[PR]

 東京電力福島第一原発で、放射性物質をたっぷり吸った高線量の土囊(どのう)が廃炉作業の足かせになっている。事故発生から9年。汚染水の濃度を下げる緊急対策として建屋の地下に投入されたが、ここにきて調査が進み、危険な存在になっている実態がみえてきた。東電は建屋からの水抜き作業を延期して、安全に片付ける方法を検討している。

 問題の土囊は、炉心溶融した1~3号機そばの二つの建屋の地下に計約26トンある。放射性セシウムの吸着材として使われた鉱物「ゼオライト」が詰まっている。表面の放射線量は最高で毎時3~4シーベルト。1時間浴びれば半数の人が亡くなるとされるほどの高さだ。

拡大する写真・図版事故直後、高温焼却炉建屋の地下に設置された当時のゼオライト土囊(どのう)=東京電力提供

 東電は事故直後、大量に生じる高濃度汚染水を一時的にためるため、二つの建屋を貯水槽代わりにした。その際、水に含まれる放射性物質を少しでも減らそうと、地下の床面に置いたのがゼオライトの土囊だ。

 汚染水の底に沈む土囊への関心…

980円で月300本まで有料記事を読めるお得なシンプルコースのお申し込みはこちら