新型コロナウイルスの感染拡大を受け、プロ野球12球団は26日、臨時の代表者会議を行い、3月15日まで開催予定だった今季のオープン戦残り全72試合を無観客試合として実施することを決めた。無観客試合はオープン戦、公式戦通じて史上初。同12日までの春季教育リーグも全試合を無観客で行う。同20日に開幕する公式戦実施について、斉藤惇コミッショナー(80)は「状況を見極めないと、すぐには言えない」とした上で、「我々としてはできればやりたい」と話した。
先行きが見えない状況の中、プロ野球が苦渋の決断を下した。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、2月29日から3月15日までに予定されていた今季のオープン戦残り72試合全てを、無観客で実施することを全会一致で決定。斉藤コミッショナーは「3月20日(の開幕戦)を迎えたいという思いで、断腸の思いで無観客でやらせていただくことになった」と明かした。
ウイルスの猛威を受け、待ったなしの対応を迫られた。24日に行われた政府の専門家会議で「これから1~2週間が急速な拡大か終息かの瀬戸際」という見解が出され、25日には政府から対策の基本方針が示された。さらにこの日、安倍首相が「多数の方が集まる全国的なスポーツや文化イベントについて、今後2週間は中止や延期、規模縮小の対応を要請する」と表明。無観客による収入面のダメージは大きいが、今後の感染拡大防止を最優先させる形で大きな判断を下した。
NPB(日本野球機構)によると、無観客試合はオープン戦、公式戦を通じて初。各球団の社長らも出席する異例の会議に出席した斉藤コミッショナーは「感染がこれ以上拡大すれば、国難と言える事態に陥りかねない。ファンの皆さんには大変申し訳なく思っておりますが、苦渋の決断です」と絞り出した。
3月20日の開幕戦について、斉藤コミッショナーは「状況を見極めないと、すぐには(開催可否は)言えない。(公式戦)143試合の実施を最優先に、さらに状況を慎重に見極めながら検討を進めていきたい」と説明。「当然、政府の方針を勘案しながら」と続けた。代表者会議では、12球団と感染症の専門家を含めた対策委員会の設置も決定。チーム内に感染者が出たケースに備えたガイドライン作成にも着手することになりそうだ。
出席者の一人は「1週間単位くらいで常に状況を確認していこう、と。(公式戦開催を)情勢が許すのか慎重に見極めながらになってしまうのはやむを得ない」と不透明な現状を受け止めた。あくまで3月20日の開幕戦を目指す一方、最悪の事態に備え、セ・リーグでは日程再編の検討を行っているという。
無観客試合とする措置に伴い、広島は3月8日の西武戦(福山)の中止を発表。球団によると今後、本拠マツダに開催地を変更して実施する意向だ。同3日、4日の中日・西武戦(岡崎、岐阜)など、地方球場で予定されていたオープン戦も1、2軍の本拠地などに変更になる可能性が高い。「公式戦開幕に向けて、感染予防、拡散防止のために最大限の努力をして準備を進めていきます」と斉藤コミッショナー。球界が待ち望む「3・20」を迎えるため、事態の収束を祈りつつ、最善を尽くしていく。
◆G球場の練習も
巨人は、新型コロナウイルスの感染拡大防止に協力するため27日から当面の間、ジャイアンツ球場で行われる1、2、3軍の練習の際に観客席の開放を見合わせる方針を発表した。この日、オープン戦残り全72試合及び、ファーム春季教育リーグも全て無観客試合とすることを決定したことを受けての措置。見学の再開は、今後の情勢を見て検討していく。
◆29日からヤクルト2連戦をCS&動画配信
巨人が今月29日、3月1日に行うヤクルトとのオープン戦(東京D)は、球団が25日に発表した通り、CS放送と動画配信サービスで中継される予定だ。また日本ハムはオープン戦期間に札幌Dで7試合を行うが、民放関係者は「無観客試合となったことで中継に対する注目度が高まる」としており、中継は予定通り行われることになりそうだ。