Jリーグ、公式戦94試合延期…新型コロナ感染拡大でプロ興行初の対応

3月15日までの公式戦開催延期を発表する村井Jリーグチェアマン(カメラ・佐々木 清勝)
3月15日までの公式戦開催延期を発表する村井Jリーグチェアマン(カメラ・佐々木 清勝)
延期が発表されたJリーグの公式94戦
延期が発表されたJリーグの公式94戦

 Jリーグは25日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、26日から3月15日まで予定されていたルヴァン杯、J1、2、3リーグの公式戦計94試合を延期すると発表した。日本国内の主要なプロスポーツ興行のウイルスの影響による中止は初。代替日は東京五輪の前後に振り分ける方針だ。

 Jリーグが大きな決断を下した。3月15日までに予定されていた公式戦94試合の延期を発表。都内のJFAハウスでの理事会後、会見した村井満チェアマン(60)は「ある種の国難といってもいい状況で(感染拡大防止へ)サッカー界として協力していくことをお伝えしたい」と話した。自然災害以外での公式戦延期は初めてとなった。

 各クラブの代表者と3度、議論を重ねて結論を出した。初回はJ1、2の開幕戦(21~23日)を控えた20、21日のウェブ会議で、関係者によるとリーグ側は開幕節を無観客として開催する案を打診したという。応じるクラブはなく、マスク着用、アルコール消毒液の利用の呼びかけ、J1神戸は独自に歌や肩組み、旗や鳴り物の持ち込み禁止などの対策を取った上で通常通り開催。サッカー界には中国、韓国、イタリアで試合延期の動きが広がっていたが、2回目となった24日の会議でも開幕節の報告を踏まえ、第2節へ向けた準備を進めることを確認した。

 事態が動いたのは24日夜だった。政府の感染症対策本部の専門家会議が「これから1~2週間が急速な拡大に進むか、終息できるかの瀬戸際」と発表。これを受け、この日午前に3度目の緊急会議を開き、まずは26日のルヴァン杯7試合の延期をチェアマン裁定で決めたことを伝え、その後の公式戦延期については全クラブから了承を得て、理事会で正式に承認された。

 スポーツは国民に活気を与えることから「継続することが使命」「試合をストップするタイミングではない」などの意見もあったが、最終的にチェアマンが「感染拡大を止めることで国民に貢献できる」と提案。政府からの見解と合わせて決定に至った。代替日についてはスタジアムの確保状況などを見て、東京五輪前後に組み込む考えだ。

 現時点でリーグ戦再開は3月18日の予定だが、村井チェアマンは「今から予見するのは難しい。日程変更を延長する可能性もゼロではない」と話し、専門家の意見を聞きながら慎重に判断していく。「スポーツは国民に勇気や元気を与える可能性を持っていることは忘れずに、準備を進めていきたい」と神妙な面持ちで話した。(内田 知宏)

 ◆過去のJリーグ延期 全試合の開催が一斉延期となるのは、2011年3月11日に発生した東日本大震災以来。当時は3月14日に緊急幹部会を行い、リーグ戦とナビスコ杯(現ルヴァン杯)の中止、延期を決定。4月1日には延期となっていたJ1第7~13節、J2第8~14節の試合時間、会場などの変更を発表。またナビスコ杯は大会方式を変更し、予選リーグを取りやめてトーナメント制(1・2回戦はホーム&アウェー)で行われた。リーグ戦は4月23日から再開となった。

 ◆新型コロナウイルス感染拡大に対する各国リーグの対応

 ▼中国 発生地で最大の被害が出ており、22日に予定されていたスーパーリーグの開幕は延期。代替開催日は未定。

 ▼韓国 29日、3月1日に予定していたKリーグの開幕戦を延期すると24日に発表。ACLに出場する4チームのホーム試合は当面、無観客で行う。

 ▼イタリア セリエAで23日に予定されていた4試合が延期。27日の欧州リーグ決勝T1回戦・インテル―ルドゴレツ戦は無観客で開催する。

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