お子様に伝わる訳ですから。
ホントに。 出来た物 買うたら高いし
すぐ 小そうなるし
自分で編んだ物やったら ほどいて
また 編み直せるよってな。
そうですね。
時々 無料の講習会も
開いておりますから
お出かけ下さい。
じゃあ 明日にでも。
母さん…。
ありがとうございました!
ありがとうございました!
お待ちしております!
邪魔しちゃったね。 ううん。
もう お帰りになるとこだったの。
どう? お正月に 挨拶に
来たっきりで 忙しいからって
すぐ帰っちゃって。
ごめんなさい。
こういうサンプル いろいろ
編んどかなきゃいけなくて…。
あんた いつの間に覚えたの?
器用だね!
好きだったんですよ。
いい商売させて頂いて
ありがたいと思っています。
それなら いいけど…。
お客様も だんだん増えてね
この間 初めて
専門の先生 お呼びして
講習会 開いたんですけど
もう 2階に入りきれない
くらいだったんですよ。
へえ!
皆さん 熱心で…。 手作りのよさが
見直されているんですね。
張り合いがあります。
あさってはね
毛糸を使った手芸品の講習会
やるんです。
初ちゃん
何だか 若返っちゃったね。
若いお客様と
おつきあいしてるからかしら。
でもね 結構 おばあちゃまも
いらっしゃるんですよ。
老後の趣味にって…。
この間もね 同じストール3枚編んだ
おばあちゃまが いらして
1枚ずつ お嫁さんに
あげるんですって。
へえ!
おかげで
うちも繁盛っていう訳です。
でも 母さんの事
気になっていながら
なかなか お店へも行かれなくて。
結構じゃないの。 母さんもね
従業員の教育やなんかで
なかなか思うように出られなくて。
仁ちゃんがね 時々 お肉とか お魚
届けてくれるんですよ。
その時に 母さんの事は
いろいろと…。 仁が?
優しいとこ あるんですよ
仁ちゃん。 感謝してます。
うまくいってるんですってね
母さんと道子さん。
安心しました。
不満を言えば 切りがないけど
道子もね 何だかだって
私を立ててくれてるから…。
やっぱり ここだったのか!
仁ちゃん。
母さん 山形のおばさん
出てきたんだよ。 姉さんが?
うん。 どうする?
何だか 様子が変なんだよ。
うまい事 言って
追い返しちゃおうか?
(とら)おしんさんは
幸せだなっす…。
こだな すんばらしいうちば
おっ建てて
こだい立派な離れさ
一人で のんびり暮らしててよ…。
嫁も よく おしんさんさ
仕えったけとるや…。
それにひきかえ
オレは 何の因果で
こだい情けない思い
すらんなんねえんだべ!
オレ… とうとう 嫁に
いびり出されてしもうたんだず!
おしんさん!
姉さん。 あの…。
あだな鬼みたいな嫁のいるとこさ
もう 帰りたくない!
んだけんど オレ
どこさも行くとこなくてよ…。
おしんさんだけなんだず
頼りにできんのは!
でも 兄ちゃん
今じゃ 身上 出来て
何 不自由ないでしょうに…。
人間の幸せは 銭や物じゃない。
心だな…。
いや 銭や物があっからこそ
余計 不幸にもなるんだべよ。
うちや土地があるばっかりに
貞吉のやつ 「ここば 売り飛ばして
商売 始める」って…。
父ちゃんが反対したら
なんと 嫁が
「こだなクソばばあと一緒に
これ以上 暮らさんなんねえなら
貞吉と離縁する」って
脅かしてよ…。
そしたら 貞吉が 「嫁さ ついて
俺も出ていく」って…。
オレが
なんぼ 辛抱強い女子だって
もう これ以上
辛抱さんなくてよ~!
姉さんらしくない。
随分 弱気じゃありませんか。
こだな事 言っちゃなんだけんど
おっ母さんも
随分 勝手なお人だったな…。
ほいづは 自分の娘が
めんこいのは 当たり前だかも
しんねえけんど
オラだが
新しいうちさ暮らしてんのば
「ここは おしんの建てた
うちだから」って
耳さ胼胝できるぐらい
言われてよ!
ほいづが やんだくてよ…。
おしんさんは 神様で
嫁さ来たオレは
人間のクズみたいに
白い目で見られてよ…。
ほだな思いまでして
辛抱してきたのに
嫁さ あだな目に遭わされて…。
オレが ひと言 文句 言うと
百になって返ってくんのよ!
オレだって
嫁のすっ事 目に余っど
文句も言いたくなるべした…。
オレなど おっ母さんから
なんぼ 憎らしい事 言われたか
分かんねえんだし!
ほだな できねえ辛抱
してきたっていうのによ!
(泣き声)
ハハハハハ!
そりゃ 罰が当たったんだよ。
自分が 姑をいじめた報いだ。
とにかく しばらく
うちに置いてあげていいだろ?
えっ? そんな義理が
どこにあるんだよ?
母さんが
一番 憎んでた人じゃないか。
今度ね 初めて分かったんだよ。
姉さんも つらかったんだ…。
私にしてみたら
私をかばってくれた母ちゃんは
ありがたかったけど
姉さんにすれば
どんな嫌な姑だったか…。
今まで
気が付かなかったんだよ…。
ねえ 道子さんに 迷惑かけて
悪いけど なんとか しばらく…。
母さんも 人がいいな…。
同じ姑の立場に立つとね
姉さんが ふびんで…。
母さんは
今 幸せだから なおの事…。
♬~
おしんは
とらが哀れでならなかった。
それは
同じ世代を生きてきた女同士の
いたわりでも あったのである。
♬~
(テーマ音楽)
♬~
おしんが 仁夫婦や孫たちとの
同居に踏み切って 間もなく
思いがけない来客があった。
山形の兄嫁 とらである。
いつか とらも おしんと同じ
姑の立場になっているのに
おしんは 過ぎ去った年月の重さを
改めて感じさせられていた。
(道子)ねえ 山形のおばさん
いつまで いらっしゃるのかしら?
(仁)さあね…。
おふくろを頼って 出てきたんだ。
おふくろだって 追い返す訳には
いかないんだろ。
お母さんも大変よね。
もう 1週間も お店へも出ないで
付きっきりなんですもの。
おふくろには おふくろの思いも
あるんだろうさ。
どうせ お二人で 嫁の悪口でも
言ってるんじゃないんですか。
(おしん)ごちそうさまでした。
(とら)まあ 上げ膳 据え膳で
申し訳ねえなっす。
(芳枝)お粗末さまでございました。
おしんさん
今の若い人は ぜいたくだな。
道子さんは
うちの事しか してねえんだべ?
それなのに 女子衆 雇うなんて!
あんた 少し言った方がいいよ!
私が お給金 払う訳じゃなし
仁夫婦の かい性で
やってる事だから
知らん顔してりゃいいんですよ。
あんた よく黙ってられんな。
ほだな事だと 嫁は
だんだん のさばる一方だべした。
オラだの若い頃は 野良さ出て
何人もの おぼこ抱えて
足りない食い物の
やりくりまでして…。
それ考えたら
今の嫁は 極楽だ。
姉さん ご時世が違うんですよ
昔と今じゃ。
ほだな事 言って
年寄りが遠慮してるから
ますます
若い人が のさばっていくんだ。
オレは 絶対 許さねえからな。
オラだが 食う物も食わねえで
守ってきた身代だ。
そこさ 後から入ってきて
オレさ刃向かうような事は
絶対 許さねえ!
オレは おしんさんみたいに
物分かりよく ちっちゃく
なってなど いねえからな。
姉さんは よく働いてきたから
悔しいの よく分かりますよ。
オレは 何にも悪くないのに
なして こだな目に
遭わんなんねえんだべ…。
姉さん うちならね
いつまでいたって いいんですよ。
もう 昔話ができるのは
姉さんぐらいしか
いないんだから。
ねえ 懐かしいんだから。
≪(仁)母さん
山形のおじさん 見えたよ。
兄ちゃん…。
(とら)あんた!
(庄治)心配したぞ!
おしんから 「姉さんは うちで
預かるから 安心してけろ」って
便りば もらって…。
迎えさ来てくれたのか?
なんぼ おしんが
よくしてくれたって
構わねえでおく訳には
いかねえべよ! うん?
やんだ! 帰らねえ! また
いじめられんの やんだ! もう!
(初子)どうも 御苦労さまでした。
どうも 遠くから
ありがとうございました!
あら 仁ちゃん。
相変わらず 精力的にやってるな。
どうぞ。
うん。
うちの講習会も 会員が増えてね
同じ講習を 何回にも分けて
やらなきゃならなく
なっちゃったの。
仁ちゃんが あちこちのスーパーに
ポスター 貼ってくれたおかげよ。
初ちゃんのためだったら
どんな事でもするよ。
あっ いつか 作品のコンクール
したいって言ってたろ。
たのくらが スポンサーになって
会場を提供し
賞金も出してもいいんだ。
うちの店のイメージアップにもなるしね。
うれしいわ。 今年の秋には
是非 実現したいわ。
よろしく お願いします。
うん。
あっ これ
うまい干物 入ったから。
それから 肉も少しね。
いつも すいません。 助かります。
母さんは?
まだ いるの? おとらおばさん。
うん。 さっき 山形から
おじさん 出てきたよ。
いや 迎えに来たらしいんだがね
帰るんだかどうだか…。
おふくろも物好きだよ。 ほら
終戦のあと 住む所にも困って
おふくろ 山形へ
借金に行った事があったろ。
あの時 一銭のお金も
貸してもらえなくてね。
ああ。 俺は忘れないな おふくろが
どんな気持ちで帰ってきたか…。
おふくろが
かわいそうでならなかった。
その時 金のないのが
どんなに惨めな事か
俺は 骨身にしみたから ここまで
精力的に やってきたんだよ。
でも おふくろ そんな事
ケロッと忘れちまってるんだからね。
忘れてるんじゃないわ 母さん。
覚えてるから 忘れられないから
おとらおばさんに
よくしてあげてるんじゃないの。
(道子)お口に合うかどうか
分かりませんけど
どうぞ 召し上がって下さいな。
もう これ以上
構わねえでけらっしゃい。
俺ら やっかい者だ。 こだな
御馳走になる理由は ねえから。
何をおっしゃいますか! せっかく
遠いとこ 来て頂いたのに
大して おもてなしも
できませんけど…。
道子さん ありがとう。
いいえ。
それじゃ どうぞ ごゆっくり…。
おしん…。
さあ 兄ちゃん 一杯。
うちはね 誰も遠慮する人なんて
いないんだから。
さあさあ 姉さんも…。 はい。
おとらさも俺も
こだい よくしてくれて…。
俺ら おしんには
何の力にもなってやれなかった。
さぞ 恨んでるべによ…。
だって あの時は 兄ちゃん
お金が要る時だったんだから…。
あん時 売った杉は おしんが
植えた事だって よく知ってた。
お前が東京で働いて
仕送りしてくれて
銭 送ってくれて 新しいうちが
建った事だって よく…。
だのに 何にもしてやらなかった。
私のした事なんて
大した事じゃない。
兄ちゃんや姉さんが
うちや畑を守るために
一生懸命 長い間 働いてきた事
考えると
比べ物にならない。
でもね 人間なんて
自分中心にしか考えないもんだね。
兄ちゃんや姉さんの
苦労してきた事なんて
思いもしないで
自分のしてきた事ばっかり
言い立てて…。
母ちゃんの事だって同じだ。
兄ちゃんや姉さんが
母ちゃんを粗末にするのが
もう 無性に 腹が立った。
でも 姉さんの話を聞いて
姉さんが 母ちゃんに
冷たくするのも
無理ないって事が やっと…。
母ちゃん おしんばかり
大事にしてたからな。
とらは 嫁に来た時から
目の敵にされて…。
俺も とらが ふびんで
つい とら かばうと
それが 気に入らなくて
ますます 機嫌 悪くなって…。
とうとう 俺とまで
うまくいかなくなってしまって。
私には いい母ちゃんだった。
だから 母ちゃん かばって
兄ちゃんや姉さんとも大ゲンカした。
でも 兄ちゃんや姉さんから
見たら
私ばっかり大事にする母ちゃん
面白くなかっただろうね。
まあ とらも負けてねえ方だから
悔し紛れに 随分 母ちゃんには
つらく当たった。 お前にもな…。
それに 貧乏が
輪 かける事になってしまって。
それほどまでして守ってきた
子どもや土地なのに
それに裏切られてしまって
オラ 泣くにも泣かんねえんだ…。
姉さん… 私もね 姑では もう
いろいろ 苦労しました。
姉さんも そうでしょ。
でもね その同じ苦労を
今の嫁にさせちゃ
いけないんですよ。
んだら どだい 気に入らねえ事が
あっても
黙って 我慢しろって言うのか?
とら!
俺だ つまらねえ時に
生きてきたんだ。
小作で泣かされて やっと
自分の土地ば持てたと思ったら
俺だが 血の汗 流して
守ってきたもんば
何の苦労も知らねえ
子どもたちに取られてしまって。
んだら 貞吉たちは…。
(庄治)果樹園ば 抵当さ入れて
商売 始めるって出てった。
あんた!
なんぼ 止めたって
出ていく者は 出ていくって…。
とうとう お前と
2人になっちまったな…。
でも それで ええでねえか。
2人で働いて
果樹園の借金ば返すべ。
返さねえと 俺らが働く畑が
無くなっちまう。
畑 取られたら
俺だは 飢え死にだからな。
オレが何したって言うのや?
オレ 嫁など いびった覚えないぞ。
なして オレが 嫁から
捨てられらんなんねえのや?
オレだの方が もっと もっと
つらい目に遭ってきた!
それから比べたら オレの小言など
優しいもんだべず!
それでも オレが悪いって
言うのか!? (庄治)とら…。
オレが 今まで辛抱してきたのは
オレが 一生懸命 働いてきたのは
誰のためでもない!
貞吉や孫たちと 一生懸命
一緒に暮らしたいからだ!
♬~
大至急 頼むよ!
おはようございます!
みんな 御苦労さま。
ただいま。
お帰りなさい。
(辰則)名古屋まで
送っていかれたんですか?
2日ほど 方々 案内してね。
そうですか。
じゃあ 無事に?
仁や道子さんに とっても
よくしてもらったって喜んでたよ。
だけど 気の毒でね。
山形へ帰ったって
老夫婦 二人っきりに
なってしまって…。
あの年になって
あんな思いするなんてね…。
無理ないよ。 あの おばさんなら
嫁さんだって たまんないだろうし
逃げ出したくもなるだろう。
相当なマイペースだからね。
でもね 姉さん 自分じゃ
ひどい事 言ってるなんて
毛頭 思っちゃいないんだから。
まあ 姉さんも私も
さんざん 苦労してきたから
嫁のする事が どうしても
気に入らないんだよ。
無理だよ。
今は 電気製品も普及してるし
物は あふれてるしさ
金も あるんだ。
昔のような苦労したくったって
できやしないんだ。
大体 価値観ってものが
変わっちまったんだからね。
おかしな世の中に
なってしまったね。
兄ちゃんも姉さんも
浮かばれやしない。
山形のうちだって
どうなってしまうか…。
母さんの故郷ってものも
無くなってしまうかもしれないね。
母さんの故郷は ここじゃないか。
父さんだって 雄兄さんだって
ここで眠ってるんだ。
お~ 希望!
(希望)いや~ 御無沙汰してます。
希望… 何かあったの?
今日 作品の搬入なんですよ。
へえ。
展覧会でもやるの? 伊勢で。
母さんに話してないのか?
いやいや 最近 あんまり 母さん
店の事 タッチしてないんだよ。
前に話したでしょ。
うちの店に 希望のギャラリー
設けるって。 ああ…。
(仁)今度 3号店の2階に
コーナー 出す事にしたんですよ。
私の作品なんて売れないよって
言うのに
仁のやつは 強引なんですからね。
それを商品として 高く売るのが
俺の腕じゃないか。
安い物を大量に売って
もうけるだけが 能じゃないんだ。
たのくらじゃ 立派な芸術作品も
扱うんだってとこ P.R.して
希望の作品が いい物なら うちの
店のイメージアップにもなるんだよ。
そして それが売れれば
希望だって潤うし
一石二鳥じゃないか。
しかし どれだけ売れるか。
任せとけって!
世の中 何もかも満足して
金のある連中は ぜいたく品に
目を向け始めてるんだ。
美術品の事なんか
分からなくたって
高い値段さえ つければ
いい物だって 錯覚する連中が
中には いるんだからね。
母さん。
(仁)希望。 どうしても お前に
商売になる陶芸作家に
なってほしいんだ。
そのために
スーパー たのくらって場を
フルに利用するんだよ。
母さん 俺はね 初ちゃんだって
ただの毛糸屋では
終わらせないよ。
何が何でも
一流の手芸家にしてみせる!
スーパー たのくらがついてる限り
そんな事は 簡単な事だよ!
♬~
(テーマ音楽)
♬~
昭和43年 スーパー たのくらは
6号店を出し
その暮れには おしんと
同居するための屋敷も新築して
仁は 絶頂期であった。
その仁の自信に おしんは
一抹の不安を抱いていたが
おしんの危惧をよそに
仁の強気の経営は 功を奏し
昭和57年の夏には
県下に16店を有する
中堅企業にまで発展していた。
そして おしんは
満81歳の誕生日を迎えていた。
(禎)何だかんだって
家族が集まる行事っていうと
いつも お姉さん一人 忙しい思い
しなきゃならないんだものね。
(道子)いいえ。
(おしん)道子さん
あんたも もう 座んなさい。
お料理は いいから。
あとは 文ちゃんに任せて。 はい。
(初子)まあ 遅くなっちゃって
ごめんなさい!
母さん
お誕生日 おめでとうございます。
今年も 元気で お祝いできて
よかったわ!
めでたいかどうかね。
これ 気持ちばっかり…。
あら ありがとう! うれしいわ!
初子さん どうぞ こちら!
お母さん
お待ちかねだったんですよ。
いつも 母さんが
お世話になっております。
とんでもございません。
私たちは 何にもできなくて
道子さんにばっかり…。
何をおっしゃいますか!
私だって 何にも!
お母さん お元気な方だから
何でも ご自分でなさるし
私が してさしあげる事なんか
何にもないんですよ!
随分 あんた 遅かったじゃない。
出ようと思うとね 次から次へと
お客様が見えちゃって…。
(禎)さあ 初ちゃん。
あっ ありがとう。
初子さんも お忙しいからね。
あっ そうだわ。
みどりのお友達の お母さんに
頼まれてたんですけどね
もう 是非 初子さんの手編みの
セーターが欲しいんですって。
「お願いしても なかなか
編んでもらえない」って
おっしゃってたわ。
そうですか。
そうそう 大量生産のできる物じゃ
ないしね
お待たせしても悪いから なるべく
お断りするようにしてるの。
(希望)へえ。 そんなに忙しいの?
そうなんですよ!
初子さんのニットはね センスがよくて
着やすくて 丈夫だって
もう それは評判なんですから!
お値段が高いのでも
有名ですけどね!
(仁)作品の値が高い事では
希望も負けちゃいないだろ。
ホントにね
お二人とも大したもんだわ!
希望ちゃんも私も
母さんや仁ちゃんのおかげで
独立させてもらって…。
今頃 たのくらにいたら
2人とも やっかい者に
なってたんじゃない?
そうだな。
私には とっても スーパーなんて
商売は 無理だ。 そうね。
でも 2人とも それぞれ
好きな事ができてるんだから
いいじゃないか。
(初子)2代目も元気そうね。
あかねちゃんや みどりちゃんは?
(剛)上高地へ キャンプだって。
へえ~。
うちの2人もくっついてってるの。
お休みったって もう
うちになんか
いやしないんだから~。
いい身分だよな。
女房 子どもができると
哀れなもんだよ。 ねっ おじさん。
(初子)何 言ってんの!
剛ちゃんだって
結婚するまでは
やりたい事ばっかり
やってたくせに!
圭ちゃんは? どこへも行かないで
父さんのお守り?
(圭)うん。 まあ 夏休みぐらいは
親父のそばにいて
親孝行しなくちゃね。 高い学費
出してもらって 東京の大学へ
やってもらってるんだから。
(希望)何が 親孝行だ。
帰ってくると
仕事の邪魔ばっかりして!
よく言うよ! 「夏休みぐらい
母さんの墓参りしろ」って
うるさいくせに…。
当たり前だ!
一番 お前の事を愛してた
母さんなんだからな。
圭も もう 二十歳なんだね。
そろそろ 将来の事 考えないとね。
もう とっくに こいつは
勝手な事をやってますよ。
親の後を継ぐ気持ちなんて
みじんもないんですからね。
(初子)4つの時から
ろくろ回す父さんのそばで
大きくなったっていうのにね。
まあ おばあちゃん はい。
圭。
おじさんは 圭に期待してるぞ。
たのくらにも 大学の経済学を
専攻した ニューリーダーが必要だ。
将来は 剛と一緒に たのくらを
背負ってってもらいたいからね。
うちの息子2人も
たのくらの社員ですからね
どうぞ お忘れなく!
(一同の笑い声)
(道子)まあまあ 何だか
すっかり 盛り上がっちゃって。
ありがとう 文ちゃん。
どんどん お願いね。
(文子)はい。
(仁)じゃあ 初ちゃんが来て
みんなが そろったところで
もう一度 改めて 乾杯といくか!
じゃあ いいかな?
(道子)はい どうぞ!
では 我々の偉大なる母さんを
祝して。
偉大だけ 余計だよ。
ううん。 希望と俺は
この年になるまで
母さんに守られて
生きてきたんですよ。
初ちゃんだって 同じだよね。
母さんが 我々のために
ただ働き続ける後ろ姿を見て
俺たちは 育ってきたんですよ。
やっぱり 偉大としか
言いようがない母さんなんですよ。
母さん おめでとうございます!
(一同)おめでとうございます!
(辰則)♬「ハッピー バースデー トゥ ユー」
(一同)♬「ハッピー バースデー トゥ ユー」
♬「ハッピー バースデー ディア おばあちゃん」
♬「ハッピー バースデー トゥ ユー」
ありがとう。 ありがとう。
え~ あと20回も30回も
おばあちゃんのために
この歌が歌えますように!
じゃあ もう一度 乾杯!
(一同)乾杯!
おばあちゃん
100歳だってね 110歳だって
今どき珍しくないんだから。
軽いよ おばあちゃん。 頑張って。
たのくらのためにも
うんと長生きしてもらわなきゃ。
母さんは もう ホントに幸せ者だよ。
なんとか お前たち 子ども4人を
干ぼしにしないようにと
一生懸命 働き続けてきて
こんな立派な たのくらのお店も
見る事ができたんだから
母さん いつ 死んだって
父さんや雄に 顔が合わせられる。
もう 何にも
思い残す事ないからね!
母さん
たのくらは これからですよ。
では 母さんの誕生日を記念して
我々からのプレゼント。 報告します。
この度 たのくらは
17店目の出店を決定致しました!
(初子)へえ。 また お店 出すの?
ああ。 今度の店は 今までの
たのくらの集大成として
たのくらの全力を懸けた
最大規模のものを
建設する計画であります。
仁…。
鉄筋コンクリート4階建て 売り場面積は
デパート並みなんですよ。
いや 母さんが元気なうちに
長年の念願だった この店を
建てたかったんですよ。
実は 今年の初めから 隠密裏に
土地の買収交渉に入りまして
いろいろ 地元の事情があって
難航してたんですが
やっと2~3日前に 必要なだけの
土地を確保する事ができまして。
母さんの誕生日に発表できるよう
ハッパかけてね
やっと 妥結したんですよ。
いや~ よかった!
え~ 早速 着工致しまして
来年の春には
オープンの運びにしたいと
思っております。
仁は 昔から
デパートみたいな店をやりたいって
夢みたいな事 言ってたけど
とうとう 夢じゃなくなったのか。
随分 かかるんでしょ? 費用が。
ああ。
しかし 今まで頑張ってきたのは
その店のためなんだからね。
今までのものを全て
金に換えたって
その店に つぎ込むつもりだよ。
(初子)だけど そんな事して
もし うまくいかなかったら
どうするの?
いやいやいや
綿密に 立地条件を調査して
ここならばと 目星をつけた場所に
建設するんですから
その点は ご心配なく。
場所は どこなんだい?
あっ 社長
肝心な事 忘れておりました。
こちらでございます。
(仁)この赤印の所なんですがね
最近 名古屋のベッドタウンとして
急速に
人口が増え始めてるんですよ。
名古屋市内は
土地が高くて 手が出ないし
ここまで来ないと
マイホームは 建てられません。
2~3年前から
マークしてたんですよ。
うちが進出する事は
承知してんのかい?
この辺の商店街は。
うちへ 土地を売った連中は
分かってるでしょうが
もちろん 口止めしてありますよ。
ただ この計画が発表されたら
地元の反対は
かなり厳しいでしょうな。
付近の商店街にとっちゃ
やっぱり 脅威でしょうから。
それは 覚悟の上だよ!
今までだって 食うか食われるかで
やってきたんじゃないか。
そんなものが怖くって
この商売 やっていけやしないよ。
まあ 今度も 穏便な懐柔策で
いくつもりですが
少々 金は かかっても
くだらん軋轢は ない方が…。
しかし あの駅前に
大きな食料品店があったろ。
あれは なかなか 手ごわいぞ!
あの店を中心にした一帯が
あの駅前じゃ一等地なんだけど…。
だから 最初に交渉したんだが
もう けんもほろろに断られたよ。
「父祖伝来の土地と店だ。
何億 積まれようと
譲る気はない」ってね。
塩 まかれそうだったよ。
(辰則)並木ですか?
(仁)ああ。
並木食料品店っていったな。
(辰則)ありゃ 老舗を鼻にかけた
嫌な男でしたね。
でも 今に
ほえ面 かかせてやりますよ!
いくら 大店だろうが
老舗だろうが
うちが オープンしたら たちまち
潰れてしまうでしょう!
仁! 17店目を出すんだったら
ほかに 場所を探すんだね。
その計画は中止だ。 私は反対だよ。
(仁)母さん…。
絶対 許さないからね!
せっかく 母さんの誕生日に
なにも 仕事の話しなくたって…。
ちょっと 剛ちゃん
カラオケの用意してないの?
いいよ そんなものは!
今まで 私は あんたたちの
する事に 反対はしなかった。
でも
今度だけは 聞いてもらいますよ。
母さんに命令される筋合いは
ないね。 今は 私が社長だ。
副社長に
決定権は ないんですからね。
お前の母親として反対するんだよ。
理由は 何ですか?
黙って 私の言う事
聞いてりゃいいんだよ!
(仁)そんな むちゃな!
辰則さん 頼みましたよ!
母さん…。
仁ちゃんと辰則さん
あきれてたわよ。
そりゃそうよ。 あれじゃ 母さんが
どうかしちゃったかと思うもの。
母さん 並木さんって
浩太さんなんですね?
やっぱり そうなの…。
私には すぐ分かりましたよ。
私が独立するのに 並木さんから
お金をお借りした時
母さん 話して下さった。
母さんには
大恩のあるお人だって…。
(初子)でも まさか 並木さんの
お店のある所に 仁ちゃんがね。
(希望)しかたないさ。
仁は 何にも知らないんだから。
今まで 新しい店を出す度に
地元の
商店街の反対には 遭ってきた。
でも 商売は 食うか食われるかだ。
こんな自由競争の時代に
しかたがないと思ってた。
でも 今度だけは
そんな理屈は通らない。
通しちゃいけないんだよ。
分かります。 よく分かりますよ。
しかし…。
母さん。 だったら 仁ちゃんに
ちゃんと
母さんの気持ちを話して。
母さんは 並木さんの事を
変に誤解されるのが嫌だって
私たちに話してたけど…
私たちだって分かったんですもの
仁ちゃんだって きっと…。
何ですよ 母さん! いきなり
あんな事 言われたって…。
仁…。
母さんが反対したのはね…。
理由なんか聞きたくありませんね。
仁…。 無駄ですよ 話したって。
だって そうでしょ。
俺たちが どんなに苦労して
あの土地を買収したか。
あとは
建物を建てるだけなんですよ。
工事だって 既に 設計図も出来て
発注してあるんですよ。
それを今更。
仁…。
出かけるぞ。
(辰則)はい!
(仁)道子!
(道子)はい!
遅くなるかもしれん。
はい。 行ってらっしゃい。
♬~
おしんには
取りつく島もなかった。
…が 何としても 浩太に
恩を仇で返すようなまねだけは
させてはならないと
思い詰めている おしんであった。