神の真似事なんて荷が重いですわ。
「よっしゃー、始まったでーー!今回もウチが司会やらさせてもらうで!」
相変わらず暇を持てあまし、面白いことに目がないロキが勝手に進行を進めていく。
「第ウン千回
「前もウン千回って言ってたぞ」
「うるさいわ、ボケェー!」
細かい男神の突っ込みにドツキでかえすロキの芸は健在だ。円卓を見渡しヘスティアが居ないことを確認する。おそらくバイトで来れないのだろう。ヘスティアを弄れないのは残念だが、切り替えて進行を進める。
「じゃあ、早速今回のお題に行くで。今回はヘルメスファミリアでランクアップした
「そんなことないさ、ロキ。今回はお手柔らかに頼むよ」
「そんなもんウチが決めることやない。なあ・・・」
ヘルメスは回りの神々を見渡すと明らかに含みのある笑みをしていた。
「じゃあ、早速行くで!先ずはコイツや!」
ロキは手元の資料を一枚持ち上げた。
「何々、モモンちゅうやつや」
円卓に座る神達も手元の資料からモモンの似顔絵を眺める。
「頼むよ、みんな。お手柔らかに・・・」
「「「「断るっ!!!」」」」
「っていうか甲冑着てちゃ良いアイデア出ないじゃん」
「ねぇねぇヘルメス!中はどうなのよ?」
ヘルメスの脳裏に骸骨の顔が浮かぶ。
「え、どうって言われても?
「それはそうか。ということは醜男ってことだな・・・、そうだ、【
「実は裏があったりして、【
「いや、ここは【
「おお、久々にピッタリな案が出たな」
『異議なし!』
「よし、じゃあサクサク行くで!次はこの子や。えーと、おぉ、可愛い子やな。六人姉妹の長女、ユリちゃんや」
男神達のテンションがモモンの時とは違い気合いが入ってるのが分かる。
「僕っこキター!ここは俺に任せてくれ。あの僕って言った後に言い直す姿がたまらん。【
「馬鹿野郎!眼鏡クイッの鞭でパンッはお決まりだろうが!【
「それならイタズラをした俺にお仕置きをして欲しいな。【
『それだ!』
「よし次や、なんやこの子も可愛い子やな、ウェアウルフのルプスレギナちゃんや」
「くぅ、またしごいてほしいな。ルプーちゃん。ここは俺に任せてくれ。【
「お前はご褒美を頂いている時の顔を見ていなかったのか?【
「止められない、止まらない。癖になりそうだぜ。【
『決定!』
「よし、次!っておいぃ、ヘルメス。なんなんやこれは。お前は顔で選んで入れとんのか?」
「ロキ、よくぞ言ってくれた。おかしいだろ!ヘルメス!」
「そ、そんな訳ないだろ、たまたまだよ」
「ヘルメスの手に毒されるくらいなら・・・フヒヒッ」
「この女たらし野郎が!」
「まあ、ええ。次はナーベラルちゃんや」
「馬鹿野郎!」
突然、一柱の神が資料を眺めながら苦々し顔をして、円卓を叩いた。
「本物はこんな優しい目じゃねぇ。もっとこう俺を虫のように蔑むような目をしているんだ」
そう言いながら何かを思いだし恍惚な表情をしている。
「じゃあ、【
「電撃の魔法が得意みたいだし、俺の嫁になるから【
「馬鹿か、お前は?ナーベラルちゃんは俺の嫁だ」
「はい、はい。不毛な話はその辺にしとき。他に案はないか?」
「お前らは何も分かっていない!表では酷いことを言っていても、二人きりでは甘えてくるんだよ。彼女こそ【
「俺もナーベラルちゃんがデレる所を見てみたい」
『それじゃあ、決定!』
「次、行くで!もう突っ込むのも疲れたわ。ソリュシャンちゃんや」
「金髪縦ロールか、レベル高いな」
「ソリュシャンちゃんは俺のことが好きに違いない。俺のファミリアに来たいって言ってくれたし、間違いない。期待に応えてやるぜ。【
「それはお前の気のせいだ。俺にも言ってくれたしな。それよりも彼女に手を出したら後戻りができなくなりそうな気がするぜ。ってことで【
「それでこそ、ファンクラブ会員第一号だな」
『よし、採用!』
「あほくさ、次、次。えーと、今度はエントマちゃんかな」
「この前、奢りまくってたら
「エントマちゃんの可愛さが伝わらねぇよ。あのしゃべり方、俺の荒んだ心を癒してくれるぜ。【
「俺はエントマちゃんの笑顔を見てみたい。
『それで行こう!』
「次、えーと、今度は眼帯が特徴的なシズちゃんや」
「頼む、俺の推しメンなんだ。この子にはこれを採用してくれ。【
「それ使い回しじゃねぇか。お前にはシズちゃんの癒し属性が分からないのか?【
「いや、シズちゃんの純粋で綺麗な目を推すべきだろ。あの眼帯をとったらどうなるか気になる。【
『分かるわ~』
「次は双子のダークエルフの姉弟や。先ずはお姉ちゃんのアウラちゃんからや」
「双子のダークエルフってのがポイント高いよな。【
「俺はあのオッドアイが良いと思う。【
「お前らはアウラちゃんのことを何も分かっていない。それならマーレちゃんも同じじゃねぇか。」
「そうだそうだ。アウラちゃんの無邪気な明るさとお姉ちゃんとしての責任の狭間で揺れる感情の葛藤を。【
『良いね』
「次は双子の弟、マーレちゃんや。ってこの子、女装してるのか?どういう教育させてるんや」
「何言ってるんだ、ロキ」
「男の娘なんて親は分かってるぜ!」
「マーレちゃんが走る所見たことあるか?スカートを押さえながら走るんだぜ。凄く初々しいんだよ。【
「マーレちゃんにはアウラちゃんとは対照的な輝きがある。【
「お前らの言いたいことは分かる。だが、マーレちゃんは決して汚れてはいけない。俺達の手で守っていくんだ。そう、【
「「「おおぉ!!!」」」
『決まったな』
「次はおっ、この子はなかなか渋い子やね」
それまで
「ケケケ、コイツには俺が引導を渡してやるぜ。【
「「「あぁん!?」」」
女神達が一斉に男神を睨み付ける。
「すいませんでしたぁあぁぁ!」
「
「それなら女神と執事の秘密の恋よ。【
「でもあの服の上からでも分かる力強さが足りないわ。姫を守る騎士、理想的なシチュエーションだわ。【
『それにしましょう』
「次は、シャルティアちゃんかな」
「本命キターーーー!!」
「触っちゃダメだ、触っちゃダメだ、触っちゃダメだ。イエス、ロリータ。ノー、タッチ!」
「俺の愛を受け止めてくれ!【
「シャルティアちゃんの愛の奴隷になりたい。【
「返り血も滴る良い女・・・、【
「言っている意味は良く分からんが、凄いインパクトだ」
『じゃあ決定』
「よし、これで終いか?」
ロキが手元の資料に目を落とすと、一枚の申請書が落ちた。
「ん、まだ一枚残っとったんかいな。何々、アルベドちゃん・・・女の子やね」
ロキが資料に目を通すとモモンと変わらず全身鎧に包まれ顔を伺うことはできない。
「う~ん、なんかもう今日は疲れたわ」
明らかに回りの神達のやる気が無くなっている。それまでの美男美女があった後に全身鎧の彼女では乗り気になれなかった。
「さっきのモモンに似てるし、【
『それでいこう』
あっさり決まったアルベドの二つ名だったが誰よりも本人が喜ぶのだった。
馬鹿野郎!そんな二つ名似合わねぇよ!!
甘んじて受け入れます(。´Д⊂)
お手柔らかに...