ナザリック in オラリオ   作:タクミ( ☆∀☆)

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再会

「ハッ!!」

 

モモンはグレートソードを一閃し、コボルトを真っ二つに両断した。

 

(流石に低層階だけあってモンスターは弱いな。十分、この姿でも行けそうだ。いざとなったら即、ナザリックに引き返すことも考えていたが杞憂だったな。)

 

モモンは現在、ダンジョンに潜り冒険をしていた。しかし、ファミリアに入り冒険者になったというわけではない。オラリオでの一件でファミリアに入るのを諦め《完全不可知化》をし、人通りの少ない夜中にこそこそとダンジョンに潜り込んだのだ。今後はナザリックからダンジョンにゲートで移動すればバレることは無いだろう。

 

魔石を拾いながら久々の冒険にアインズは楽しんでいた。始めこそ警戒し第9位階の《心臓掌握》をかけていたがあっさり抵抗することなくモンスターが死んだことに警戒を緩める。因みにモンスターの魔石が粉々に砕け回収はできなかったが。次に試した、《ドラゴン・ライトニング》でもあっさり死に完全に安心した。今は他の冒険者に見られても良いようにモモンの格好でモンスターを討伐していた。

 

(ふぅ結構貯まったな。まぁ、回収したところで換金もできないけど、エクスチェンジボックスで換金すれば運営費は稼げるだろうし、現地通貨はどこか闇市とかでできないかな。多少ぼったくられるのはこの際諦めるとしてこの国の通貨であるヴァリスを稼がなければ。)

 

そんな世知辛い考えをしていると遠くから悲鳴が聞こえてきた。アインズは警戒しながら悲鳴が聞こえてきた方を伺った。

 

 

「うわぁーーーー!なんでこんな低層階にミノタウロスがーーーーー!?」

 

アインズは冒険者がミノタウロスの群れに追われているのを見つけた。さらにその冒険者は見覚えのある白髪頭の少年だった。

 

(あの子は確か、…クラネル君か?冒険者になれたみたいだな。うーん、助けた方が良いか?ただこの格好では初対面だし。見捨てるべきか……、いやこの世界の情報を教えてくれたんだ。受けた恩は返すべきですよね、たっちさん。)

 

ミノタウロスの剛拳がまさにベルに直撃しようとする直前、横からグレートソードが受け止めた。

 

「大丈夫かい?」

 

「あ、ありがとうございます。」

 

「なに、困っている人がいたら助けるのは当たり前さ。」

 

何気にたっちさんの《正義降臨》のエフェクトが出れば良いんだけどと考えにふけっていると、群れの一匹がベルの方に向かった。

 

「早く逃げるんだ!」

 

「すみません!」

 

ベルがミノタウロスに追われながら逃げていくのを横目に早めに片付けようと目の前のミノタウロスの群れを睨み付け、グレートソードを振るった。

 

(先程のモンスターより少し強い気がするな?この階層に出るモンスターじゃないのか?まぁこの程度なら問題ないが少し急がないとな。)

 

アインズはまだ知るよしもないがミノタウロスは本来この階層で出るようなモンスターではない。ベルが死にそうになっていても、冒険者になったばかりの彼には仕方がないことなのだ。しかし、ユグドラシルでレベルをカンストしたアインズにとって先程戦っていたモンスターとミノタウロスの差など誤差の範囲位しかない。一匹につき剣を一閃してあっさりと倒していった。

 

(ふぅ、思ったより時間かかったな。クラネル君は大丈夫か?わざわざ助けたのに死んでましたじゃ寝覚めが悪いしな。)

 

嫌な想像をしながらアインズはベルが逃げていった方に進むのだった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「うーーん、迷ったな。このダンジョンの地図がないからどこに行けばいいかもよく分からん。魔法で探すにしても手掛かりもないしな。」

 

アインズは今、迷子になっていった。ユグドラシルではコツコツと情報を集め慎重に進めていくアインズにとって、初見のダンジョンで人探しは無謀だった。

 

(すまん、クラネル君。)

 

アインズが心の中で亡き少年に謝罪をしていると、前から真っ赤な人型のモンスターが全速力で近づいてきた。ウォーシャドーの亜種か?と考えたがどうやら返り血を浴びた冒険者もといベル・クラネルだった。

 

(どうやら生きていたみたいだな。それにしてもいつも走ってるな。)

 

アインズは声を掛けようと思ったが返り血を浴びているにもかかわらず満面の笑みで走っているベルに躊躇し、やり過ごした。

 

(どうやら少しおかしくなったかもしれんな。まぁこれもいい経験になるだろう。)

 

アインズは遠い目でベルの後ろ姿を見送った。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

金髪金目の少女、アイズ・ヴァレンシュタインは助けた筈の少年が一目散に逃げていくのを悲しげな目で見送っていた。後ろには同じファミリアの獣人の青年、ベートが腹を抱えて笑っている。アイズはムッとしながらもベートを無視し、残りのミノタウロスを倒すために歩き出した。

 

 

 

「っ!」

 

「あぁ、どうした、アイズ?」

 

二人の前にはモンスターを倒した後に残る魔石と灰、そしてミノタウロスが使うネイチャーウエポンが落ちていた。

 

「なんだ、もう先に誰かに殺られちまったのか。残念だったな、アイズ。」

 

ベートが皮肉げにアイズに話しかけるが、アイズは反応しない。確かにミノタウロスを倒すことができる冒険者ならいくらでもいる。しかし、問題はそこではない。何故、ミノタウロスを倒せるような冒険者がこんな低層階の攻略ルートでもない奥地に居たのかだ。自分たちはミノタウロスが下層から逃げ出して上層に向かったためこんな所まで来た。しかし冒険をしている者なら奥になど行かず下に降りた方がはるかに効率的で得られる魔石も多い。しかもこれだけのミノタウロスをたいした時間もかけずに倒したのだ。アイズは答えを見いだせないまま、ダンジョンを後にするのだった。

 




オラリオ勢のレベルはランク×10位のイメージ。
まだまだナザリックは強いです。
ただこの世界ではモモンは英雄になれないかな。
神様の恩恵はやっぱりすごい。

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