避けられるアジア人 「コロナ」大声で何度も...英国ルポ

岐阜新聞2020年03月07日07時56分

避けられるアジア人 「コロナ」大声で何度も...英国ルポ

 新型コロナウイルスの感染拡大に関連して、ロンドンでシンガポール人の男性が人種を理由に集団暴行を受ける事件が起きた。ロンドン郊外にあるブライトン大に留学している岐阜市の美術家張間成子(はりま・せいこ)さん(53)にイギリスの現状をレポートしてもらった。

 新型コロナウイルス関連のニュースが世界を走る中、イギリスでも状況は深刻になりつつある。何が事実なのかも分からず、人々はただ怖がっているように見える。それは膨大なネット情報の影響もあるのではないか。私が住むブライトンは、ロンドンから電車で1時間ほどの距離にある。感染者は1人出ただけで、町は平穏だったが、この頃は様相が変わってきた。人々はアジア人を避けるようになっている。

 そんなさなかロンドンで事件は起きた。街を歩いていたアジア人留学生がいきなり、イギリスの若者から暴行を受けた。「コロナウイルスを持ち込むな」と暴言を吐いた。ひどい偏見でしかない。

 2月末、アジア人留学生だけでパブに行った。少し酔ったイギリス人男性が私たちのテーブルに向かって「コロナウイルス」と大きな声で何度も叫んだ。日本人の留学生も同席していて「コロナの正確な知識も知らないまま、ただアジア人というだけであの言動はひどい」と嘆いた。

 先日、マスクを買いにドラッグストアを何カ所も回ったが結局1枚も買えなかった。町を歩くイギリス人は誰もマスクをしていないので不思議に思い、店の人に聞くと「アジア人が全部まとめ買いして商品がない」と言われた。

 こんなところでも、人種的な嫌悪感がアジア人に向けられていると受け止めた。新型コロナウイルスがイギリス、そしてヨーロッパにも広まる中、今はできるだけ外出を控えている。

関連キーワード

関連記事

岐阜新聞の他の記事も見る

東海/北陸の主要なニュース

15時35分更新