薄暗い石造りの通路を
アインズはこの前の18階層で発生した事件でヘルメスが語ったダンジョンの成り立ち、そして最初の神々のことについて知るためにギルドの長、ウラノスのところにやって来たのだった。
ヘルメスにウラノスと会えるよう仲介を頼んだところ、確認するためしばらく待って欲しいとのこだった。
暫くしてナザリックに一人の訪問者が現れた。自ら【愚者】と名乗るフェルズにアルベド他NPC達は侮蔑の目線を送るが、シャルティアのみうっとりとした目線でフェルズを見つめていた。そんなシャルティアと目が合ったフェルズは戸惑った様子で話を続けた。
「神ヘルメスから貴方の話は聞いています。我が主も貴方にお会いしたいとおっしゃっています。しかし、ダンジョンへの祈祷をしなければならず離れることはできません。申し訳ありませんが、ギルドへお越し頂けないでしょうか?」
「下等生物の分際でこちらに来いとは不敬にも程があります」
「良いのだ、アルベド」
「しかし───」
アルベドを手で制し、フェルズに話を戻した。
「すまないな、それで私はギルドに行けば良いのか?」
「ありがとうございます。しかし、貴方様がギルドに来られるといくら冒険者のモモンとしてでも不審に思うものはいます。私が案内しますのでついてきて頂けないでしょうか?」
「アインズ様、危険です!」
アインズを敵の中心に向かわせるような行為にたまらずアルベドは声を荒らげた。
「ッ、良い!!!・・・すまない」
アインズの強い口調にアルベド他全ての
「申し訳ありません」
「いや、良いのだ私の心配をしてくれたのだろう」
アルベドはアインズの焦ったような姿、他の守護者達は気付いていないが最後にダンジョンから帰ってきた時から感じる違和感に不安を抱いていた。
「フェルズとやら、すまないな。それでは今からでよいのだろう?案内を頼むぞ」
─────────────
アルベド他、数名の部下を引き連れアインズはフェルズについて通路を突き進んだ。長く迷路のように続く通路を歩いている間、アインズは気になったことを質問した。
「お前は何ものなのだ」
「
見た目が似ていることや元人間であることもあり、少なからずアインズは共感を覚えた。
「───死にたいと思うか?」
アインズの率直な質問にフェルズは少し答えを考えた。しかし、フェルズも素直な今の思いを答えた。
「・・・そうですね、そういうことを考えなかったと言ったら嘘になります。ですが今はまだやるべきことがありますからもう少しこのままでいようと思います」
「そうか、分かった。もしその時が来たら私の元に来い。慈悲をくれてやろう」
アインズの言う慈悲が何を指しているのかを理解し、フェルズは感謝した。
「───ありがとうございます」
しばらくお互いに沈黙のまま歩くと行き止まりにさしかかった。フェルズが手をかざし、呪文を唱える。
「───」
アインズは今、【開けゴマ】と聞こえたような気がしたが、そんな簡単な呪文な訳がないと頭を振って否定した。フェルズの呪文に壁がスライドし開いた。通路より開けた石畳の広間に目的の
「あなたがウラノスか?」
巨大な石の玉座に2メートルを越すたくましい体格は他の神よりも存在感だけでなく神威も大きく異なる。白髪で白髭を蓄えた老神だが、その目は鋭く正にギルドの支配者といえる。ウラノスは椅子に座り不動のままあり続けていた。
「いかにも私がウラノスだ。よく来たな、アインズ・ウール・ゴウンよ。話はヘルメスから聞いている。私の分かる限り話をしよう」
「そうかよろしく頼む。【
アインズの魔法により黒曜石で生み出された玉座が現れた。別に立って聞いていても疲れる訳ではないのでいいのだが、
アインズの行動にフェルズは驚愕する。
「ハハッ、何が【賢者】だ。【賢者】と呼ばれうかれていた自分が情けない。未だかつて、こんな魔法は聞いたこともない」
フェルズの呟きを無視し、アインズは話を進めた。
「ダンジョンとは何だ?いつ、どうやって発生した?」
【それじゃあ、ウラノス、『力』の行使の許可を】
アインズの話を遮り、突如響いてきたのはヘルメスの声だ。ウラノスはアインズに断りを入れヘルメスに回答した。
「───許可する」
すると、ウラノスとアインズの間に円形の窓、
アインズはヘスティアファミリアが
「途中ですまないな。悪いがダンジョンについて詳しくは分からない。神ですらその深淵は伺うことができないからだ。そして、下界を見ていた者の話では、私たちが下界に下りる前、1000年以上前に突然、巨大な穴が現れたらしい。」
「1000年だと!」
「ああ、それから我々が下界に下り溢れ出るモンスターを
アインズは一つの仮説を立てていた。その仮説が正しいのか一つ一つ確認しようとした。
「その当時、お前達が感じる違和感をもった存在というやつはいたか?」
長い沈黙の後、ゆっくりと思い出すようにウラノスは語りだした。
「───居た、かもしれない。神のごとき神器を持ち全てのモンスターを操る圧倒的な強者が。そうお主のような」
「そいつはどうした?倒したのか?」
「いや、他を隔絶するほどの強さだった。長い闘いの後、姿を見せなくなった所で蓋をし封じたので倒せた訳ではない」
アインズは戦慄を覚えた。遥か昔に自分と同じように転移した者の存在を知って。おそらく自分と同じようにギルドの拠点ごと転移したのだろう。そして今もまだ溢れ続けるモンスターは拠点を守る自動POPのモンスターである可能性が高い。それを1000年以上出し続けるなどどれだけの金貨が必要か分からない。どんな手段でそんな離れ業をしているか分からないが、間違いなく上位ギルドである可能性がある。
「三大
アインズが考えていると、ウラノスは質問を投げてきた。アインズが否定すると、ウラノスは説明した。
「オラリオに世界全土から求められている三つのクエストだ。古代の頃に地上に進出した強力な三匹のモンスターだ」
「何だと?」
アインズはその三匹のモンスターがプレイヤーもしくはNPCの可能性を考える。
「15年前、当時二つ最大ファミリアがこのクエストに挑み、
「ではまだ、その隻眼の竜は生きているのだな?」
「ああ、そうだ」
「それが分かれば十分だ。そのクエスト、このアインズ・ウール・ゴウンが引き受けよう」
そう言うとアインズは立ち上り、踵を返した。それと同時に魔法で作られた黒曜石の玉座が消えてなくなる。立ち上るときに、神の鏡を伺うとベルが相手のファミリアの団長らしき男と戦っていた。ベルの動きが前よりもさらに良くなっていることに嬉しく思う。
あの時聞こえた声と体に起こった違和感に戸惑いを感じていたアインズだが、正体がユグドラシルのプレイヤーの可能性があれば対処は早い。
迂闊にダンジョンに潜るのは避けねばならないが、外にいる奴ならまだ手はある。出来る限り情報を聞き出し一気に潰す。
(この世界にもプレイヤーが来ていたとはな。だがこのアインズ・ウール・ゴウンに喧嘩を売ったことを後悔させてやる)
静かに怒りを燃やすアインズは【ゲート】を開き消えていった。
ウラノスとフェルズはその後ろ姿を静かに見守っていた。
ベルとアインズがウォーゲームに参加する話が書きたかったorz
《案1》
モモンとして助っ人の一人として出る
→リューとかぶってたいした活躍なし
《案2》
【ウォーゲームの舞台】ナザリック大墳墓
【攻撃側】アポロンファミリア
【防衛側】ヘスティアファミリア
「誰も攻略できません!」