書いてて面白いです(^^)
漆黒のフルプレートに身を包み、瞬く間に襲ってきたモンスターを二本のグレートソードで返り討ちにする。モンスターは頭と胴体が今生の別れを果たした。その斥力は下級冒険者のステータスを優に越えており、自称Lv.1の冒険者とは疑わしい。
「ソリュシャン、この辺りにまだモンスターはいるか?」
「いえ、もうこの辺りには居ないようです」
「そうか。残念だ。では次の階層に進むとするか」
「畏まりました。こちらが攻略ルートになります」
現在、アインズもといモモンはナザリックの僕からパーティーを組みダンジョン攻略にあたっていた。現在のパーティーはモモン、シャルティア、ナーベラル、ソリュシャンだ。このパーティーを発表したときのNPC達の阿鼻叫喚の様はいい思い出だ。
ただ、アインズとしてはこのメンバーは決定ではない。なぜならヘルメスファミリアに入ったのは四人だけではないからだ。そう冒険者登録をした日を懐かしく思い出す。
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フルプレートに身を包みモモンとして再びオラリオに戻ってきたアインズは感情が抑制される程度に浮かれていた。
「チッ、また抑制されたか。お前達、絶対に街の中で騒ぎを起こすんじゃないぞ。」
そう言うとアルベド、シャルティア、アウラ、マーレ、セバス、ユリ、ルプスレギナ、ナーベラル、ソリュシャン、エントマ、シズの11人が頷いた。
本当はアルベドにはナザリックの運営のためにナザリックに居て欲しかったが登録だけでもと泣きつかれ渋々了承した経緯がある。ちなみにコキュートスにも懇願されたがどうしようも無いため諦めて貰った。逆にデミウルゴスは自ら辞退していた。
冒険者の登録と言っても面接などがあるわけでなく所属しているファミリアと人物の確認、名前を記入して終わりだ。雑務は僕の役割と言われたが、ユグドラシルでナザリックの管理をしてきたアインズは自分がやりたいと固辞し、代表してカウンターに向かった。
「モモンさん!ファミリアに入ったのですか?」
その声が聞こえたほうに目をやると前回対応してくれたハーフエルフの女性、エイナだった。
「ええ、おかげさまで。」
「おめでとうございます。それとありがとうございました。」
アインズが感謝の意味を理解できず困惑すると、エイナから説明が加えられた。
「覚えていませんか?モンスターフィリアの時に市民をモンスターから守って下さったことです。あの時はまだ冒険者ではなかったですが、ギルドを代表して感謝を伝えます。」
「困っている人が居たら助けるのは当たり前、ですからね」
「素敵な言葉ですね。」
「ええ、私の憧れている人の言葉です」
「それで今回登録するのはモモンさんだけですか?」
「いえ、私の他に後11人居ます」
「そんなにも居るのですか?」
「ええ、みんな私の最高の友人たちの子供みたいなものです」
アインズが誇らしげにエイナに自慢をすると、エイナは微妙な反応を見せていた。慌ててモモンは後ろにいる僕達に目をやる。僕達が居た場所にはたくさんの人垣ができていた。
「ねぇねぇ、僕達と一緒にご飯食べに行こうよ」
「フフ、お戯れを」
そう言うと眼鏡をクイッとあげながら肩を組もうとする男神の手を素早く叩き落とす。
「これがいいんすかっ?」
「はい、お願いします」
隣では四つん這いになった男神の臀部を足で踏んでニヤニヤと喜んでいる。二人とも凄く幸せそうだ。
「この蛆虫が、気安く話しかけるな」
「ありがとうございます!」
「おい、次は俺の番だぞ!」
「えぇい、気持ち悪い。よるな!」
「ソリュシャンちゃん達はどこのファミリアなの?」
「ヘルメス様のファミリアです」
「「「「ヘルメスのヤロォォォ~~~~~~!!!!!!」」」」
「あいつさえいなければソリュシャンちゃんはおれのファミリアに入る予定だったのに~~~!」
「ヒッヒッ、怨みは無いがあいつには天界に還ってもらうぜ!」
「まぁ、ありがとうございます。楽しみにしてます」
「エントマちゃん。これ食べる?」
そういうとエントマは無言でジャガ丸くんを頬張る。その光景を男神は幸せそうに見届ける。そしてすぐにまた新たなお菓子を買いに走っていった。
「シズちゃん、こっち向いて」
「・・・・」
「このツンデレがたまらない!」
「ねえ君の名前はなんて言うの?」
「マ、マーレ・・・です」
「ちょっとマーレ!こんなのにいちいち答えてるんじゃないの!」
「で、でも、お姉ち~ゃん・・・」
その時男神達に天啓が下りた。
(((男の娘だと!!!!!)))
「俺にはレベルが高すぎたよ、燃えつきちまったぜ。真っ白によ」
「俺始めて見たよ。生きてて良かった」
「神に感謝を」
「ぅ、うへヘェェぇっーーーー●∈▼↑$〇〆〃」
一人の男神が発狂し、シャルティアを抱えて走り出そうとした。その動きはレベルがカンストしているはずのシャルティアをも驚かせた。
しかし、それよりも早く回りの男神達がその男を袋叩きにする。呆然とするシャルティア。
「「「イエス、ロリータ。ノー、タッチ!」」」
こいつらダメだ、そう思いモモンはナザリックの良識、セバスを探す。
「ねえ、セクシーなお・じ・さ・ま。私達と遊びに行かない?」
「申し訳ありません、主を待っていますので。」
「じゃあその後なら良いのね」
「い、いや・・・」
汗をハンカチで拭きながら女神達の誘惑を丁寧に断っている。
モモンはアンデッドで良かったと心から思った。肉体があれば間違いなく泣いていただろう。
人知れずひっそりとモモンは光に包まれた。
その中で一人、誰からも相手にされていない僕がいた。そう、アルベドだ。モモンと同じ全身鎧を身に纏い、シルエットから女性と判断できるが、目の前に色とりどりの美女が揃っているなかわざわざ彼女を選ぶ必要はない。
アインズは僅かながらにアルベドに同情する。
「アルベドよ、気にすることはないぞ。アルベドの溢れでる魅力に気付かないとは愚かな事だ」
完全に蛇足だった。後にアインズはこの時の発言をこう評した。
プルプルと震えているアルベドに不安になってアインズが声をかけた。
「ど、どうしたアルベド?」
「ア、アインズ様~~~~!!!!もう我慢しなくて良いんですよね!ほんの少しでいいんです。そう、天井の染みを数えている間に終わります。」
「アルベド!!!だっ、誰か!アルベドが乱心した!!!」
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こうして冒険者初日からギルドのど真ん中で騒動を起こし出禁になりかけた一行はなんとか無事に冒険者として歩み出すことができた。
ちなみにアルベドは謹慎が言い渡された。
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「ふぅ・・・」
「お疲れでありんすか、アインズ様」
「いや、問題ない」
あの時のことを思い出すとまだ心が沈静化される。アルベドは疲れていたんだ。少し休みを取らせた方がいい、そうアインズは固く信じている。
「アインズ様、前方に人間が二人居ます。」
ソリュシャンの索敵に入ったのだろう。やはりソリュシャンの盗賊のスキルは使えるなと確信する。
「ふむ、あまりダンジョンで冒険者に近づきすぎないのがルールらしい。別のルートを探すか」
「畏まりました。ですがどうやら一方の人間は倒れているみたいです。もう一人の方も座り込んでいます」
「なんだと、どういう状況だ?少し気になるな。案内してくれ」
「畏まりました。こちらです」
モモン達はソリュシャンの案内で通路を抜け視界が開けたルームへと入った。
そこには金髪金眼の美少女が座り込んでいた。そしてその膝には見覚えのある白髪の少年ベル・クラネルが寝ている。いわゆる膝枕というやつだ。
「バッ、バカヤロ~~~~~~~~!!!」
どいつもこいつもイチャイチャ、イチャイチャしやがって冒険しにきたのじゃないのかよ。モモンは捨て台詞を吐いてルームから飛び出した。慌てて追いかける僕達。そして意味不明のままポツンと取り残されたアイズ。
その夜、モモンの悲痛な叫びがこだました。
徐々にベル君とも接点を増やしたいですね(о´∀`о)