立憲民主党と日本共産党の呆れた法律観

韓国大法院が示した徴用工判決の異常性に日本中が憤った。しかし日本国内には、韓国大法院や徴用工弁護団とそっくりな法律論を採る政党がある。それが立憲民主党と日本共産党だ。

●共通点その1-憲法原理主義

立憲民主党の枝野代表は2017年臨時国会の代表質問で、「(憲法違反の)安保法制を前提としながら自衛隊を憲法に明記したら、立憲主義違反を事後的に追認することになる」という発言をしていた。

この枝野代表の発言は、まさに憲法原理主義そのものだ。

憲法原理主義とは、現行憲法を絶対的なものとし、憲法の一字一句を墨守し、現実と矛盾しようが、弊害が出ようが、原理原則を頑なに守ろうとする思想だ。つまり、憲法は絶対的に正しい、そして憲法改正や解釈の変更は絶対に許されないという前提である。

枝野代表は、全ての政策の良し悪しは憲法の精神に忠実であるか、あるいは憲法の実効性等をより高めるものであるかを争点として捉えている。憲法それ自体を守ることが目的化しており、枝野代表が掲げる立憲主義は本来の立憲主義とはほど遠い。

実際、東京外国語大学の篠田英朗教授も、枝野代表らの主張は、本来の立憲主義ではないと強く批判している。

「立憲主義」とは、「憲法9条に手を付けるな」という「護憲主義」のことではない。まして「アベ政治を許さない」と叫ぶことでもない。
(中略)
人権や国際協調主義という憲法の理念を信じて行動していく立場が、立憲主義だ。「法の支配」が「立憲主義」の根幹を形成するが、「法の支配」は「人の支配」を超えなければ意味がない。
(中略)
「国の構成原理」は、主権者をも拘束しなければならない。規範が主権者に優越して初めて、立憲主義が成り立つ。国民主権の名の下に、主権者国民は何も制約を受けずに、ただ永遠に権力者を制限しなければならない、といった言説を広める行為は、全く立憲主義的なものではない。
出典 篠田 英朗「立憲民主党が肝心の「立憲主義」を勘違いしてどうする」

立憲主義とは、本来は、政府の統治を憲法に基づき行う原理で、政府の権威や合法性が憲法の制限下に置かれていることに依拠するという考え方なのだ。これが健全な考え方。

枝野代表の主張の通りに、全てを憲法に適合するものにすると弊害しか出てこない。

第一に彼らの大好きな教育政策が止まる。何事も憲法に忠実でなければならないとすると、宗教色のある私学への助成金の拠出等が政教分離原則に抵触し憲法違反の疑いが出てきてしまう。しかも、枝野氏は違憲の疑いがある法律の正当性確保の為の改憲も認めていないから、何もできなくなってしまう。とても責任ある政治家の思考ではなく、宗教原理主義そのものだ。

そもそも、平和安全法制に対しても、その必要性の有無よりも、合憲性ばかりを論点にしていた枝野氏とその同志たちにとっては、こうした思考は当たり前なのだ。憲法を守れれば国が滅んでも良いという思考には、呆れる。

世論調査を見ればわかる通り、過半数の国民が憲法改正を望んでいる(2017年6月)

第二は、憲法の基本原理である国民主権との関係性だ。憲法に規定されていることに忠実であることを求める憲法原理主義では、当然憲法の内容が絶対視されることになる。よって現行憲法の規定を変更する改憲は認められないことになる。憲法が国内における最高法規として認められる理由は、ひとえに国民主権を保証しているからだ。しかし、国民が望む改憲を行うことができないような状況を作ることは、国民主権に違反している。これは憲法原理主義を掲げる枝野代表が抱える大きな矛盾点だ

一方、韓国でも似た憲法原理主義を見ることができる。韓国大法院が下した判決が、日本中が憤りに満ちた韓国大法院徴用工判決である。徴用工判決は、日韓請求権協定を無視し、本来の請求権の相手は韓国政府であるにも関わらず、日本企業に向けられた請求権行使を容認する判決を下した。

この無茶苦茶な判決は、そもそも日本統治時代の問題を何故、現在の韓国の裁判所が扱えるのか、ということだ。江戸幕府統治下の問題を現在の最高裁が裁くことは出来ない。それが常識だ。だが、韓国大法院によれば、韓国憲法前文に「日本統治時代に上海に設置された亡命政権(※実際は大学のサークル以下の存在だったが)の正当性を現在の韓国は継承している」と明記されているので、韓国大法院は日本統治時代の案件も扱えると主張するのである。

韓国憲法前文にある文言を絶対視し、二国間で請求権協定をもって解決した問題を再度争点化することは憲法原理主義に他ならない。

立憲民主党の枝野代表、韓国大法院は、双方とも憲法原理主義という共通点をもっていることがわかる。

●共通点その2-国際法より国内法が優位だとする唯我独尊

日本共産党は韓国大法院徴用工判決について、「国家間で請求権問題が解決されたとしても、個人の請求権は消滅していないため日本政府と該当企業は被害者の名誉と尊厳を回復し、公正な解決をはかるために努力すべき」と主張している。この主張には大事な点が抜けている。それは国家間で締結された条約の存在(日韓請求権協定)だ。国家間で締結された条約の存在を無視し、国内法に基づく権利主張を当然視している。

立憲民主党のブレーンである山口二郎法政大教授も、韓国大法院徴用工判決について「基本条約を根拠に個人の権利を無視することは政治的に冷酷だと批判する。条約を根拠として認めていながら、それに基づく行動を批判している。これは国際法の軽視に他ならない。立憲民主党代表の枝野氏も、「判決は大変、残念であり、遺憾に思う」とお茶を濁しているが、本音は山口氏が代弁していると言われても仕方がない態度だ。枝野氏が国際法を重視するなら、はっきりと白黒つけていただきたい。

憲法学の世界でも国際法と国内法も問題は取り上げられるが、国内法優位説については、その論理の行きつくところは国際法を否定することになるため、今日ではほとんど支持者は見られない。(参考 佐藤幸治 日本国憲法論)

また日本国憲法は、国際協調主義を承認していることから国際法優位と考えるのが妥当である。

だが、日本共産党、そして立憲民主党のブレーンである山口氏は、国内法優位説にしたがうという立場を明らかにしている。今にして思えば、鳩山政権は、過去の幾人もの日本の首相と米国大統領が合意と確認を繰り返してきた、SACO合意(辺野古移設や米軍基地返還に関する包括的な合意)をこともなげに踏みにじろうとした。枝野氏が閣僚として参画し、山口氏がブレーンを務め、日本共産党が「選挙協力」をした鳩山政権が、この有様だったのだから、今回のも彼らにとっては平常運転なのだ。

だが、日本共産党や山口氏の主張する「国家間で締結された条約よりも、国内法に基づく権利主張の方が優先されるべき」という考え方は、韓国大法院と全く同じである。

韓国最高裁の判決の問題点は「日本政府の朝鮮半島に対する不法な植民地支配」。つまり日本の朝鮮半島統治自体に不法性があるのだという。この点を原告勝訴の理由にし、法により救済したわけだ。
引用元 日本統治時代がらみなら何でも請求できるのか

韓国大法院が下した徴用工判決は日韓請求権協定という国際法を無視し、原告側の国内法に基づいた主張をそのまま受け入れた。大韓民国憲法第6条1項で「この憲法に基づいて締結、公布された条約及び一般的に承認された国際法規は、国内法と同等の効力を有する」と規定しており、日本国憲法第98条とは違い、国際法を軽視している。

立憲民主党は立憲の意味を履き違えた、憲法原理主義の集団であり、立憲民主党と野党共闘を模索する日本共産党や立憲民主党のブレーンに至っては、国際法より国内法が優先される考えを持っている。現在、立憲民主党は、党首以下の主要幹部が辺野古移設を最終的に決定し、日米間で合意した過去を反故にして、辺野古移設を中止しろと主張している。これは、日米間の国際的な合意を破棄しろと主張するもので、国内法原理主義の最たるものだ。

立憲民主党やその周辺の法律に対する認識は、韓国の法律に対する認識とそっくりであり、彼らが仮に政権を獲得すれば、日本政府は文政権が支配する韓国のような国家になってしまう。

「文 チェコ」の画像検索結果

チェコを訪問したのに、チェコ大統領に会ってもらえなかった、文大統領。国際的信用を無くすとはこういうことになる。

これがどういう意味を持つかは、国内法が国際法に優先することが国際社会において外交上致命的な事、そして、悪夢の鳩山政権がどのような扱いを各国から受けたかを思い起こせば明白だ。

現に南北融和を果たしたい韓国の文大統領が、北朝鮮の制裁緩和を欧米に対して呼び掛けてもどこの国も相手にしなかった。それは北朝鮮の制裁が国際的に交わされた約束だから。国内の事情で国際的な約束を反故にするような動きに各国は賛同するはずがない。

それだけ国家間の約束は重いものなのである。

共産党も立憲民主党ブレーンも韓国の国内法に同調している以上、国際法の概念は無いに等しい。ここまで法律観が韓国とそっくりな立憲民主党は、党本部を韓国に移動させ、韓国政界に打って出てほしい。どの道、わが国では低空飛行の支持率なのだから、ちょうどよい頃合いだ。

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